第二十一話 デッドアロー・ゴー
前回のあらすじ
九つ、これはガーゴンの毒牙にかかり滅ぼされた文明の数、緑あふれる大地も、澄み渡る海も、全てはこの“蛇”に喰い尽くされた。そして今、ガーゴンはメインディシュと狙いを定め地球に降り立っていた。これ以上の暴挙を防ぐべく、ライトとシャドウのミラクルタッグによって死闘の幕が下ろされたのだった!!
分厚い雲が空を覆う下、石の森となった〈ロシア・マトロージュ〉のタイガ林でライトとシャドウはそれを引き起こした元凶であるガーゴンと対峙していた。食事の邪魔を何度もされたガーゴンの怒りはすでに頂点に達し、ライトによって斬られた髪の白蛇を逆立てていた。
「ライトォ、シャドウォ!! 其方らは絶対に許さん、二人共..妾の糧にしてくれる!!」
凄む蛇女にもライトとシャドウは怯まない、何も言わずにそれぞれ剣と弓を構え、戦闘態勢に入った。
「「......」」
ー..ズザザザッー
二人共何も言わない上に合図も何もないが連携は取れている、まずライトが先陣を切って走り出しガーゴンとの距離を詰めていく。ガーゴンは迫り来るライトの足を止めるべく、狙いを定めて電撃光線を放とうとした。
ーボンッッー
が、シャドウが射った矢がライトの足元で炸裂、それによって発生した煙幕がライトの姿を消したため、狙いを定められずガーゴンは電撃を放つのを躊躇した。
ーヒュオッッー
ライトの放った光の刃〈ブレードショット〉が煙幕を斬り裂いて真っ直ぐガーゴンに向けて飛んだ。だが不意をついたにもかかわらず、ガーゴンはすでに両手の硬い爪で防御を固めていた。これでは刃は弾かれるだけ..
ーガッ ズバッッ ..ボトリー
だったのだが次の瞬間には左肩から生える大蛇は斬り落とされていた。訳のわからない事態と痛みでガーゴンは顔を大きく歪ませ動揺を隠しきれない。そのザマをみてシャドウはご満悦な表情を浮かべる。
「!! アイツか..」
本来当たるはずのなかった刃がなぜ当たったのか、シャドウの表情を見てガーゴンは理解した。そうシャドウがライトが放った光の刃に矢を射ちこむことで無理やり軌道を変えたために防御をかわして刃はガーゴンを斬り裂いたのだ。そしてあの煙幕の真の役割はライトの姿を隠すことではなく、それらに注目を集めさせることによってシャドウ自身の立ち位置から注意を反らせることだった。だが気付いた時にはもう遅い、いやむしろ気づかないほうがよかった。
「気ぃ取られ過ぎだ」
すでにライトが射程に入っていた。だがシャドウに気を取られていたガーゴンはこれに気づくのが遅れ、すでに防御も回避も間に合わない状況に陥っていた。
ーパ.スパッー
剣がガーゴンの頭を真っ二つに斬り裂いた..が斬り飛ばされた頭部は空気中をフワフワとビニール袋のように漂うと音も立てず力なく地面に落ちた。
「なるほど脱皮か」
冷静にシャドウが分析、済んでのところでガーゴン本体は斬撃をかわしていた。決定機を逃したライトは唇を噛みしめる。あとほんのちょっとだけ早ければ、踏み込んでいたら間違いなく首をはね、勝負はついていた。
「ハッ..ハッ..ハッ」
とはいえ脱皮の負担はガーゴンにとってもかなり大きい、言わば“最終緊急回避手段”、これを使わせたのはかなり大きい。
ーギリギリギリ.. バシュバシュバシュッー
畳み掛けるかの如くシャドウが矢を何発も射つ。
ーガキガキガキガキガキッー
それを爪で叩き落とすガーゴン、その隙にライトは背後に回り込んだ。 残った右肩の大蛇から電撃を放って抵抗を試みるガーゴンだったがライトは大きく横っ飛びでかわす。
ーバチュッンッー
そしてその動きにつられた大蛇の頭をシャドウの矢が吹き飛ばした。さらにシャドウは二の矢を射つ。
「レインアロー..」
ーカッ ズドドドドドドッッー
空中に射ち上げられたエネルギーの塊、それが無数の矢となって降り注ぐ。ガーゴンは爪を頭上に掲げ傘のようにして防ごうとするがそれでもいくつもの矢が突き刺さり、体には穴が開く。
「デェェリャァァ!!」
ーズバァッー
「ウッ..」
さらに両肩の大蛇を失ったことで死角となった背後から迫ったライトの剣が脇腹を斬り裂いて血飛沫が飛ぶ。
「バリアロー..」
間をおかず、シャドウが射った矢がガーゴンの正面で半透明なサークルバリアとなった。
ーダンッッ ズバァッ ゴッー
「グァッ」
ライトはそのバリアを蹴って方向転換すると反対側の脇腹を斬り裂き、胸部を蹴ってその反動で返り血を浴びないよう離脱した。
「ハッ..カハァッ...グフッ......お..のれ」
ライトとシャドウの連携によりほぼ一方的に攻め立てられたガーゴンは全身に刀傷と矢傷が刻まれ、ほとんど瀕死の様相。もうここからの逆転は不可能、悔しさと憎悪を押し殺して宇宙への逃亡を図った。
ーバッッ グイッッー
「!! 動けないッ!!」
「後ろ見てみろ蛇女」
シャドウに言われガーゴンが振り返ると自身の尻尾がまるで標本の如く地面に打ち付けられていた。空から降り注いだ矢が釘のように尻尾と石の床を繋いだのだ。かなり深く刺さっているらしくどんなに引っ張っても抜ける気配はない。
「次で決めるぞ..ライト!!」
「分かってるさ..シャドウ!!」
二人共自身の武器にエネルギーを集中させる。そして....
「スパイラルアロー!!」
「ブレードショット!!」
ーバシュンッッ ビュオッッー
二人は同時にシャドウは回転する矢を、ライトは光の刃をそれぞれ放った。
ーガッ..ギュルルルルルッッッー
矢と刃が合流し、巨大な鏃を持つ一つの回転する矢へと進化した!!
「「デッドアロー・ゴー!!!!」」
ーバズンッッッッ!!ー
矢が....胸を....貫いた!!!!
「..カハ.........」
胸に大穴を開けられたガーゴンはそのまま絶命。暴食の女王は星を喰らうかのように前のめりに倒れ、そして最期は石となって砕け散った。今まで自身が喰らってきた生命と同じように..
ようやく死闘が終わり、気づけば分厚い雲の隙間からは夕陽が地を照らしていた。
「勝ったな....ありがとよ..シャドウ..」
だがそれを呟いた時にはもうライトの隣にシャドウはいなかった。若干のやるせなさを感じながらもライトもまた石の森を後にして、一人で星奈が帰りを待つ日本に帰るしかないのだった。二人は別々の道を歩みだしたのだから..




