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新陳代謝

作者: 星野☆明美

秋の夕方、涼しい風が吹くなかおふろをたてた。

伸ばしている最中の髪をブラシで念入りにとかして、頭皮のマッサージ兼汚れ浮かしをする。大事な黒髪。少しくせっ毛。

髪を洗ってから、石鹸をヘチマで泡立てて身体を念入りに洗う。たっぷりのお湯で流す。

そして、ドボン。

肩まで温かな湯船に浸かる。


爪も髪もツヤツヤ。少し伸びすぎの爪は、お風呂からあがったら爪切りで短くしよう。

毎日毎時間、身体は新陳代謝を繰り返す。怪我はいつしか治り、新しい細胞が私を造る。

あのね、マニュキアは塗らないの。化粧もよほどの時じゃなきゃやらない。ハイヒールも履かない。ピアスの穴なんてもっての他。

親からもらった大事な身体をそんな目に合わせたくなくて。

普通はね、ってみんな思うかもしれないけど、これが私にとっての普通なんだ。

お風呂で温まったらバスタオルで身体を拭いて、髪ごと頭を包んだ。

体重計に乗って、ちょっと首をかしげる。ま、いいか。

応接間に行き、爪の手入れ。

髪は自然乾燥。

ヘチマ水を顔と手足にぱしゃぱしゃ。

ちょっと考えて、台所の大黒柱に背中を当てて、頭上に物差し当てて、さっと避けて見る。また背が伸びた。

この先何年生きるのだろう?

その間、絶え間なく新陳代謝が繰り返される。

数日で自分は別の自分に入れ換わってしまう。

「私」の実体は何者なんだろう?

今している恋は時間と共に変化して行く。

それでも、それが「生きているということ」だと思う。

すごいな、って呟いて、クスッと笑った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] これすんごく好きです。うまく言えないのですけど哲学っぽい。「私ってなぁに?」というような。
2019/04/21 16:58 退会済み
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