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世界最強は元落ちこぼれ  作者: かたは
5/20

出発と訓練

そして、翌日...


アトラとラティアは西門前まで行った。すると既にレイトさんとエレナがいた。


「よし、全員揃ったな。じゃあ行こうか」


レイトさんが元気よく言った。しかし...


「ちょっと待って下さいレイトさん」


「どうした?アトラ」


「全員って言いましたけど。4人だけで出発するんですか?護衛とか雇わなくていいんですか?」


「...」


ーー言えない。昨日、エレナのアイス代でお金が無くなったなんて...


そう、昨日レイトさんはエレナの為に店のアイスを買いつくしたのだ。

静寂を壊すようにエレナが喋りだした。


「はぁ~、お父さんが昨日、お金を使い果たして護衛が雇えなかったのよ..」


「お..おいエレナ」


「「......」」


アトラとラティアが呆れている。それと同時に心配になった。本当にフィガルナにたどり着けるのか。

心配を察したのかエレナが話しかてきた。


「大丈夫よ、お父さん強いから護衛なんていらないわ」


「おい、エレナさんさっきから俺ばかり悪者だけど、半分は貴方のせいじゃないですか」


「いきましょ。2人とも」


レイトさんを無視し出発した。


*  *  *  *

4人が出発して2週間がたった。その間にレイトさんやエレナに訓練もしてもらった。アトラからお願いしたのだ。強くなりたいと。レイトさんは明らかに強い、そんな人に教えてもらえるこのチャンスを逃すわけにはいかないのだ。

訓練は毎朝行っている。


現在アトラはエレナと戦っている。

ーーやっぱり強いな


汗をかき息が荒れているアトラに対してエレナは余裕そうだ。基本的な身体能力は互角だ。しかし、2人には決定的な差があった。それは...戦闘経験の差だ。

無駄な動きが多いアトラに対してエレナは先読みと最小の動きで回避している。逆にアトラはエレナの細かいフェイントに反応してしまい余計に動いている。


「よし、今日はここまでにして朝食にしよう」

レイトさんがそう言うと..


「だらしないわね。もっと頑張らないとね」


「ハァハァ」

アトラは返事する力も残っていないようだ。

スキルを使わずに負ける。そんな事はないと思っていた。しかし上には上がいる。悔しい気持ちでいっぱいだった。


訓練も終わり朝食を食べているとレイトさんがアトラに話しかけてきた。


「まぁ、なんだ...エレナはだらしないと言っているが、2人ともセンスはいいと思うぞ。スキルを使わずにエレナと戦える奴なんて子供で見たのは始めて出しな。特にアトラ...お前の成長速度は反則級に異常だぞ」


「当然です。私のお兄様ですよ」


ラティアは嬉しそうに言った。一方でアトラは自覚がなかったようだ。


「そうなんですか?自覚はなかったです。明日にでもエレナに勝てるように頑張ります」


「私も年下の貴方に簡単に負けるわけにはいかないわ」


そうエレナはアトラより一つ年上の11歳だ。


「なら明日本気で戦ってくれよ。僕は全力のエレナと戦いたい」


「お、おいアトラ流石にそれは早いと思うぞ。エレナは飽き性なところはあるが、訓練に対しては何故か人一倍頑張ってる。もの凄い練習量の上にあいつの技術が成り立っている。それを2週間で破るなんて不可能だろ」


「面白いわアトラ、いいよ明日戦ってあげる」


「お兄様頑張ってください」


「ラティアちゃん私も応援してよ」


「はいエレナ姉さま。頑張って負けて下さい」


「アトラ、明日ボコボコにしてあげる」


「なんでだよ!!」


「あの~皆さん俺の話を聞いてください」


そうして4人はフィガルナ王国に向けて出発した。


*  *  *  *

そして1日が経ち朝日が昇った。


「いよいよね。ちゃんと私に全力を出させてね。それが出来たら褒めてあげる」


「その必要はないよ。だって、この試合が終わったら僕がエレナを慰めてあげなくちゃいけないからね」


審判はレイトさんだ。

「ルールを守って戦ってくれ」


アトラとエレナはこの試合の前にルールを決めていた。

1武器は木刀のみ使用を許可する。

2魔法とスキルの使用を認める。

3制限時間は15分でそれ以降はどんな状況にあっても引き分けとする。

4勝敗は相手が参ったと宣言するか気絶するまで行う。

5相手を殺したり後遺症が残るレベルの負傷をあたえてはならない。

6勝った方は負けた方になんでも一つ命令することができる。



「では、始め!!」


レイトさんの声で2人は同時に飛び出す。


アトラは最近になって木刀に魔力を込める練習をしていた。ステータスに表示されない簡単な技術だ。

ステータスに表示されない技術を人々は番外技術(アナザーアット)と呼ぶ。その技術の1つでレイトさんに最初に教わった技だ。


ーーっ!!エレナの奴木刀を魔力で強化していることに気づいているな...


そうアトラは魔力で木刀の強度えお上げエレナの木刀を折ろうとしていた。しかし、エレナが上手く受け流すため、エレナの木刀に衝撃をあたえ折ることが出来ないのだ。


ーーここままじゃ埒が明かない、こうなったら一か八か...


アトラは魔力で強化した木刀で地面を思いっきり叩き地面に土煙を起こした。アトラは土煙を起こす前にエレナの立ち位置を正確に把握していた。互いの姿が見えなくてもアトラにはエレナの居場所がなんとなく分かるのだ。土煙がでた後にエレナが移動するかもしれないため、一瞬でエレナの背後に回る必要がある。アトラがエレナの背後に向かって動いた...



しかし...アトラがエレナの背後に回った瞬間にエレナが木刀でアトラに攻撃した。慌ててガードするアトラ.....


「甘いわアトラ。背後なんて元々1番警戒するところよ。相手の視界を奪ったからこそ、最速で叩ける真正面の方が、まだやられてた可能性があったわよ」


気づくとアトラの起こした土煙が消えていた。


エレナはアトラとの距離をつめた。互いの木刀がぶつかり合う。エレナの木刀が折れた。当然だ、魔力で強度を上げているアトラに対してエレナは魔力を纏わせずにぶつけたのだから...


ーー勝った..


アトラがエレナの木刀を折ったことで油断が生じた。その一瞬の隙をエレナは見逃さない。素早くエレナがアトラのお腹に拳を入れる。


「油断したわね。木刀を壊すことが勝利条件じゃないわよ」


エレナの声を聴いた瞬間にアトラは意識を失った....


「あちゃー、やっぱりまだ早かったな」


「お兄様、大丈夫ですか?」

心配しながらレイトさんとラティアが近づいて行った。


一方でエレナは......


ーーヤバかった。私が油断してたとこもあった。でも、単純にアトラが強かった。訓練を始め時とは大違いだ。なんで、あんなに強くなれるの?


エレナはアトラの成長速度に驚き、また悔しく思っていた。



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