第9部
ふとした思いつきに近い思考だった。
小田のように明るい未来があり、妻子もある人間が死に、私のような屑が生き残るのは理不尽な気がした。
私には未来なんて展望はもはやなく、あとは終わりを待つだけなのだ。
私が代わりに死ねば良かったのだと思ってしまう。
気持ちが塞ぎ、私は仕事探しもせずに家でぶらぶらとしていた。
何をするのも疲れ、虚しさに押しつぶされそうになる。
何故、彼のように懸命に生きる者が不幸になり、汚職や賄賂で汚い生き方をした人間は平然と幸せを享受できるのか?
ぼんやりとテレビをつけるとワイドショーが始まった。
いい年の男が仕事もせずにワイドショーを見る。
こんな自分に吐き気がするが、他に私がどうすればいいか見当も付かない。
私は何もできない無能な人間なのだ。
ワイドショーは親父狩りにあったサラリーマンのインタビューを流していた。
彼はこのことで身体に障害が生じ、会社を辞めざる得なくなった。
障害年金がでるとはいえ、がんばってコツコツ人生を積み上げてきたはずなのに、はした金でおもしろ半分に人生を潰され。
少年と言うことで犯罪者は守られ、両親は反省のかけらもない。
他の事件では反撃したサラリーマンが、過剰防衛と訴えられていた。
彼らは未成年だから罪にならないとたかをくくっている。
弁護士は彼らに更正のチャンスをと言うが、被害に会って傷つけられた人間や、死んだ人間には何のチャンスもないのだ。
傷つけられ殺されてがまんしろなどと、やられ損ではないか。
万引きやなどの事件と殺人を同列にしていいのだろうか?
人の未来を奪い、自分は知らん顔をする奴らに私は吐き気を覚えた。




