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ブランエール[6]




 第214天空都市グランディネ、総首長官邸


 セルゲイ・オースティンは机を挟んだ向こう側で無駄に大きい体格をしたアドモスに視線を向け、その傍らで微動だにしない旧友ランベルト・クレセインの孫娘、カリン・エーデルハイトをみやってから重い口を開く。


「長旅ご苦労。第214天空都市グランディネへようこそ」


「祖父からお噂は予々」


「うむ。今宵は規模は小さきなれど歓迎会なるものを部下たちが催しているようだ、主賓は君だよ。カリン君」


「光栄です、閣下」


 会話が途切れると途端に室内に重苦しいのと息がつまりそうな雰囲気が醸し出される、カリンやセルゲイはそれに慣れているが、脇にたつアドモスはそうではない。


「あぁそれと、船長」


「な、なんでありませうか!閣下ぁ!」


「君は存外面白い方だな。ドックからつい今しがた船長たちの乗ってこられた商業貨物船アーバレストが瓦解、及び崩落を開始したそうだよ。船体登録の更新要請が届いた所だ」


「なんですとぉー!?」


 身を乗り出して机に両の手を叩き付けると、アドモスはセルゲイから一枚の紙片を受け取ると、額に脂汗を浮かべながら目配せをしている。


「幸い船員や貨物には被害はないようだ、其処は安心してくれていい。それに丁度巡航予定であったアーバレスト号改弐の船長並びに船員を募集していたところだ、父の遺産を長らく大切に扱ってくれた礼として、これを船長に与えよう」


「か、閣下ぁぁぁ!有り難き幸せぇ!」


 熊のような叫声を上げドスドスと大きい足音を響かせながら、カリンの脇をするりと抜けて元来た道を忙しなく駆けていくアドモス、グランディネまで送り届けてくれた船長さんにちゃんと御礼を言いたかったが、この都市にいれば何れ会えるだろうという思考が過り、声は出さなかった。


「さて、カリン君。船上での生活は疲れたろう、かねてより準備させていた君の此処での住まいに案内しよう」


「総首長自らがですか?」


「いや、私はまだやることがあるのでね。ここでの活動は支援するし聞きたいことがあるなら自由に訪ねてくれて構わない。が、私とて君に付きっきりという訳には行かないものでな、代わりに君のサポートをするパートナーを選出しておいた。入ってきなさい」


 総首長室の私室に繋がる扉がゆっくりと開き、其処から黒髪の蒼い瞳の青年が水色の繋ぎ姿の出で立ちで現れた、左胸に付けられた名札にはグランディネ=ブランエール整備主任と書かれており、その下には


「どうも、整備主任を務めるリオス・オースティンです。ようこそ。グランディネ=ブランエールへ」



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