《章間 ~猫娘の希望~》
(ウチは幸せ者だ)
イルミナは、カプセルに入りながら、そう思う。
ルイゾンは、二年近く旅をしてきて、初めて自分の事情を打ち明けた相手だ。
彼はイルミナの話を聞くと、『なら、ライフワーカーを運ぶときは俺が運んでやる』と言って、これまでも何度となくイルミナの旅を助け、同行してくれた。
リチャードは、自分にできることをする人だ。
彼は、イルミナが絶望した時『治療を受けて次を探すのが仲間のためだ』と教え、諭してくれた。
マレヌは、希望を与えてくれた人だ。
彼は、見えなかった希望に『苦境にある時だからこそ、思考を止めてはいけません』と言って、持っている知識を駆使して希望を示してくれた。
アスパーンは、現実の中に夢を与えてくれた人だ。
彼は、イルミナが彼らのみを案じていることを察して『俺達も生命が惜しいからあっさり帰ってくる』と言いながら『悪あがきするだけしよう』と言って、危険を引き受けてくれる覚悟を見せてくれた。
ティルトは、仲間の存在を教えてくれる人だ。
彼は、『俺も、ブラフマンも、マレヌも居る』と言って、仲間が力を合わせれば何とかなる可能性を示してくれた。
シルファーンは、安心させてくれる人だ。
彼女は、『昇降機を直した時と同じことをするだけ』と言い、それが当たり前なのだと言ってイルミナを安心させてくれた。
ラミスは、誰よりも強く、頼もしい人だ。
彼女は、誰よりも小さい自らこそが一番危険であるにも関わらず『アタシが無理はさせないから大丈夫』と請け負ってくれた。
だから、イルミナは今、治療の眠りにつく。
(仲間を信じて、自分に出来ることをする……)
それが最も効率良く、最も早く、集落の仲間たちの命を救う最良の一手だから。
イルミナは眠りにつく。
『仲間』を信じて。




