02パンドラマイノリティブレード『ケンケラ』
「ここは、森だ。そう、何がなんと言おうと森なんだ。」
僕は、謎の森林のどこかに立っているのだが。
大きい木々がポンポン生えているのだが。
道らしい道は、全くないのだが。
何故か頭上に、奇妙な生物が居るのだ。
「カモーン?ハラキリ?スシ?テンプーラ?君、おっかないねえ~。
もう諦めてるよ?ケンケラだったらね?あ、ケンケラは、ケンケラっていうんだ~。
よろちくび~?プププ、おもしろ100点だね。あ、基本無料だから安心してね?」
謎だ。
「何なんだい?ほんとに君は。」
ケンケラと名乗る生物は、まるで人間のアキレス腱の姿をしていた。
形状は、人間大図鑑で一度見たことがあったから分かる。
どことなく懐かしさを感じる。
「ケンケラは、ケンケラだよ~?焼き肉大好き!!ピーマン大嫌い!!
でもね、時々、思わな~い?コミカルってさ。
案外、惰性なのかもね、ってね、あは。」
「その、さ、君ってなんなの?僕にはアキレス腱に見えるけどさ・・・」
そうしたらアキレス腱は、自慢気にこういったのだ。
呆れる。
「ケンケラは、パンドラマイノリティブレードなんだよ?
そんなケンケラと友達になれて良かったね!!!お互いありがとうだね!!!」
ん?マイノリティ?、よくわからない。
「そのマイノリティとかって何?僕まだ子供だし、あんまりわからないこと言わないでほしいな。」
「ケンケラは、この世のありとあらゆる全ての物であり少数派であり剣なんだよ~?」
意味がよくわからなかった。何を言っているんだこのアキレス腱は。
「ぷ~、ロマンの欠片もないのかい?君~名前は、マサキっていうんだ~」
「もう特に驚かないよ・・・」
何で、僕の名前を知っているのか、そんなことはわからない。
もう石を投げるふりをして脅かしてやろう、そう思い足元の石に手をかけた。
「うわあ、なんちゅう態度、やってられねえぜ全くよ~ケンケラよ~、だりいよ~」
「冗談だよ。そんなコトするはずがないだろ?」
「ははっ、ちげえねえ、ケンケラもそう思うぜよ。ん?」
右後方の茂みががさがさとうごめいている。
「さめちまったよ、なあ、マサキ、お前は、何に成りたい?ケンケラに言ってみな。」
「僕?そうだなあ」
僕は、思い返すことはない。
「言わなくても分かるぜ、『民』だろ?、ケンケラは、わかっちまったよ。うん。」
「違う僕は、英雄に成りたい。そう願っている。」
「?マサキ、ケンケラは、思うよ。お前は、『民』だって。」
思い返すことは、もう無い。
がさがさ動く茂みから一人の女の子が現れた、好みではなかった。
そんなことを、考えて、隙ができたようだ、そんな気がする。
「あなたは、誰デス?ここは、遊び場じゃ無いデス?」
「何言って・・・ってケンケラ?」
ケンケラは、もう頭の上にはなかった。あるのは、ボールペンだけだった。
ふざけやがって。僕は、もう耐え切れない。冷静ではいられない。
「おい!!女!!僕は、マサキ。ただのマサキだ!!!!」
ボールペンは、クネクネして笑っているようだ。カチカチうるさい。ってなんだこれ?
頭からとれねえ。ふざけやがって、もう冷静な僕は、死んだ!!
怒ったぞ、本当に怒ったぞ!!!
「あなた、大丈夫デスか?お茶飲むデス?」
「今度、もらってやるよ!!ああ、もちろんこのペンシルのツケでな。
って、ハハハ、ペンがお金を出せるわけがないでんがな!!!!」
僕は、完全に、キレちまった。
「はあ、とにかく、静かにお願いするデス。」
そそくさと立ち去る、女の子、マジでなめてんのか?
(ケンケラは、思うよ。そんなお前なら、極限まで辿り着けるとね。)
僕は、女の子の後を付けるぞ。もうきめちまった。
「なんと僕は、運がいい。だって後をつけて人里へ行けるんだからな!!!」
僕は、歩く、ひたすら、歩くのだ。ストーカー根性を舐めるな。