モーニングコーヒー
非常に短く拙い作品ですが、よろしくお願い致します。
朝の明るい陽射しがカーテン越しに部屋へと降り注ぐ。そんな時間に私は目を覚ました。
昨日は残業で眠るのがいつもより遅くなってしまったからなのかな? まだ眠い。
寝る前にセットした目覚まし時計もまだ鳴っていないからもう少しだけ眠ろうかな。……なんて思ったのも束の間。私の思惑を嘲笑うかのように目覚まし時計が怒声を上げ始める。
「うぅー。わかったわよぉ……」
せっかく二度寝できると思ったのにできなかったからちょっとだけへこむ。
正直に言えばもう一度布団に潜り込みたいけど、そんな事をしてしまっては仕事に遅刻してしまう。我慢して支度を始めないといけない。
ふと私が寝ていたベッドを眺める。一人で寝るには明らかに大きいベッドは私以外に誰も寝ていない。
なんとなくぼーっとしちゃったけど、頬を軽く叩いて目を覚ます。……が、眠気はどうしてもなくならない。
寝ぼけ眼のままリビングへの扉を開くと、トーストの香りが漂ってきた。トースト独特の香ばしく、柔らかな香り。寝ぼけた頭のままでも食欲が刺激されてしまう。
リビングへ一歩入り、自然と目に入るテーブルの上にはサラダとコーンスープが並べられている。
きれいに盛り付けられたサラダと、ゆっくりと湯気が立ち上るコーンスープは私を誘っているようにしか感じられない。きっとそうに違いない。
「お、おはよう」
「んー、おはよー」
無意識にテーブルへと誘われていると、奥にあるキッチンから両手にトーストを持った男の人が出てきた。
「ありゃ、ずいぶん眠そうだね?」
「んー……久々の残業で疲れちゃったのよ」
私が答えると「そっか」と言ってトーストをコーンスープの横に並べた。
「食べれる?」
並べた後に聞くのはどう言う事だろうかと思いつつ、心配して聞いてくれるのを嬉しく思う。
それに、すごくおいしそうだから食べないともったいない。絶対後悔すると思う。
「だいじょーぶ」
私の返事を聞くと、彼はまた「そっか」と答えてもう一度キッチンの奥へと戻って行った。
それにしてもおいしそうな朝食だと思う。
普段は私が朝食を用意しているけど、もしかしたら彼の方がおいしく作れるのではないかと思う程に見栄えも良い。よく見れば調理と呼ばれる過程がほとんどないメニューなので、綺麗な盛り付けがそのイメージに一役買っているのかもしれない。
私ももっと綺麗な盛り付けを勉強しようかな……。
「さ、食べようか」
おいしそうな朝食に目を奪われてあれこれ思案している間に、彼が向いの席へと座っていたらしい。素敵な朝食の始まりを告げていた。
「いただきまーす」
「うん、召し上がれ。僕もいただきます」
両手を合わせて食事に感謝。さっそく焼き立てのトーストへとかじりついてみた。
「んー!」
トーストの香ばしい香りとサクサクとした食感が絶妙だった。
「おいしい……これ、いつもの角食じゃないよね?」
「うん、よくわかったね。昨日は仕事で帯広まで行ったから颯太の店で買ってきたんだよ」
「んーっと……高校の時隣のクラスにいた颯太くん?」
「うん。お義父さんに鍛えられながらなんとかやっているみたいだったよ」
そう言った彼は何かを懐かしむようにしながら、楽しそうに笑っていた。
こんな風に雑談をしながら食べる朝食が好きだけど、そんな時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末様です」
食べ終わった皿は全て彼が片付けてくれた。
それにしてもおいしかった。まだ疲れが取り切れていないけどなんとか頑張れそう。うん、頑張れ私!
そんな事をしている内にテキパキと洗い物を終えた彼は、そのまま何かを用意しているらしい。
時間やタイミング的にきっとアレに違いない。
ほら、とても良い香りが漂ってきましたよ。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
朝の至福の時間の締めくくりはコレ。彼が淹れてくれる特注ブレンドのコーヒー。
最初の頃、私はコーヒーが好きでも嫌いでもなかった。そんな私にコーヒーの素晴らしさを教えてくれたのは彼だった。
コーヒー大好き人間だったらしい彼は、私に色々なコーヒーを淹れてくれた。それはもう熱心に。
おかげさまで私もコーヒーの微妙な違いが多少は分かるようになったようで、「好みのコーヒー」をなんとなく思い描くようになった。
そんな折、彼が用意してくれたのがこのオリジナルブレンドのコーヒーだった。元々は彼が自分好みで作ってもらったコーヒーだったらしい。
私達の味覚の相性が良かったのか、それが私の「好みのコーヒー」にドストライク。今ではこれ以外のコーヒーをほとんど飲まないくらいには気に入っている。
「目……覚めたかい?」
コーヒーを啜ってほっこりしている私の顔を彼が覗き込んでいた。
「うん。ばっちり」
彼に向かって最大級の感謝を込めた笑顔で返事。
ちゃんと伝わったようで彼の表情も心なしか明るくなった。
「それじゃ、仕事に行く準備をしよっか」
コーヒータイムが終わったら残りの時間はもう少ない。彼はカップを台所に下げて出社前に最後の食器洗いに勤しんでいる。
私はそんな彼にお礼をしつつ仕事へ行く為の準備を終わらせる。さうがにもう慣れた物である。
準備が終わったら彼と一緒に玄関へ行き、いってらっしゃいのキスをほっぺにしてから一緒に家を出る。
今日も私達夫婦の一日が平和でありますように。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。
作者本人は全くコーヒーが飲めないのにタイトルにも本文にも出すと言う暴挙を行ってしまいました。
色々な意味で詐欺満載の作品でしたが如何でしたでしょうか?
感想・意見等ございましたら今後の参考にしたいと思いますので宜しくお願い致します。