教室にて
白。目を覚ました僕が見たのは白い天井だった、えっと、何がどうしたんだっけ…?
「あっ、斎藤君が目を覚ましましたよ。」
この声は…如月さん?
「おーい、和人、大丈夫か?俺が誰かわかる?」
龍樹が横から顔を覗き込んでいる、心配してくれているんだろうけどなんかムカつくな
「キミハダレデスカ、ワタシハダレ、ココハドコ?」
「そんだけふざけられるんなら大丈夫そうだな。」
「あっ、兄ちゃん。ところで僕はどれぐらい倒れていたの?」
「うーん、1時間ぐらいかな?他の人は待たせても悪いから帰ってもらったよ。残っているのは俺、龍樹、如月さんと、先生だけだよ。香乃子と大和弟も心配して残ろうとしたけど、うるさかったから帰らした。」
うるさかったからって…
「本当は今日の練習の後に今シーズンの試合の予定とかを話す予定だったんだけど…お前が倒れちゃったからな、明日の練習前になった。ちょっと早めに来いって先生が言っていたよ。まあ体調悪いんだったら明日俺が聞いてくるけどさ。」
「いや、行くよ。」
「そうか、じゃあ帰るか。」
〜翌日〜
昨日はすっかり如月さんが空気になっていて、申し訳なかった。起きたすぐ後もそうだったし、帰りも兄ちゃんと僕ばかりが話していて、如月さんは横を歩いていた。まあ、ちゃんと如月さんを家まで送って行ったんだけどね…兄ちゃんが。何はともあれ如月さんに謝っとかないとなあ。
「ごめんなさい。」
とりあえず、教室で如月さんに会って真っ先に謝った。
「えーと、なんのことかな?」
そりゃいきなり謝られたら対応に困るか、
「昨日、僕が倒れて待たせちゃった上に、帰りは放ときっぱなしにしちゃってごめん。」
「ああ、そのことね。気にしなくて良いよ。別に気にしなくて良いよ。私は2人の話を聞いているだけでも楽しかったから。」
よかった
「そういえば、話聞いていて思ったんだけど…」
何の話だろう?
「斎藤君って、オタクなんだね。」
この話はマズイ!
「あっ、ちょっと待って如月さん。その話はちょっとこっちで。」
クラスメイトに聞かれたら僕の学校生活が終わってしまうかもしれない、というわけで如月さんを教室の端へ連れて行って会話を再開する、
「何で突然そんなこと?」
一先ず探りを
「私もね、ライトノベルとかアニメとか結構好きなんだ。だから、話が合う相手が出来たと思って、つい…ごめんね、迷惑だった?」
僕はアニメはあんまり見なくて、本が中心だけどそれはともかく…
「驚かせちゃってごめん、迷惑だったとかじゃなくて、クラスのみんなに知られるのはちょっとね、中学時代僕はそれでちょっといじめられていたから…。」
「…」
しまった、いじめられていたとか言ったら余計に気を使わせちゃうだけじゃないか!
「まあ、もう気にしてないから大丈夫だよ。」
「なんかごめんね。」
空回りしてる!
「えーと、そんなわけで、中学時代はそういう話をできる相手は兄ちゃんしかいなかったから。そういう話をしてくれるのは嬉しかったよ、ありがとう。」
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなってしまった
「あっ、席に戻らないと、また放課後。」
「うん、また放課後。」
これで大丈夫だったんだろうか…