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初練習2〜平坦区間〜

「皆揃ったか〜?揃ったな、じゃあ改めて今日の練習の説明をする。今日はまずここから約5キロ行ったところにある高島牧場で一年と清水は平坦のレース20キロ、その後稲葉山へ移動して今度は山岳レース10キロ、上級生は後方から脱落者のチェックだ。わかったな?じゃあ練習開始!」

いよいよ初練習スタートだ皆ゆっくりと漕ぎ始める。

「しばらく公道を走るから皆俺の後ろについて一列で走れ。」

福井キャプテンから指示が飛ぶ、この人マジで用事が無い時は話さないみたいだから声をほ

とんど聞いてない気がする…、さっき健人さんにつけてもらったサイクルメーターには時速25km心拍数115と出ているまだまだ余裕だ、移動だから当たり前だけど、そのまま5キロほど行くと牧場が見えてきた、多分あれが高島牧場なんだろうな…

「あれが高島牧場だ。あの牧場は25代前のOB高島さんという方が経営している牧場だ、周りの道は一般車両は通行禁止になっているからまず、安全だ。高島さんに話は通してあるから今から1時間ぐらいはトラクターも通らないようにしてくださっている。じゃあ一年行ってこい!」

バッと大和君が飛び出していく、龍樹もその後ろにピタッと張り付いて付いていく、僕が反応出来ずに先輩たちの中に取り残されていると

「やっぱり反応遅れる子がいたね。ついて来な追いつくよ!」

と清水先輩が加速する、なんとかついて行きながら僕は、清水先輩さっきまでとはオーラが違うなんと言うか100で県制覇した時の龍樹みたいな雰囲気だとか思っていた。

1キロ地点を目前に大和君と龍樹に合流出来た。

「和人お前何やってんだよ…ちゃんと注意しとけよ?」

「悪い悪い。長距離じゃあんな突然の加速なかったからさ。」

「いや、短距離にも無いし」

そりゃそうだ。100mや200mでそんな駆け引きが有ったら驚く。そのまま特に動きが無いまま5キロが経過した時、ついにレースが動く龍樹が一気に加速したのだ、でも今のは反応出来た、だけど…

「スピードが違う…」

大和君はしっかり龍樹についている、僕の隣には清水先輩がいる、でも先輩は付いて行かなかったと言うよりは…

「謙二君も影山君も気が早いね〜疲れるよ〜」

すごく余裕そうだ。

「斎藤和人君、君の選択が正解だ、あんなペースは保たない、しばらくしたらペースが落ちて合流するよ。あんなアタックはラスト5キロぐらいで仕掛けるものだね。」

いや、僕は付いて行けなかっただけです…、しばらくして2人のペースが落ち先輩が言った通り10キロ地点でまた合流した。

「そんなに焦っちゃダメだよ二人とも〜、まだまだ先は長いんだよ?」

なんか、先輩の話し方が軽い、部室で会った時とは別人のようだ。

「本職のスプリンター相手にゴール前の勝負に持ち込んだらほぼ確実に負けるじゃないですか。僕は勝ちたいんですよ、清水先輩っ」

再び龍樹がペースを上げる!大和君もやっぱり付いて行って…

「残り8キロ、持つかもしれないか…」

そして今度は清水先輩も動く!付いて行かないと!必死にもがく、でも先輩の背中が遠くなって行って…

「お疲れ和人、あのメンツ相手によく粘ったよ。」

そう兄ちゃんに肩を叩かれた。

「さあ、ゴールに先回りしておこうか、宗介、あとはよろしくっ」

といって兄ちゃんは僕の前に出るとコースとは違う方へと先導を始めた

「こっちがショートカットだからな早く着けるから、あいつらのゴールが見れるぜ」

「誰が勝つかな?」

「全盛期ならほぼ間違いなく香乃子だろうけどな…謙二君かねやっぱり」

「なんで清水先輩?龍樹は?」

「初心者がいきなり勝てるほどロードは甘くないぞ、むしろ途中でちぎれたお前の方が自然だぞ。で、香乃子だけど…あいつは3年前の全中チャンピオンだよ。」

清水先輩が全中チャンピオン⁉︎なんでそんな人がマネージャーなんかを?

「自己紹介の時にも言ったけどあいつ怪我してたんだよ。全中のあとにあったU18って大会で…ってあいつら来たぞ!」

遠くに3人が見える、あと200メートルぐらいだろうか、先頭は龍樹だ!すぐ後ろに清水先輩、15メートルぐらい離れて謙二君だ、そして謙二君がサドルから腰を上げる!

「和人、謙二君をよく見てろよ、これがスプリンターの本気のスプリントだ」

たったの70メートルほどで謙二君が龍樹に並びかける、龍樹ももがいているがついていけない、そしてその龍樹の後ろから清水先輩が飛び出すと謙二君の後ろに張り付く、謙二君と清水先輩の一騎打ちの様相だ。

「ったく香乃子のやつ…」

兄ちゃんが何かつぶやいているけどよく聞こえなかった。そしてそのまま謙二君が先頭でゴール、がたいの良いやつが両手を上げて勝利の雄叫びを上げると迫力があるなあ、すぐ後ろの位置を保ったまま清水先輩がゴール、あんまりしんどそうには見えない、そして対照的に苦悶の表情で龍樹がゴールした。

「お疲れ、龍樹。」

まだ息が整ってないから龍樹は答えられなさそうだ。

謙二君もしんどそうに地面に倒れこんでいる、あれ、清水先輩は?

「香乃子、お前なんで手を抜いた?」

背後から兄ちゃんの声が聞こえてきた、手を抜いたって?

「何を言っているのかな省吾君?私は正真正銘本気だよ?」

「嘘つけ、お前ラストのスプリントでシッティングのままだったじゃないかよ」

シッティングってなんだろう?

「まだちょっと足への負担が怖いからね〜、ダンシングなんかしてまた故障するわけにはいかないんだよ。桜ちゃんとの約束も守らないといけないから…」

誰だよ桜ちゃん

「桜ちゃんって誰だよ?」

あっ兄ちゃんも知らないのか

「中学時代のライバル、一緒に国体に出て全国制覇しようねって約束したのよ。」

良いなあライバルとか…

「桜ちゃんって、城内ヶ崎高の藤堂桜かよ!てっきりお前の幼なじみかなんかかと思ったじゃないか!」

あっ、先輩達と先生達が戻ってきた。

「おっ、もう皆終わっているな」

終わっているけど…

「じゃあ、稲葉山まで移動しろ、上級生はちゃんと連れていけよ〜。」

もう移動⁉︎僕はともかく龍樹と謙二君はしんどそうなのに…

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