入部
初投稿です。ロードレースに関してにわかなので、ルールとかおかしなところがあるかもしれませんが、許してください。
「和人、お前さあクラブどこにするか決めた?」
幼馴染みの影山龍樹が僕に聞いてくる、
「いや、まだだけど、龍樹はどうせ陸上部だよな?僕もそうしようかな…中学の最後に市で入賞出来たし、長距離はあまり才能に左右されないしね」
「いや、陸上やらないぞ」
はあ?こいつ何言っているんだ?だってこいつは…
「やらねえの?お前最後の県大会で100メートル優勝していたじゃん、続ければ全国大会も見えるんじゃないのか?」
「いやあ、あれはまぐれだろ、それまでは優勝記録が11秒1台だったのにあの回だけ11秒3台だぜ、それにな正直もう限界感じていたんだよな、俺は多分高校で続けても落ちていくだけだなって思ってさ、だから違うクラブ入ろうと思っているんだよ…」
僕はこいつのこういうところは嫌いだ、才能があるくせに、すぐ自分で見切りをつけてしまう。僕が3年間努力をしても届かなかった高みにいるくせに自分はもう無理だって切り捨ててしまうんだ
「でさ、お前の兄ちゃんさ、この高校の自転車競技部だろ?足を使う競技だしさ、陸上に繋がる部分もあると思うんだよ、だから一緒に入らないか?」
「はぁ、別に良いよ」
こういう時のこいつには何も言っても無駄だ、僕が入らなくてもこいつは入るだろうし、初対面の人が相手ではすぐにどもってしまう僕は、知り合いがいないところではやっていけないのだ。まあ、兄ちゃんもいるクラブだ、僕自身も陸上にはそんなに未練はない高校で新しいクラブを始めるのも良いだろう。
〜放課後〜
「あれ、和人に龍樹じゃん何か用事か?」
「久しぶり省吾兄、いやさ高校は自転車競技部に入ろうと思ってさ、入部届け出しに来たんだよ」
久しぶりって龍樹お前昨日もあってたよな、まあ良いか
「僕もや、兄ちゃん」
「マジで⁉︎和人はともかく、龍樹お前は陸上で活躍していたやん。まっ、入ってくれるのは大歓迎やけどな、ちょっと待っていてキャプテンとマネージャー呼んでくるわ」
兄ちゃんはさっさっと部室の奥の方に入っていってしまった。でもあんな嬉しそうな兄ちゃん久しぶりに見たな、
「ありがとうな龍樹、お陰で久しぶりにあんな嬉しそうな兄ちゃん見れたわ。兄ちゃん去年のインハイ終わってからあんまり元気なくてな、大好きな本のこともあんま話さへんかったし」
「へへっ。もっと感謝して良いんやで」
まったく、こいつはすぐに調子に乗るなあ
「おーい、お前ら入ってこーい、うちのキャプテンとマネージャー紹介するわー」
兄ちゃんが中で呼んでいる、
〜〜
「キャプテンの福井宗介だ。」
「マネージャーの清水香乃子よ、今年から競技に復活する予定だから、今年はマネージャーとしては働かないけどよろしくね」
「待て待て、俺は香乃子が競技復活するとか聞いてないぞ?宗介お前知っていたのか?」
「ああ知っていた、ついこの間ようやく怪我が完治したと話していたからな」
「そういうことはすぐ伝えてくれよ、びっくりしたじゃねえか…ごめんごめん、お前らのことほっときっ放しだったな、改めて右の厳つい奴がキャプテンの福井宗介去年の近畿インハイ3位の実力者だ」
「よろしく」
「んで、こっちがマネージャー?の清水香乃子だ。去年までは超優秀なマネージャーだったけど今年からは選手だ」
「そんなに褒められたら照れちゃうじゃない、よろしくね」
なんか入るクラブを間違えた気がする…家では本ばっか読んで僕と感想を語り合ってばかりいて、普段教室では完全に空気になっている兄ちゃんが所属するクラブだから、ゆるいクラブかと思っていたのに近畿三位って、超強豪じゃないか⁉︎
「俺は1年2組、影山龍樹です。中学時代は陸上部で短距離をしていました、これからよろしくお願いします。」
「あ、えっと、僕は斎藤和人です。えーと、1年3組です、えーと、」
「焦れったいなあ、宗介、香乃子こいつは俺の弟の和人だ。中学では長距離していた。」
ああ、兄ちゃんに自己紹介取られちゃった…初めて会った人と話すと上がっちゃうんだよなあ…