授業
「君にとっての戦争とはなんですか?」
「国と国との争いです」
「そうですか。国と国との争い……と」
ここは都内のある中学校。今は道徳の時間であり「戦争」というテーマについて話合っている。
「では君はどうかな?」
「そうですね。大切なものを守るためのものです」
「大切なものを……」
先生は自分が言い当てた生徒が言ったことをそのまま黒板に書き込んでいる。
「では最後に君、君の意見を聞かせてください」
「人がいないと成り立ちません」
「はい、意見が出揃いましたね。これで戦争をしない方法が見つかりました」
「国を作らず、大切なものを作らず、人を作らなければいいんです」
「そうかあ。じゃあやっぱりこいつらはいらないね」
そう言うと、ふにゃふにゃの体をした地球外生命体は、檻に監禁していた最後の地球人である男と女をレーザービームで焼却した。