第ニ話:俺的嵐の前
洗濯物を干すとすぐに乾きそうなくらい天気の良い昼に何処か緊迫した空気が流れる教室があった。
聞こえる音は、生徒の息づかいと物を書く音だけだ。
そう、今まさにこの学校では『全国一貫学力診断考査』が行われているのだ。
この考査は名前の通り全国の高等学生を対象としている大きな物だ。故にこの考査の結果は後々の進路に関係してくる。
数分後…
その緊迫した空気を消すような音が校舎中に響いた。
考査を受けていた生徒達はそれぞれ出来栄えを話す為に友人の元へ移動を始める。
明るい声や暗い声、考査からの開放感や脱力感。
様々な声がする中、駿河 明夜は頭を抱えて最大の危機に悩んでいた。
「オイ、どうしたんだよ。最悪のテストは終わったってのによう。」
「…手応え無かったのか?」
「分かった!知恵熱だ!考え過ぎなんだょ〜!!!」
「ここは三択クイズ形式で当てようぜ!!!」
明夜の友人達が次々に悩みの原因を当てようとする。明夜は顔を上げ、
「アタッ〜クチャンス!って何で三択クイズしないといけなくなるんだよ!!!そうじゃなくて…」
ノリに乗った後、言いにくそうに口を閉じると
「なんだよ?」
「最後まで言えよ。」
「変なノリ方してから途中でやめるなよ!」
「何時もみたく言えば良いじゃんかぁー」
多少失礼な事を言っている友人が居たが、明夜はため息をつきながら渋々と小さく呟いた、
「…弁当忘れた…」
その時の教室では話しに関わっていなかった者まで凍り付いたと言う。