9-1.夜の日常
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学校から帰ってきて、掃除をして、宿題をする⋯⋯そんな少し忙しない日々も日課になってしまえば、どうということはありません。
あとは洗濯機を回すかどうか迷っていると、母から連絡来ていました。
『今日も遅くなります』
『冷蔵庫にお弁当の余ったおかずと昨日の夕食の残りがあるので、適当に食べててね』
最近、毎日同じようなLINEが届きます。母は今日も仕事が立て込んでいるようでした。
『なるべく早く帰るようにするね』
あの日、そう付け足した母でしたが仕事というのは、なかなか思い通りに行かないものなのでしょう。
むしろ今までが総合職にもかかわらず、家で娘が待っているからと会社にはだいぶ融通してもらっていたのです。
きっと今まで母が早く帰る代わりに、誰かが仕事を肩代わりしてくれていたに違いありません。——そう考えるのが、一番しっくりきました。
してもらってばかりでは、いくら仕事とはいえど成り立たないでしょう。きっとここいらで恩返し、というか返上というか。そういうものをお返しする時なんだと思います。
恩恵は私も受けていたわけなのですから、母が仕事に精を出せるように私が家事を協力するのは当然のことなのです。
ことづけ通り、冷蔵庫には野菜炒めと卵焼きと鍋のままの味噌汁がありました。
温めるのすら億劫で、そのまま食べることにします。
(冷たい)
お腹は空いていたはずなのに、あまり食べる気が起きません。食べかけの食事を冷蔵庫に戻し、先にノエルにご飯をあげることにしました。
「ノエル? どうしたの、もうご馳走様?」
ノエルも何故だかご飯をあまり食べません。
(先に散歩に行けば、ノエルの食欲も出るかな。ついでに私も)
「よし、行こっか」




