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【完結】『領主に害をなす者』と呼ばれた僕は、テレパスで繋がる親友たちと異世界を生きる  作者: 扇風機と思ったらサーキュレーター


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謝罪

エリナの身体は、まだ本調子ではない。

傷を負った直後は自分で治癒魔法を施していたが、やがて気を失ってしまった。

そのままだと危なかったが、優秀な治癒魔法師たちの尽力によって峠は越している。


その傷が、ユージによってつけられたものだということもショックだった。

だが、それ以上にショックだったのが、リィナの声でユージが正気に戻ったことだった。


エリナ自身は、声をかける余裕もなかった。

体当たりをしてリィナがカイウス様を庇える位置に移動する時間を稼いだだけで、すぐに蹴飛ばされたのだ。


それでも、ユージが自分に向けた目には敵意しかなかった。

躊躇なく内蔵を破壊された。

でもリィナには……。


ここには多少の誤解がある。

雄二は敵だと指定されたカイウスに対しては普段の数倍の強さを発揮するが、それ以外のエリナやリィナには通常の雄二の強さしか発揮できない。

最近剣術を習っている雄二はエリナより強く、リィナとは互角なのだ。


それを知らないエリナは、カイウス様を圧倒するユージがリィナに本気を出すことを躊躇しているように思えた。


どっちにしても、それは「嫉妬」だった。


大事な妹に嫉妬をするなんて、とエリナは自分が情けなくなった。

ユージ様よりリィナが大事なんて言っておきながら、このざまだ。


「誰かに取られるかも」というリィナの言葉が、エリナの胸に響く。


ユージ様に必要なのはリィナなのでは……そう考えると、エリナの胸は鉛を打ち込まれたようになる。

リィナもユージ様とならきっと幸せになるだろう。

そんなことを考えれば考えるほど、エリナの瞳からは涙が溢れてくるのだ。


こんな姿をリィナに見せられない。

きっと私を心配してくれているだろう、と思いながらも、エリナはリィナに会うことができずにいた。


「ユージ様も、きっと狭量な私に愛想を尽かしているでしょうね」


エリナは、自嘲気味にため息をついた。

ユージが自分を蹴ったのは確かだが、間違いなく本人の意思ではない。

操られていただけなのだ。


それなのに、自分はユージに会おうとしていない。

ユージ様は、自分が怒っているからだと思うだろう。


「操られていてどうしようもなかっただけなのに、エリナは自分を許してくれない」、とユージ様は思っているに違いない。


嫌われても仕方がない……とエリナは思った。

その思考も、エリナの瞳を濡らした。


やっぱり死んでしまえばよかった、と思うほど、今のエリナは沈み込んでいた。

カイウス様に迷惑をかけ、見舞いたいというリィナやユージ様を拒絶し、一人でただ生を貪っている自分は何なのだろう、と考えずにいられない。


***


そんなエリナの部屋を、カイウス様が訪れた。

いつもの治癒魔法師とは違う人物を連れて。


その人物を見た途端、エリナの眉が逆立ち、ベッドから起き上がろうと身をよじる。

そこにいたのは、オルゲンだった。


「エリナ、落ち着きなさい」


カイウスが諭すように言う。


「でも……!!」


エリナの反応は当然のものだ。

カイウス様を殺そうとし、自分がこんな傷を負う原因を作った男。

——ユージ様を操った男。


こいつさえいなければ、今こんなことになっていないのに。

憎しみの気持ちが湧いてくる。


そんなエリナに、オルゲンは頭を下げた。


「申し訳ありませんでした。エリナ様」


「エリナ、この者はオルゲンと言うのだが、かなり強い魔力を持っている。召喚魔法に対する罰則も定められていない。そして何より、改心してこの町に尽くしたいと言っている。エリナには申し訳ないが、私はこのオルゲンを迎え入れることにした」


「……!!」


エリナは、自分が蔑ろにされているように感じた。

優秀な者がいれば、自分は切り捨てられるのだ。


「左様で……ございますか」


傷が治ったらここを出て行こう、とエリナは思った。

そう思いながら、瞳に涙が滲む。

その時、オルゲンが信じられないことを言った。


「私とエリナ様、二人きりにさせてもらえませんか」


「絶対嫌!」と言おうとしたのに、カイウス様はすぐにそれを聞き入れてしまった。

私が殺されてもいいのですわね、とエリナは寂しく思った。


オルゲンは、そんなエリナの腹に手をかざした。


「ちょっと!何すんの!やめてよ!」


普段の言葉遣いも忘れるほどの嫌悪感を、エリナは示した。

だが、その治癒魔法は今までの誰から受けたものより優しく効き目のあるものだった。


内臓が整っていくのが、自分でもわかる。

今まで専門の治癒魔法師が何人も治そうとしてくれたが、ここまでの効果はなかった。

この男は一流の魔術師だ、と認めざるを得なかった。


そんなエリナに、オルゲンは自分の身の上を語った。

父がカイウスの父に殺されたこと。その復讐で迷惑をかけてしまったこと。

カイウスの度量に惹かれたこと。


そんなことを聞かされても……とエリナが思った時、オルゲンが言った。


「エリナ様は、ユージ様のことがお好きなのでしょう?」


「なっ……!」


エリナは、顔を真っ赤にして否定しようとした。

あなたなんかに何がわかるの!と逆上しそうになった。だが


「私がユージ様に邪念を送っていた時、エリナ様は頻繁にユージ様を訪ねてこられました」


そう言われて、エリナの顔はさらに赤くなる。

客観的に考えると、頻繁に剣術の練習を見に行くのは好意があるからだろう。

だとすると、周りの人にもバレバレだった……?

だって、カイウス様への恨みで凝り固まっていたこいつにもバレてるんだから……。


「リィナ様によってユージ様が正気に戻ったことを気にしているのでは?」


こいつ、どこまで私の気持ちを理解してしまってるんだ!とエリナは歯噛みした。

生かしておけん!とまで思ったが、今のエリナでは太刀打ちできる相手ではなかった。

そして、オルゲンはリィナの召喚について口を開く。


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