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【完結】『領主に害をなす者』と呼ばれた僕は、テレパスで繋がる親友たちと異世界を生きる  作者: 扇風機と思ったらサーキュレーター


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姉妹

リィナとエリナは、一緒に食事をとることが多い。

一応交代で作ることになっているが、エリナの方がそつなく美味しいものを作れるので自然とエリナが作る方が多くなっていた。


拾われたばかりの時はカイウス様の食事にご相伴させてもらっていたが、いつまでもそうしているわけにはいかなかった。

食事も作れるようになった方がいいということで、二人は役所の台所を使わせてもらっているのだ。


リィナが雄二に自分も地球から来たことを話した日の夕方、エリナは食事の準備をしていた。

だが、そこにリィナの姿がない。

いつもはお腹を空かせて食事の時間より前に席に着き、「早く早く」と目を輝かせているのに。


食事の準備が終わっても来ないので、エリナはリィナの部屋に行き、扉をノックして声をかける。


「リィナ、ご飯の時間ですわよ」


リィナは、扉を開けて出てくる。が、その目は真っ赤だ。


「どうしましたの?」


「エリナ……」


自分は余計なことをしてしまったのではないか、という後悔がリィナの胸の中にある。

エリナを守れるくらい強くなれと発破をかけようと思ったのに……。


「エリナは、ユージのことが好き?」


「またその話ですの?甘えん坊の妹の方が大事ですわよ」


いつもなら、私が姉だってば、と返ってくるところだ。だが、今日は違った。


「私は、エリナに幸せになって欲しい」


「リィナも幸せになるんですのよ」


当然のように返ってきた言葉に、リィナは目を丸くした。


「……エリナ」


「リィナ、先にご飯にしますわよ。今日はリィナの好きなシチューですのに、冷めてしまいますわ」


それを聞いたリィナのお腹が大きく鳴った。


***


「エリナのシチューは美味しいな。毎日でも食べたい」


「毎日は飽きますわよ。それに、リィナも料理を覚えなさいな」


「……うん、今度教えてね」


「今日は随分殊勝ですわね。どうしたんですの?」


リィナは少しためらった後、エリナを自分の部屋に招き入れた。


「エリナ、……本当は私もユージと同じところから来たの」


エリナの目が大きく開かれる。


「だからユージ様は自分のものだと?」


エリナは、少し冷たい声でリィナに言った。

それを聞いたリィナは、慌てて否定する。


「違うの!私のことを知って欲しいと思ったの!……今までエリナに気持ち悪がられるかもしれないと思って言えなかったけど、受け入れてくれるんじゃないかと思って……」


震えながら必死で言い募るリィナを見て、エリナは自分の誤解を詫びた。


「ちょっと驚いてしまったけれど、どこで生まれてもリィナはリィナですわ」


それから、リィナは雄二に話したのと同じ話をした。

父親に殴られたこと、誕生日に寒い外に放り出されたこと、身体が冷たくなっていく感覚……。


それを聞いているエリナは、いつの間にか涙を流しながらリィナを抱き締めていた。


「でも、死んだからこうやってカイウス様やエリナに会えたんだよね」


「リィナ……」


「怖くて寒くてうなされた時、いつもエリナはこうやって抱き締めてくれる。私は、暖かくて嬉しくて、本当に感謝してるんだ」


「いつでも抱き締めてあげますわ」


泣きながら、エリナが言う。


「だから、エリナがユージを好きなら……」

「前も言いましたわよ、妹を置いて行ったりしないと」


リィナは、エリナに顔を寄せていった。


「ありがとう……ごめんね、お姉ちゃん……」


「リィナ、たくさん、たくさん、甘えていいんですのよ」


エリナはリィナを抱き締め、リィナはエリナの胸に顔を埋めて泣き続けた。


雄二は、そんなことを知る由もない。


***


「ユージ、結構上達したな」


剣術の先生が褒めてくれた。日本の時間で言うと、1ヶ月くらいが経っただろうか。

そして、体を休めることを勧められた。


「根を詰め過ぎるより適当に抜いてる奴の方が上達が早いんだよ」


とのことだった。だから、僕は久しぶりにエリナやリィナと仕事をしようとカイウス様の役所に向かった。

最近エリナが来ないことも気になっていた。


「久しぶり、仕事はどう?」


と声をかけるが、エリナの反応はあまり芳しくない。

代わりにリィナが


「うん、ユージが教えてくれた帳簿のつけ方のおかげで随分効率が良くなったよ」


と愛想よく返してきた。何か違和感を覚える。

会っていないのだから嫌われるようなことはないと思うが……会っていないから怒られているのか?


……いやいやいや、自惚れるな。それは自分を好きだという前提で考えていることになる。


それでも、懐いてくれていた女の子が素っ気なくなるのは寂しい。

何かあったんだろうか、と考えずにはいられない。


でも、こんな時に勇敢に話しかけられるほど女性との会話経験が豊富ではない。


少し気まずい空気が流れている中、突然——


どぉん。


地鳴りのような音が、町全体を揺らした。


「な、何の音ですの!?」

「……外からよ!」


僕の心臓が、冷たい手で掴まれたように締めつけられる。


雨雲が低く垂れこめ、湿った風が吹き抜けていく。

嫌な予感が、背中を這い上がってきた。。


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