サキュバス 立つな! ハイハイ!
魔王城内
……魔王チンパンジーはいらだってうろうろしていた。
……チンパンジーだってオスなら定期的にナニをしたい。
だがしかし憎き人間どもの性的玩具ではあまり満足できない。
やはり繁殖期のメスのチンパンジーのあの膨張した……
実に性的な魅力のある……お尻でなければならぬ。
そういうことを今しがた馬型の魔物に相談して居たら、
机上にいたフクロウ型の魔物が首をグルグル動かしつつ思案すると提案する。
「では……淫魔……サキュバスはどうでしょうか……?」
魔王チンパンジーは首をかしげる。
「……?サキュバスって何のことだ……?われはそんな魔族しらんぞ?」
フクロウ型の魔族が答える。
「えっと……人型の魔族の一種でございます。主に人間の異性に化け、性行為をしその魔力を吸い取るような生態に特化した魔族でございます。」
「……人型の魔族だろ?話にならん。」
吐き捨てるように言い、右手を掲げると、銀色に輝く。
フクロウ型の魔族は羽を羽ばたかして慌てて言う。
「で、ですから!サキュバスは変身できる魔族ですので……チンパンジーのメスにも変身できるのではと……そうすれば魔王チンパンジー様の望みにかなうかと……」
銀色の輝きが消え、手を下ろす。
「ふむ……そうか……そうか……なるほどな……おい、そこの馬よ、サキュバスとやらを連れてまいれ……」
「はっ……」馬型の魔族はバリアーを開け閉めして出ていく。
そして、さらに魔王の椅子のある大きな部屋のドアを口で開け閉めしていった。
10分後
魔王の椅子のある部屋のドアの前に人型の魔族が姿を現した。
その頭はピンク色の髪に、くの字に曲がった角が生え、黒いドレスを着ている。
針金のような細長く伸びた尻尾の先端はスペードのような形をしている。
魔王チンパンジーはその姿を見るなりすぐさま険しい顔をして叫ぶ。
「土下座しろ!顔を下げよ!」
「は、はっ!」サキュバスはすぐさま土下座をし、顔を地面に向けた。
「よかろう……その姿勢のまま……こちらにまいれ……」
「えっ……このまま……ですか……」
「何か文句でもあるのか?この手刀の餌食にしてもやってよいのだぞ……」
「い、いえ……」
サキュバスは土下座からやや手足をすこしのばし、ゆっくり這いよる。
そのようすはまるで人間の赤ん坊がするハイハイだった。
(ハイハイプレイだなんて……なんたる……くっ……いや……案外悪くはないわね……)
そのままハイハイで魔王チンパンジーの鎮座するバリアの向こう側についた。
魔王チンパンジーはその様子を見下しながら言う。
「では命じる……サキュバスよ……この世界のチンパンジーの生息するジャングルに向かえ……そこで、発情期のメスのチンパンジーの様子をじっくり観察し、その肉体を覚えよ……いいか……主に膨張した性器の様子をじっくり確認するのだ……ときにはオスのチンパンジーに化け、どのような性器が快感をもたらすのかの確認も怠るなよ……期限は、一ヶ月だ……チンパンジーのメスに変身するすべをマスターしたら戻ってまいれ……」
「は、はい……」
「わかればよし……退去するときも顔を見せず四つ足で歩くようにしろ……」
サキュバスはすごすごとハイハイでその場を後にする。
ハイハイの姿勢のままドアノブに片手を伸ばしたが届かなかったので、
その場にいた馬型の魔族がかわりに口で開け閉めをした。
こうしてサキュバスは一人、奥地のジャングルに向かって旅立っていったのであった。




