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番外編(オラは馬鹿)

魔王城の城下町近くの道路。


その者は走っていた。

ただただ、走っていた。


その者は四つ足でギャロップで走っていた。

そして悲しそうにつぶやいた。


「オラは馬鹿。」


突然「馬鹿」と相手から言われたら腹立たしい気持ちにならないだろうか?


……だが実際に馬鹿なのだ。


馬鹿というと普通は侮辱の意味合いがある。


しかしオラの場合はちょっと違う。


人間、もしくは人型の魔族と比べたら確かに馬鹿だ。


でも決して他の動物や、獣型の魔物と比べて決して知能が劣るわけではない。


ではなぜ馬鹿と言われるのだろうか。


それはね


それはね


オラは馬と鹿のハーフだからだよ。


もう一度言うよ。


オラは馬と鹿のハーフだからだよ。


正確にいうと、馬型魔族と鹿型魔族のハーフなのさ。


その証拠に、オラの蹄は一本ではないし

割れた二本の蹄でもなく、途中で中途半端に割れている。


体は馬のように大きく、脚の筋肉は力強くその力で強く走れる。

体には鹿のような白い斑点があり、頭には立派な鹿の角が生えている。


だから、馬と鹿のハーフ。それを縮めて簡単に言うと……馬鹿。


動物は系統が遠ければ遠くなるほどハーフはできない。

でも魔物は系統がいくら遠かろうがハーフができるんだ。不思議だね?


オラの父さまはね、今は魔王城で魔王チンパンジー様の側近として働いている。


それはね、名誉なことなんだ。


それまでは四つ足の獣型の魔物で、魔王様の側近になれたものは一匹もいなかったんだ。


でもね


でもね


人型の魔族や魔王チンパンジー様はね、「馬鹿」が相手を侮辱する意味だと知っているのさ。


(※なお、この時代のこの地方の人間たちは「馬鹿=愚か」という概念を持ち合わせていません。だからこの魔物を見かけたとしても、おそらく馬鹿とは呼ばなかったでしょう。。)


だからね、その人たちと顔を合わせるとね


馬鹿!馬鹿!って言われてね、笑われるのさ。


今日も言われたさ。


ああ、そうさ。オラは馬鹿さ。


でもね


でもね


なんだか悲しくなるんだ。


だからそれを紛らわすためにひたすら走っていたんだ。


ああ、自由に走るのは喜びだ。父さまが馬型の魔族だからね。


何故、馬型の魔族と鹿型の魔族が交わったのか知りたいかい?


ああ、それはね


オラの父さまはね、動物の牝馬と仲が良かったのさ。


相思相愛だったんだ。だって、馬型の魔族は身も心もほとんど馬にそっくりだからね。


普通のことだよ。


馬型の魔族は人間を乗せて普通に走ることもあるし、荷車を引くこともあるのさ。


(人間のほうは気づいていないままの人も居るかもしれないし、

気づいたうえであえてそうしている人も居るみたいだけど……

うん……細かいことは考えないことにしようか……)


気持ちはわかるよ。オラも魔物ではない馬や鹿に恋することもあるのさ。


でもね、いくらつがおうと、魔物の父さまと動物の牝馬の間に子供は生まれなかったんだ。


そうだね、魔物と動物の間では子供は生まれないからね。


オラにはあまり細かいことはよくわからないけど、

魔物と動物では体の中の仕組みが色んな意味でものすごく異なるみたいだよ。


牝馬のほうはそれほど気にしていなかったみたいだけど、

それで悲しんでいる父さまを見かねて、

たまたま通りかかった、鹿型の魔物がペロペロと体をなめて慰めたんだ。

のちにオラの母さまとなる鹿型の魔物さ。


いつしか相思相愛となった。で、オラが生まれたってわけ。



次の日もオラは走っていた。悲しみとともに走っていたのさ。


でもね


ある時、近くで荷物運びの仕事をしていた、ロバ型の魔物が言ったんだ。


「わお!君の体は凄く立派でかっこいいね!」


そしてもう一言、言ったんだ。


「鹿みたいな模様もきれいだしその角も立派だね!いいなあ。あこがれちゃう!」


オラはそれを聞いたら、不思議となんだかうれしくなっちゃった。


今日は走る。今日は昨日とは違う。


今日は喜びとともに走っている。


隣をロバ型の魔族が走っている。


その日から、オラ……馬鹿とロバ型の魔族は友達となったのさ。


ちなみに友達となったロバ型の魔族はロバとは思えない程おしゃべりでよくしゃべるんだ。


うぇーい!


たーのしー!

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