17.覚悟の行き先
登場人物
<ディヴァインリーパー>
ジェシカ
グラフ
アンディ
アリス
アルス
クロード
グラフの想い人
ルミナス・エフェメール
二人は廃城の椅子に座り、無言の空気が流れていた。
「ねぇ、グラフはどうしたいの?」
「……そうだな。俺はルミの魂をこの世界から消してやりたい。
そして、俺も一緒にルミをずっと守ってやりたいと思ってる」
ルミナスを想うグラフの気持ちを、近くで聞いていたジェシカは視線を下に落としていた。
そんなジェシカの様子に気づいたのか、グラフは少し明るく声を上げる。
「今すぐどうこうなるわけじゃない。そんな暗い顔するな、ジェシカ」
「だって……そんな悲しいこと言われて、素直に喜べないよ」
「お前の言ってることは分かる。だが、これは俺の覚悟だ。受け止めてくれ。
そして時期が来たら、俺は自分のために行動する」
グラフはジェシカの目を見て、はっきりと言い切った。
「……分かった。ありがとう、グラフ。話してくれて」
「ああ、そろそろ戻るか」
「そうだね、帰ろう」
──────────────────
────ミネルバ王国・拠点。
ジェシカとグラフは拠点に戻り、玄関の扉に手をかける。
開けた瞬間、工房から鉄を叩く音が聞こえてきた。
「あ、そっか。今日から三日三晩、寝ずだったね……」
「そうだな。奴らの努力が形になるまで、俺たちは待つしかないな」
「うん、三人とも頑張ってるみたいだね!」
鉄を叩く音を背に、二人はリビングへと足を運ぶ。
──────
「あら、大丈夫だったの?」
そこにはアリスの姿があった。
「あ、ただいまアリス」
二人を見て、アリスはくすりと笑う。
「うふふ、何があったのかしら……二人とも、服もだけど……汚れてるわよ」
アリスの言葉に、ジェシカとグラフは顔を見合わせ、笑い合う。
「あはは! 本当だ! グラフ、汚い!」
「くっくっく……お前も人のこと言えないだろ」
さっきまでの重い空気を払うかのように、二人は笑った。
「ほら、先にジェシカかしら。お風呂に入ってきなさい」
アリスに促され、ジェシカは涙を浮かべながらも笑って頷く。
「あ、うん! 先に入るね、グラフ」
「ああ、先に行け」
「また、後でね!」
ジェシカはリビングを出て風呂場へと向かい、その笑い声は扉の向こうへと消えていった。
──静寂。
「……さて、グラフ。あなた、ジェシカに何を話したの?」
先ほどまでとは雰囲気を変え、アリスはグラフに向き直る。
「……何もしていないさ。ただ俺の意地と過去、そして覚悟を話しただけだ」
「……そう。でもね、もうジェシカに重荷を背負わせないであげて。
分かるでしょ? あの子はまだ幼いの。それでも、自分の背負っているものと向き合って、覚悟を決めて今があるのよ」
アリスの言葉が、グラフの胸を抉る。
「……分かっている。だからこそ、お前に研究の依頼をしたんだろ」
「……いいわ。そんなに知りたいなら、教えてあげる」
「な、何!? 分かったのか?」
「ええ。先に結論を言うわね」
グラフとアリスの間に、緊張が走る。
「可能よ」




