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紅月のクロスリーパー 〈血を武器に変える少女と世界の真実〉  作者: ルーツ
第四章 争いの果てに何を想うのか

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10.帰還、そして進化の兆し

登場人物

<ディヴァインリーパー>

ジェシカ 

グラフ

アンディ 

アリス

アルス

クロード

──ミネルバ王国。商店街。


ジェシカとグラフは、出雲の国から託された

国宝──<真打>建御雷神を携え、ミネルバ王国へと帰還していた。


そして今、アンディたちの待つ拠点へと足を運んでいる。


ジェシカが初めてこの国を訪れた時と比べ、街の雰囲気は大きく変わっていた。


何より──活気に満ちている。


人々の声。

店の呼び込み。

行き交う笑顔。


その全てが、この国の再生を物語っていた。


「なんか凄いことになってるね!」


ジェシカは目を輝かせながら周囲を見渡す。


「……そうだな」


グラフは静かに答える。


「これもお前がアリュールを倒し、そしてソフィアが掲げる政治の結果なんだろう」


「うん!でもさ、こんなにも変わるものなんだね!」


「ああ。何事も同じだ」


グラフは街を見渡しながら続けた。


「上に立つ者にカリスマがあるかどうかで、その国はここまで変わる」


一瞬言葉が止まる。


「それに……」


ジェシカが首を傾げる。


「今、俺がこうしてジェシカ……お前の隣を歩いているのも、その一つだ」


ジェシカがグラフを見る。


グラフは静かに言った。


「俺はジェシカ。お前に忠誠を誓っている」


「グラフ……」


ジェシカは優しく微笑む。


「うん。分かってるよ」


「……ああ」


グラフは静かに頷いた。


「俺の命は、お前の為にある」


二人は活気に満ちたミネルバの街並みを眺めながら、拠点へと向かって歩いていった。


──────────


──ディヴァインリーパー拠点。


「帰ってきたね、グラフ!行こう!」


子供のようにはしゃぐジェシカを見て、グラフは帽子に触れ、被り直した。


ジェシカは玄関の扉のノブに手を掛ける。


そして──勢いよく開けた。


「ただいまーー!!」


声が拠点に響く。


少し遅れて、廊下を歩く足音が二人の耳に届いた。


やがて姿を見せたのは──アリスだった。


「うふふ、お帰りなさい」


「えへへ、ただいま。アリス」


アリスの視線が、ジェシカの腰へと落ちる。


そこには建御雷神。


「それが……そうなのかしら?」


「あ、うん。そうだよ」


アリスは微笑んだ。


「そうなのね。

あ、ごめんなさい。立ち話もなんかしちゃって」


そう言うと、三人はリビングへ向かう。


──────────


アリスがリビングの扉を開けると──


そこにはアンディ、アルス、クロードの三人が紅茶を飲んでいた。


三人の視線がジェシカへ向く。


「『おかえり』」


三人の声が重なる。


「うん、ただいま」


だが、ジェシカはすぐに気づいた。


部屋の空気が、どこか重い。


「ほら、立ち話はよくないわ。座って」


アリスが優しく言う。


「今、紅茶を用意するわね」


「あ、うん。ありがとう」


「グラフもどうぞ」


「……ああ」


二人は空いているソファへ腰を下ろした。


その時、ジェシカは建御雷神を膝の上に置く。


それを見たアンディが口を開いた。


「ジェシカ、それが建御雷神か?」


「うん。

それよりさ……なんで朝からこんな空気が重いの?」


ジェシカの問いに、アルスが口を開いた。


「……原因は俺だ」


静かな声だった。


「グラフから聞いているとは思うが、玉鋼の錬成は成功した」


「うん」


「だが次の問題だ。

アリュールのダークマターを使って刀に合成錬金をする時──」


アルスは少し言葉を詰まらせる。


「……俺自身がアリュールに飲み込まれるような気がしてな」


その言葉に、部屋の空気が重くなる。


皆がどうするべきか考えていた。


その時だった。


「ねえ、アルス」


ジェシカが口を開く。


「前みたいにさ、私が抑え込むことは出来ないの?」


アルスが眉を動かす。


「……どういう意味だ?」


「えっと……うまく言えないけど」


ジェシカは少し考えながら続ける。


「前みたいにスカーレットローズで抑え込めば、アルスに影響が出ない……とか」


アルスは思わずはっ!とし、腕を組み、考える。


「……確かに理論上は可能だな」


そして問い返した。


「だが仮に抑え込めたとして……その後はどうなる?」


その時だった。


アリスが紅茶をテーブルへ置き、ソファへ座る。


「うふふ」


不敵な笑みを浮かべていた。


「別に、それでもいいんじゃないかしら?」


皆がアリスを見る。


「だって、どちらにしても、現段階では呪われた武器になるのでしょう?」


一瞬の沈黙。


そして──


「くっくっく……」


「あはは!」


「ふっ……」


部屋に笑いが広がった。


張り詰めていた空気が、一気にほどける。


「ふっ……そういうことらしいぞ、アルス」


グラフが言う。


「ああ、そうだな」


アルスは頷いた。


「ジェシカ。悪いが俺が錬成している間、暴走したらスカーレットローズで抑え込んでくれ」


「うん。分かった」


こうしてアンディ、アルス、クロード、そしてジェシカの四人は紅茶を飲み干し、工房へ向かっていった。


──────────


少し遅れてグラフも立ち上がる。


工房の外から見守るつもりだった。


だが、その時だった。


「待って」


アリスの声。


グラフが振り返る。


「あなたはこのまま座って話を聞いて」


「……分かったのか?」


アリスは紅茶に口を付ける。


一口。


そしてゆっくりとカップを置いた。


「……そうね」


表情が変わる。


先ほどまでの柔らかな笑みは消えていた。


「先にあなたには話しておくわ」


アリスは真剣な目でグラフを見た。


「──”クロスリーパーの進化”についてね」

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