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紅月のクロスリーパー 〈血を武器に変える少女と世界の真実〉  作者: ルーツ
第四章 争いの果てに何を想うのか

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9.出雲の朝風

登場人物

<ディヴァインリーパー>

ジェシカ 

グラフ

アンディ 

アリス

アルス

クロード


<ミネルバ王国>

国王 ミネルバ・ソフィア・マニフィック


<出雲の国>

出雲の長 梟

梟の娘、巫女 凛

──次の日。出雲の国。


グラフはジェシカの元へ向かっていた。


その途中、梟と凛が守人たちと共に大広間へ歩いていく姿が視界に入る。


それに気づいた凛が足を止め、グラフへ声をかけた。


「おはようございます。グラフ様」


「ああ、おはよう。

こんな朝から、何かあるのか……?」


「はい。これから、出雲とミネルバの話し合いが行われます。

そして復興へ向けた今後の取り決めなども、そこで話し合われるのです」


凛の言葉を聞きながら、グラフは思う。


──出雲は、もう次の道を歩き始めているのだと。


「……そうか。

これからの出雲が、良い方向へ進むことを願っている」


グラフの言葉に、凛は優しく微笑んだ。


そして静かに一礼すると、大広間へ向かって歩いていく。


その背中には、もうあの時のような弱々しさは微塵も感じられなかった。


────────────


「ジェシカ。いつまで寝ている。

いい加減起きろ」


そう言いながら、グラフはジェシカの部屋の襖に手を掛け、開けた。


しかし──


部屋の中に、ジェシカの姿はなかった。


その時だった。


グラフの耳に、遠くから激しい心音が響く。


──!!


聞き覚えのある鼓動。


ジェシカだ。


グラフはすぐに走り出す。


向かう先は──道場だった。


道場の中。


グラフの視界に入ったジェシカは、昨日託された建御雷神を鞘から抜き、静かな空間の中で目を閉じていた。


「……ふっ、そういうことか」


グラフは小さく笑う。


安堵の息を吐き、声をかけた。


「もういいのか?」


その声に、ジェシカは目を開く。


そしてゆっくりと頷いた。


「グラフ。

みんなの所へ帰ろう」


「ああ、そうだな」


ジェシカは建御雷神を静かに鞘へ納め、腰へと携えた。


グラフはその刀を見ながら言う。


「その鞘と柄、鍔はどうしたんだ?」


「あ、これ?」


ジェシカは少し嬉しそうに笑う。


「納める前の、本来の姿なんだって。

これが建御雷神の形らしいよ」


「なるほどな」


二人は軽く言葉を交わしながら、ミネルバ王国で待つ仲間たちの元へ帰る準備を進めた。


────────────


梟たちは、まだミネルバの代表者たちと前向きな話し合いを続けている。


今はこちらから声をかけることも出来ない。


二人は屋敷の外へ出た。


するとそこには──


復興へ向け、動き始めている出雲の民の姿が広がっていた。


崩れた建物を直す者。


荷を運ぶ者。


互いに声を掛け合いながら、国を立て直そうとしている。


その光景を見て、ジェシカがぽつりと言った。


「みんな……頑張っているんだね」


「ああ」


グラフは静かに頷く。


「俺たちも、ここの奴らとは違うが──

やらなきゃならないことがある」


そして続けた。


「だから、ここで立ち止まるわけにはいかない」


ジェシカは力強く頷いた。


「うん! そうだね!」


そして大きく息を吸い込む。


「よーーし!!

帰ろう、グラフ!」


ジェシカは手を掲げる。


「──ブラッディローズ」


その瞬間。


ジェシカの手元から、真紅の血の花弁が舞い上がった。


風に乗り、花弁は空へと広がっていく。


次の瞬間。


二人の姿は──消えていた。


出雲の国を流れる優しい風が、舞い残ったブラッディローズの花弁を静かに運んでいく。


その花弁は、まるで新たな旅立ちを祝うかのように

ゆっくりと、空へと舞い上がっていった。


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