実戦と経験そして、、、
登場人物
クロスリーパー
主人公 工房の鍛治師
ジェシカ アンディ
鍛冶屋 鍛冶屋の妻
フレデリック リーシャ
ベッドに大の字で寝ていたアンディは目が覚めゆっくりと身体を起こし周りを見たがジェシカが見当たらず部屋を出て探した
するとリーシャと2人テーブルを挟み楽しそうに食事をしているジェシカを見つけた
そこには何とも言えない小さな幸せを感じさせる雰囲気があり思わず声をかけるのを止めゆっくりと部屋に戻るアンディだった、、、
・・・・・・・・・
部屋のドアが開くとアンディは椅子に座り窓を外を眺めていた
「あ、起きてたんだ」
「ああ、なぁ、、ジェシカ。」
「何?」
「お前さえよければここにずっと生きて行くと言う選択をしてもいいんだぞ、、、」
「、、、アンディ言ったよね。」
「私の取り巻く状況がどうなるか分からないって」
「そうだな、、」
「だったら私がここにずっと居ちゃいけないって分かるよ!!」
「ああ、、だがな俺がお前の平穏を守る事でお前が幸せに暮らせるならそれでいいとさえ思っている」
!!
「なんで私の事をそんなに、、、、、」
「お前の抱える業は俺なんかでは計り知れない、、だが放棄する事はできる」
「それでもあえて前を向いて対峙する選択を取る必要があるのか、、俺にも分からん」
「ううん、、私やるよ。そしてリーパーとして死者をこの世界から無くす」
「ジェシカ、、お前、、、、」
「だってそうなれば私を取り巻く環境を取り払えるんでしょ」
「、、、、簡単にいいやがって、、フフ」
帽子を深く被りニヤつくアンディ
「あー!そうかよ!!分かったよ!!」
「なら俺のいない間にフレデリックの武器は記憶したんだろうな!?」
「うん!やったよ!それにほら見てよ」
そう言うとジェシカはその場にピン!と両足でしっかり立ち一瞬にして空気が重くなった
「ブラッディローズ」
身体全体から真紅の花びらがふわっと部屋に広がり右手に短剣が顕現した
「おお、、やるじゃねーか、、、」
「アンディ。」
「ん、、、」
「まだだよ、、、」
すると短剣からロングソードへ変化し更に槍、両手斧、大鎌、、と瞬時に武器が変化して行く、、、
鎌を両手で持ちくるくると回すと血の花びらは天に上がるように更に部屋全体を覆い1つの空間を作り出した
ブラッディ・プリズン
鎌を片手に持ち替え床にドンと柄を力強く置きポーズをとった
「これは何だ、、、、」
「この空間の花びらを使って身体解放を行うとこの空間は常に高速移動や攻撃ができるかなって思って」
指をパチンッ!と鳴らすと花びらの空間は消えて元の部屋の姿に戻った
「どう!?ね!ねぇてば!!」
「あ、ああ、、、正直驚いているよ、、、」
「それってどう言う事??」
「そうだな、、まずブラッディローズから形成された武器は基本的に変更はできない、、、」
「それに舞い散る血が遥かに綺麗だ」
「何よりこんな技をいつ考えたんだ、、、」
「うーん、、、なんか分からないけどもう1人の自分が教えてくれるの」
「こう、、なんて言っていいのかなー違う視点から自分が見えているって言うのかなー」
「お前が何を伝えたいのか分からないがこんなの今まで見た事などない」
「そうなんだ、、これ使ったらダメな感じなのかな」
「いや、、むしろこれはジェシカの決め技にしてもいいだろうな」
「本当!?やった!!わーい」
隣で喜んでいるジェシカをみて冷や汗が止まらないアンディ、、、、
(なんて恐ろしい潜在力と想像力だ、、、、)
「ねえってば!」
「あ、ああ。何だ、、?」
「もう、、何だじゃないよーこの後は何か練習するの?」
「、、、そうだな。よし一緒に依頼受けて実戦形式をやってみるか」
「うん!!」
・・・・・・・・・
2人は町の中央にある噴水の広場に行き依頼書に目を通していた
「うーん、、、ジェシカにちょうど良さそうな依頼がないな、、」
「アンディ!これやろうよ!!」
「ん?」
アンディに手に持っている手配書をみせた
「おいおい、、これはさすがに厳しいだろ」
手配書には近隣に潜む悪魔の討伐依頼で狩った数によって報酬が変わる。と言う物だった
「だってこれ1匹でもいいんでしょ」
「まぁ、、確かにそうだな、、、本当にコレにするのか?」
「うん!」
アンディは少し考えたが無言で頷いた
「支度して行くぞ。」
*****
支度を整え町の外にいる警備兵に手配書を見せ討伐に行く事を伝えてると他にも同じ依頼を受けた奴らがいるらしい。と言われた
報酬目的で人間も死者を狩ってる奴らなんてどこにでもある話しだから気にする事なく2人は森林に入って行った
しばらく歩くと2人同時に足を止めた。
「アンディ、、」
「ああ。」
「それじゃ見せてもらうぞ」
「うん、、。」
人間にとっては静かな森に聞こえるかも知れないがリーパーには様々な音や声が聞こえていた
そんな中でも死者の音は独特な心音をしている
さっきよりも心音がよく聞こえてくる、、、
ジェシカは心音の方を向き身構えアンディは距離をとりジェシカの邪魔にならないように姿を消している
「んぐっ、、、、」初めての死者狩りに緊張しているジェシカは生唾を飲み込む
遠くから人影がどんどん形を成していく、、
すると人影はくっきりと人として見える距離まで来た
「おや、、これはまた可愛い子だね、、、迷子かな?」
「ほらおじさんが一緒に町まで連れて行ってあげるからね行こう。」
優しく微笑みながら近づいてきた
私との距離はほぼなくなり「ほら。」と言って右手を握ろうとしてきた
「ブラッディローズ」
即座に握ろうとした右手首を真紅の短剣で切り落とした
!!
「て、てめー、、、人間じゃねーな!」
ゆっくり死者の方を向き無言のまますごい速さで向かい一気に距離を詰め喉元に短剣を突き刺し目、鼻、口、耳、そして刺した喉元から鮮血が飛び散り膝をついて即死だった
返り血を浴びたジェシカは息を切らす事なく冷静に短剣に力を入れブレスレットに戻した
ふうー、、、、アンディ!!
ああ、見てたよ。見事だった
ありがとう!
アンディはジェシカが手に持っている死者の右手を取り小指を切って袋に入れた
「何してんの?」
「あー?これ持って帰らねーと倒したと言う証拠にならないんだ」
「なるほどね、、、まだやる?」
「そうだな、、さっきの動きを見た後だからもう2、3匹はいけそうだと感じたが、、ここからだと距離が、、」
!!!
「ア、アンディ、、、、、」
「あ、、ああ、、何だこの雄叫びは、、、それにこれは人間か??」
遠くから人間の断末魔にも似た叫び声が耳に届いた
「アンディ!!」
「ったく、、、行くしかねーか!!行くぞ」
「うん!」
アンディはジェシカより先にブラッディローズを作り叫び声がする方に向かってジャンプ移動した
追いつくためにジェシカもブラッディローズを作り同じ方向へすごい速さで移動した
・・・・・・・・・・
「見えた!!何アレ、、、、」
遠くからも分かるくらい巨大な死者が人間たち、いわゆる冒険者を蹂躙し周りにも死者が数匹いて団体で連携取って行動していた
「ぎゃーー!!痛いよ!助けて、、、たすけ、、、」
「やめて!!いやー!!」、、女は2匹に囲まれ服を脱がされレイプされようとしている
「なあ!見逃してくれ!!たの、、ぐひ、、」
数人で組んでる冒険者たちは死者の爪で引っ掛けられ顔に深い傷を負わされ急に目が見えなくなり混乱してる人や巨大な死者に踏み潰され運悪く即死できずに持ち上げられ断末魔を叫びながら巨大な死者に喰われ口の中でバラバラに砕かれ餌にされてた、、
「ジェシカ!!お前はまず人間を救出しろ!俺は"奴"をやる」
「分かった!」
まずは女性の冒険者の方に方向を変え2匹の死者を標的にした
「ブラッディローズ」
冒険者の周りに真紅の花びらが舞う、、、全員が上を向いた。その瞬間を見逃す事なく花びらを足場にして移動を止め即座に真紅のロングソードを顕現させると同時に身体解放し死者に向け一気に距離を詰め腹部を斬った!
あまりの一瞬の事で何が起こったのか周りは分からずただ上を向いていたがそこにいた死者だけはあまりの深手に叫んでいた
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああー!!」
腹から内臓がぼたぼたと落ちる、、
く、くそー!!そう言いながら地面に落ちた内臓を自分の腹に戻そうとするが既に背後を取っていたジェシカは何の躊躇もなく首を切り落とした
まるで噴水のように頭が繋がっていない首から鮮血が飛び散る
もう1匹は誰かいる事は分かったようで周りをキョロキョロと見ているがジェシカを目で捉える事ができずにいた
その一瞬をジェシカは見逃さず事なくロングソードから大鎌に変化させ死者の正面に立ち姿を現した
!!
思わず後ろに下がろうと距離を取ろうとするが大鎌で後ろを塞いでおり自ら背中に大鎌の刃が触れ真っ二つになった
さすがに連続でブラッディローズを使い武器も何度も変更させた事もあり渇きを覚えてたジェシカは真っ二つになった死者の上半身を鎌で刺し自分の頭上に来るように持ち上げ斬られた内臓から大量の鮮血が雨のように降りそれを上を向いてゴクゴクと飲んだ
飲み終えると上半身の死者を遠くに上を向き投げ声をあげる
「アンディ!」
アンディは他に被害が行かないように時間を稼いでいるのが分かった
ジェシカは冒険者に声をかけた
「この場から離れ町に戻って!!ここは私たちがやるから早く!!」
「すまん!!」そう言うと全員同じ方向に向けこの場からいなくなった
「よし。」
消えかけの花びらに向け身体解放をし足場にしてアンディの所までジャンプした
「アンディ!こっちはもう大丈夫!コイツどうするの!?」
「ああ、、ジェシカ。部屋でやったのコイツにやれるか?」
「分かった!やってみる」
「俺は下にまだいる死者共を殺っておくからここは任せたぞ!」
「うん!」
巨大な死者の肩に乗り両足に力を入れしっかりと立つ
目を見開きゆっくりと口を開く
「ブラッディローズ」
周りに血の花びらが舞う、、、まるで血に染まった薔薇のように、、、
右手には大鎌を両手で持ち空に向けてぐるぐると高速で回すと血の花びらが綺麗に竜巻のように上昇し肩から地上に降りるジェシカは着地と同時に柄を思いっきり地面にドン!と置いた
ブラッディ・プリズン。
そう言うと花びらは一気に霧状になり巨大死者を覆った
ジェシカは鎌から自分より少し大きな両手剣に持ち替え身体解放のみに切り替え血の霧の中に入り全てが自分の好きな場所に足場が作れる事もあり目で追う事の出来ない速さで巨大な身体を斬り刻み膝裏に深手を負わせ地面に膝を着かせた
その時を待っていたとばかりに空高く飛び上がり新しくブラッディローズの足場を作り巨大な死者へ向かいすごい速さの回転斬りを頭上から足元まで一気に斬り刻み地上に姿を現したジェシカ
さすがに疲れたジェシカは両手剣を背にして座り込んだ、、、
「はあ、はあ、はあ、、、血も肉も使いすぎた、、」
「はあ、、はあ、、、」
ゆっくりとジェシカを睨みつける巨大な死者だか睨みつけた目は上を向き白目が充血し巨大な身体が縦真っ二つになり座っているジェシカを中心に身体が二つに分かれて倒れて行った、、、、
「はは、、私やったよ、、アンディ、、、」
「そうだな、、もう既にジェシカは立派なクロスリーパーだな」
「えへへ、、、でも少し無理したみたいで疲れちゃった、、、」
血も肉も使い精神的にも疲れ飛躍的な成長を遂げてたジェシカは疲れもありその場に倒れ記憶はここで途切れたのだった




