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紅月のクロスリーパー 〈血を武器に変える少女と世界の真実〉  作者: ルーツ
第三章 未開の地、出雲の国

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22. 神を越える刃

登場人物

『ディヴァインリーパー』ミネルバ代表

ジェシカ グラフ アンディ アリス アルス


古代マリア

リーン・ホーク・マリア


ジェシカの眷属

クロード


出雲の国

長  長の娘

梟  凛

刀匠として認められたクロードの肩に、ジェシカはそっと手を置いた。


「よろしくね、クロード」


「う、うん。俺……やるよ」


「うん」


アンディとグラフは、その様子を静かに見守っていた。

まだ幼さは残る。それでも確かに、何かを背負おうとしている。


風が吹く。

季節は、わずかに熱を帯び始めていた。


「ねえ、渇きは感じない?」


「え……あ、うん。大丈夫」


「そっか。なら良かった」


ジェシカは胸元のボタンを二つ外し、風を受ける。

白い肌に日差しが落ちる。

その中心で、紅色がひときわ強く光った。


クロードは思わず視線を奪われる。


「おい」


低い声。


「ジェシカを変な目で見るな」


「ち、違います!」


一拍。


「な、なあ、ジェシカさん……」


「ジェシカ」


「え?」


「“なあ”じゃない。私の名前」


沈黙。


クロードは息を飲み込む。


「……ジェシカ」


「ふふ、なに?」


アンディとグラフは口を挟めない。

梟は肩をすくめ、凛は複雑な表情を浮かべていた。


「何か言いたいこと、あるんでしょ?」


「ああ。ミネルバに着いたら俺は工房に入る。だがその前に……出雲刀の話をしておきたい」


「うん、確かに必要だね」


「少し時間をもらえるかな」


ジェシカはグラフとアンディの二人を見る。


「二人も来てよ。私の刀の話なんだって」


同時に頷く二人。


「もう、絶対わざとだよね、それ!」


空気がやわらぐ。


だが、そのとき。


「その話、ワシも加わろう」


梟の声に、ジェシカは微笑み、頷いた。凛を置いて。


────────────


船内の一室。


向かい合うソファ。上座には梟。


「それで、クロード。私の刀の話って?」


「ああ……だが、その前に」


クロードの視線が、梟の腰へ落ちる。


気付いた梟は、静かに立ち上がり、絨毯に正座した。


「……クロ。お主の考えておる通りじゃ」


梟はジェシカを見据える。


空気が、止まる。


「ワシが携えていた出雲刀──国宝《建卸雷神》。

 お前さんが振るった、あの一太刀。

 その刀に宿る雷神の魂は、その力に耐えきれず……灰となって還った」


沈黙。


誰も、言葉を持たない。


「それ以上の出雲刀を打つとなれば……神業ぞ」


重圧が、場を満たす。


──。


その沈黙を断ち切ったのは、クロードだった。


「梟様。出雲の民を救えたこと。そしてこれからの縁。

今さら、隠し事はなしにしましょう」


わずかに、梟の眉が動く。


「……相分かった。全て任せる」


クロードは覚悟を固めるように、ゆっくり頷いた。

そして、ジェシカを見る。


「俺の考える出雲刀を完成させるには、玉鋼が必要だ。

だが、それだけでは足りない」


「じゃあ、何がいるの?」


クロードは立ち上がる。


静かに、ジェシカの胸元を指した。


「それが必要だ」


「え……」


クロードが示したもの。


それは──リーシャから託された首飾りだった。


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