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紅月のクロスリーパー 〈血を武器に変える少女と世界の真実〉  作者: ルーツ
第三章 未開の地、出雲の国

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19.出雲刀は狂気を斬る

登場人物

『ディヴァインリーパー』ミネルバ代表

ジェシカ グラフ アンディ アリス アルス


古代マリア

リーン・ホーク・マリア


ホーリーエンブレム

ティレ・レ・フィセル


ギルマスの息子

クロード


出雲の国

長  長の娘

梟  凛

「あははは! 俺様の最高傑作を──存分に味わえ!!」


嘲笑に呼応するように、血の守人が疾駆した。

一直線に、ジェシカの命へ届く軌道。


刃が触れ合う、その寸前。

頬を撫でた風が、死の気配を告げる。


──危ない!


思考より早く、身体が動き紙一重の回避。

だが体勢は崩れてしまった。


その一瞬をフィセルも逃す事なく、

落とした切先からの逆袈裟、続く横一文字。


淀みのない連撃。

出雲民──正に守人の太刀筋その者だった。


致命傷は避けるが無傷ではなかった。


(……このままじゃ、やはり無理)


ジェシカは右手の出雲刀へ視線を落とす。

マリアの力を受けてもなお、刃こぼれ一つない静かな直刃。


(一気に行く!!)


──身体解放。


青白い光が、ジェシカを包む。

同時に、刀が微かに震え出す。主人を拒絶……。


力が溢れて一気に決めたい!そんな気持ちに共鳴してくれない出雲刀……


一拍。


「……お願い」


震える息で、告げる。


「力を貸して」


わずかな沈黙。

するとジェシカの言葉を理解したかのように

震えは、すっと止んだ。


「うん……ありがとう」


改めて出雲刀の奥深さを感じ、フィセルを睨むジェシカ。


一歩退き、納刀。

目を閉じ、世界を切り離す……。


次の瞬間──フィセルに向け踏み込んだ。


間合いを消し去る速度。

抜刀。

横一文字。


目に見えない速さに血の守人は反応が一瞬遅れた。

だが、ほんの一瞬の隙が致命傷となる。


それだけで十分だった。


刃が左脇腹を断つ。

さらに踏み込み、両手で振り下ろす──真向斬り。


少しの静寂。


音が消える。

時さえ息を潜めた、わずかな空白。


やがて守人の身体が崩れ、血となって地へ広がった。


ジェシカは視線を上げる。

そして宙に浮くフィセルを、鋭く射抜く。


「な、なんだよ……その力……。頭おかしいだろ! ふざけんな!」


叫びは、もう届かない。

終わらせる──ただ、それだけを決めてフィセルに向け踏み込む。


フィセルは短剣を二本構え迎撃、しかし防御に徹している………違和感を覚えるジェシカ。


「……まだ、何か企んでるよね」


沈黙ののち、口元が歪むフィセル。


「ははっ。何だよバレてるか──なら、もういいや」


血の守人が消えた場所へ足をゆっくりと置く。

静かな狂気をフィセルに感じる。

そして、残滓を吸い上げ、己と混ぜ合わせた。


するとフィセルの皮膚が赤黒くなり、

瞳は更に赤く光、

右手には血の刀を携えている。


──あの時の、覚醒死者に似ている。


「あははは! これで思うままだ!

 これこそが完成体!!死ねよ!!」


拳を握り、突進。


目で捉える事のできる速さ、ジェシカは避けない。

左腕で突進を受け止め、そのまま勢いよく上空へ投げ上げる。


更にフィセルを追う。

腹部へ刃を突き立て、そのまま急降下。


激しく衝突し、砂塵が爆ぜた。


「……はぁ……はぁ……」


喉が焼ける。

渇きが、奥から這い上がってくる……


「あー!いやだ!

 ああもう! お前……本当、うざすぎ!!」


地中からフィセルの怒号。

更に巻き上がる砂煙──その奥で、光が閃いた。


一閃。


──!!


避けた、はずだった。


しかしジェシカの左腕が宙を舞う。

遅れて、激痛と血飛沫。


「くっ………」


歯を食い縛るが、身体解放が解け、力が抜ける。


(……まずい……)


その時、小さく脳裏に響く。


【限界か……】


マリアの声。


【我はまだ足らぬ……】

【はは……こんなに心踊るのは久しいぞ……】


意識が沈むほど、

マリアの声だけが鮮明に聞こえてくる……。


───……。

──…。

……。


意識が途絶える………。


力なく立つジェシカを見て、フィセルが嗤った。


「あははは! これで終わりだ!!」


血の刀を構え、喉元へ──突き。


その瞬間。


「ジェシカぁぁぁぁーーー!!」


遠くから届く、グラフの絶叫。


───!!?


刃はジェシカに届かなかった。


【くっくく……楽しいところ、すまぬ……】


【雑魚が】


銀髪の奥で光る紅色の瞳……


──再度、狂気で世界が揺れる。


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