狩りの心得と飢えの心得
登場人物
クロスリーパー
主人公 工房の鍛治師
ジェシカ アンディ
霧のせいか太陽の光が森の中まで入らず道に迷いそうになる程に濃い霧だった、、、
「アンディ、、、道合ってるの?」
「あー?なんだそりゃ、、逆に聞くが分からないのか?」
「え、、、言ってる意味がわからないよ」
歩いてる足を止め私の方を向いた
「な、何、、、」
「目を閉じろ。早く」
「うん、、、」
言われるがまま目を閉じた
「耳に神経を集中してみろ、、、、」
「はい、、、」返事をして耳に神経を集中させた、、
森からさまざまな音が微かに聞こえる、、、
鳥の音、水のせせらぎ、動物の息、人の息、、、そして悪魔、、、、
「はっ!はっ、、はぁ、、、、、な、何これ、、、」
「聞こえたか?」
「う、うん、、、」
「常にこれくらいはできるようにしておけよ自己防衛にもなる」
「分かった、、、、だから昨日もすぐ悪魔だと分かったんだね。」
「まぁそうだな、、、中には心音や息までも人間と同じに合わせて分からないのもいるから常に周りに網は張っておけよ」
無言で頷く。
「よし行くか、、、」
そこからどのくらい歩いだだろうか、、日が落ちて森も暗くなってきた
「よし、今日はここで野宿だ。」
「、、、うん」
「何だ?なんかあんのか?」
「ううん、、早く町についてベッドでゆっくり眠りたい、、」
「明日には着く予定だから今日は我慢しろ」
「それより腹減って飯食いたいな」
「あーそうだね、、お腹ペコペコだよ、、、」
「ジェシカ、、この周りには動物がたくさんいる何でもいいから狩ってこい」
「えー!ズルい、、、、」
「文句言ってないで早く行ってこい!」
「こっちは料理の準備しておくからよ」
「はいはい、、分かりましたよ、、、、」
焚き火を目印に少し歩くとすぐに周りは暗くなり周りがよく見えなかった
「こんな状況で狩りなんてできるわけがないよ、、」
「アンディめ、、、、それにしてもお腹空いた、、」
・・・・・・・・・・・
「あっ!いた!」
何か動物が横切って行ったのだけは分かった
(よし、、、ゆっくり、、)ゆっくり気配を悟られないように跡をつけた、、が、こっちの存在に気付かれすぐ逃げられた
「もー!無理に決まってるよ!」
「どうすれば狩れるのさ!わけわからないよー!」
太陽は山陰に消え更に森は暗くなり完全な闇状態だった、、、
ジェシカはふと今日アンディとの話を思い出した
「そうだ!耳に気を集中させて音を聞き分ければいいんだ、、」
そう思いすぐ行動に移した
(ん、、?なんか近くに息の荒い何かが1つじゃない、、3つから4つくらい聞こえる、、、、)
そう思った瞬間に草陰から狼がジェシカを襲ってきた!
危うい所を間一髪で避けた、、
「はあ、はあ、はあ、、、危なかった、、、」
周りに目をやると1匹ではなく群ているのだけは分かった、、、
「どうする、、、」
考える暇なんかないくらいの勢いで夜闇の中、更に草陰から襲ってくる、、
なんとかギリの所で回避はできているがこっちから反撃ができない、、、
「あ、、そうか、、、、できるか分からないがやるしかない」
素早い動きにはナイフがいいと思ったジェシカは腹を裂く事のできるくらいの短剣をイメージし真紅の短剣の形成に成功した
狼と武器を構えたジェシカ、、、一瞬で緊張が張りつめた
ゴク、、、、生唾を飲み込み相手が襲ってくるのを待った
だが野生の狼も今まで生きる為に色んな事を経験して来たのだろう、こっちが何をやろうとしているのかが本能的に分かっているのだと感じた
(このまま持久戦は得策じゃない、、どうすれば、、)
「そうか!よし、、」
ジェシカは構えを解き力を抜いて暗闇の中目を閉じお狼の息や心音に集中した
そんなジェシカに狼は諦めたと思われたようで一斉攻撃を仕掛けて来た
激しい息使いを感知し鋭い爪が触れる瞬間に無駄のない動きで回避する
なかなか当たらない攻撃に狼は群れてる。と言うアドバンテージを忘れてただの攻撃をしかけてきた
ジェシカはその隙を逃すはずがなかった!
ギリギリの所で攻撃を回避しすぐさまナイフを腹部に刺し襲ってきた勢いで腹は裂け内臓がボトボトと音をたて地面に落ち1匹仕留めた
群れを成している狼たちの動きにさっきまでとは違い統一されてない事に気付いたジェシカは自分から攻撃を仕掛けて首を跳ね仕留め頭蓋骨に1撃入れ即死させたり司令塔のいなくなった群れはただのジェシカにとって都合の良い狩場でしかなかった、、、
「や、やった、、、倒せた、、、」
「はあー、、、、良かった、、、、、」
狩った狼の足を1つに結び引き摺りながらアンディの元へ歩いて行きようやく辿り着いた、、、
「アンディこれ、、、、、、」
「あはは!何だよその格好は!」
「まあいいさ、あとはこっちでやっとく」
「近くに川があるみたいだからそこで血と泥流して水浴びしてこい」
「うん、、、血でベトベトだしなんか臭い、、、」
「獣の血は臭いからな!!」
「ほら早く行って流してこい!」
アンディに促されるように川に行くと滝壺になっていて身体を洗うにはちょうど良かった
「わー久しぶりの水浴びだー!!」なんて服を脱ぎ川に足を踏み入れようとした時だった
??
周りの音が消えた、、、でも滝は流れ風も吹いてる
「何、、、、あれ、、?」声すら聞こえない、、、
何がどうしたのか訳が分からなかった
「アナタどこから入ってきたの、、、、」
!?
私の隣に女性が立っていた
すらーっと背が高く雪のように白い肌、、そして見た事もない程の綺麗な女性が裸で立っていた
「ねぇアナタ、、、、、」
声を出しても音が出ない、、どうすればいいか、、
ジェシカが何かジェスチャーで一生懸命に何かを伝えようとしている姿を見て理解したようだった
「そうね、、、この空間は私以外音も聞こえず話す事もできない、、ましてや入る事も許されない筈なのに、、」
「アナタ、、、、、、ふふ、、、面白いわね、、」
ジェシカの正面に立ち顔を近づけ頬にキスをしてきた
「またね」
その瞬間今までの出来事が嘘のように滝は激しく風切り音も鳴り森に響き女性の姿は消えていた
「な、何今の、、、それにあの綺麗な女性は、、、」
考えても仕方ないと思い気を取り直して身体の血を流し水浴びしてアンディの所に戻った
「おせーぞ。先に食ってるからな」
「あー!ズルい!!」
「焦んなよ、お前の分もあるからよ」
「ほら、、、」
「いただきまーす!!」
お腹が減っていたがはっきり言って不味い、、、
だが背に腹はかえられない、、、そう思い気を取り直して食べた
聴覚集中、気配集中、、今日だけでも生きる為の様々な方法を理解し少しずつ成長をして行くジェシカしかだった




