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クロスリーパー  作者: ルーツ
第二章 新たなる旅立ち

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6.純血と憑代

登場人物


主人公    賞金稼ぎ  鍛治職人 

ジェシカ   グラフ   グレン  アルス


ミネルバ王国 

ソフィア


古代マリア

リーンホークマリア

「それで……私に紹介してくれる人って、どんな人なの?」


「そうだな……正直に言うと、あまり気乗りはしない」

「だが約束は約束だ。ちゃんと守るさ」

「詳しい話は宿に戻ってからだ」


「分かった。それじゃ戻ろっか」


────。


二人は宿へ戻り、ジェシカの部屋に入った。

 暖炉に火を入れ、部屋がじんわりと温まるまでの間、温かい飲み物を用意する。

やがてテーブルを挟み、向かい合って腰を下ろした。


火の爆ぜる音だけが、しばらく部屋を満たしていた。


「なあ、ジェシカ」


沈黙を破ったのはグラフだった。


「お前のその力……マリア様のものか?」


「……それ、どういう意味?」


「言葉通りだ」

「いくら力を抑えているとはいえ、あの規模の力が全部お前自身のものとは、どうしても思えなくてな」

「何より……お前は、まだ幼い」


ジェシカは一瞬だけ目を伏せ、すぐに小さく笑った。


「なるほどね……確かに、グラフの言う通りかも」

「私の中に、マリアはいるよ」


「……なっ!?」


「そんな、あっさり認めていいのか……」


「グラフになら、別にいいかなって思っただけ」

「ダメだった?」


「ふっ……信頼されてると、そう受け取っておくさ」


グラフは軽く肩をすくめる。


「それで、お前“自身”の力はどうなんだ?」


「うーん……正直に言うとね」

「何が私で、何がマリアなのか……今の私には、まだ分からない」


その言葉に、グラフは目を閉じた。

短く、しかし深く考える沈黙。


「……明日だ」


静かに告げる。


「俺たち同族が暮らしている集落に、お前を連れて行く」

「だが、お前の力の事は誰にも言うな」


「うん、分かった」

「……でもさ、もしかしたらフレデリックさん、いるかもしれない」


「誰だ、それは」


「ほら、この前話したでしょ?アンディたちの事」


「ああ……その一人か」


「そう!」


「……なら話は終わりだ」

「明日は朝早い。さっさと寝ろ」


「はーい。おやすみ」


 グラフは部屋を出ていき、二人はそのまま早めに休む事にした。


──────。


……まだ空は暗い。

夜明け前、というより深夜に近い時間。


それでも、ジェシカとグラフは町の外に立っていた。


「行くぞ、ジェシカ」


「……うん」


眠気の残るジェシカをよそに、二人は歩き出す。

しばらく街道を進んだ後、進路は森へと変わった。


「ねえ、なんで森に?」


 周囲に人の気配がない事を確認し、グラフは足を止めてジェシカを見る。


「ここからは一気に行く」

「絶対に離れるな」


「わ、分かった」


次の瞬間──

グラフの足元に、血の薔薇が咲いた。


 花弁を足場に、一瞬で距離を詰め、森の奥へと消える。


「……!」


 ジェシカも迷わず、ブラッディローズを展開し、後を追った。


「ほう……やはりお前のブラッディローズは、他とは違うな」


高速移動の最中、グラフが感心したように言う。


「お前のは鮮やかな真紅だ」

「……綺麗なものだ」


「えへへ、ありがとう」


風を切りながらも、会話ができる。

 それだけでも、ジェシカがどれほど成長したかが分かる。


二人は夜の森を裂くように進み、

やがて──人知れぬ場所へと向かっていった。


───────────────────────


「よし、着いたぞ。明るくなる前に来れてよかった」


「……え?」


「ふっ、いいから。ほら、行くぞ」


「う、うん。待ってよー」


 集落には門も門番もなく、監視らしきものも見当たらない。

 だが完全に無人というわけではなく、すでに起き出して作業を始めている者もいた。


空が白み始めた頃。

行き交う同族たちと、ちらほらと視線が交わる。


「ねえ、グラフ……私、何かやっちゃったかな……?」


「ん? 何かしたのか」


「ううん……ただ、みんなが私を見てる気がして……」


「くっくっ、それはお前じゃなくて俺だ」


「へ? なんで?」


「俺がこの集落に戻るの、軽く五十年は超えてるからな」


「……え」


「何だ」


「ううん……別に……」


驚きを飲み込み、ジェシカは歩き続けた。


やがて、金属を打つ乾いた音が聞こえてくる。


「ふっ、見えてきたぞ。あそこだ」


グラフの指差す先──

 鍛冶場らしき建物の前に立つと、彼はノックもせず扉を開け放った。


「兄貴、いるかー!」


突然の乱入に、工房内の者たちが一斉に振り向く。


「お、おお!? ジェシカちゃんかい!?」


「あ! やっぱりいた! 久しぶり、フレデリックさん!」


「いやあ、一瞬分からなかったよ」

「それにしても……ずいぶん綺麗になったね」


「えへへ、ありがとう」


「そういやアンディの奴は? 一緒じゃないのかい?」


そう言って、フレデリックはグラフに目を向ける。


「爺さん、グレンはどこだ」


「理由もなく案内はできんぞ。訳を話してもらわないとな」


グラフが言葉を探している、その時──


「よう、グラフ。元気してたか?」


「あ……ああ。急で悪いな、兄貴。用事があってな」


「だろうな。お前が戻ってくるなんて、よっぽどだ」

「それで、急用ってのは?」


「ここじゃまずい。静かに話せる場所を頼む」


「分かった。奥の工房に来い」


────。


「それで、用件は何だ」


「単刀直入に言う」

「こいつの“身体解放”に耐えられる武器を作ってほしい」


グレンはジェシカを下から上までじっと見つめた。


「……この子、リーパーか?」


「ああ。アレだ……アンディたちが連れて行った、あの子供だ」


「なに……!? 本当か……」


「信じられねえ顔だな」


「当然だろ……」


グレンは息を吐き、視線を鋭くした。


「それに、リーパーなら武器なんて必要ないだろ」


「それが問題だ」

「ジェシカ、見せてやれ」


「……いいの?」


「ああ」


ジェシカは一度頷き、呟いた。


「──ブラッディローズ」


真紅の花弁が舞い、真紅のロングソードが形を成す。


「身体解放してみろ」


「……分かった」


解放の瞬間、真紅の羽と青白いオーラが広がり──

工房が激しく軋み、壁が悲鳴を上げる。


「わ、分かった!! 抑えろ!!」


ジェシカはすぐに力を収め、崩壊は免れた。


「……とんでもねえな」

「本当に……古代マリア様の神子か」


「アンディの言葉は本当だったってことだ」


険しい顔をするグレン。


「……難しいか?」


「正直に言う。普通の武器じゃ無理だ」

「短期的に耐えられても、長くはもたないはずだ」


ジェシカが一歩前に出た。


「ねえ、グラフのお兄さん」

「どんな素材が必要なの?」


「……古い文献の話だがな」

「金属を鍛える際、命あるものを混ぜる技法がある」

「ジェシカの力に耐えるには──“死者の純血”が必要だ」


「ダークマター……か」


「存在はすると言われてるが、おとぎ話みたいな代物だ」


ジェシカはグラフを見る。

グラフはニヤリと笑い、顎で合図した。


ジェシカは理解し、赤黒い血の結晶を差し出す。


「……なんだ、これは……!」


「覚醒死者の血の結晶だ」

「これがあれば、作れるか?」


「無茶言うな!!」

「……だが、アルスが戻れば話は別だ」


「そのアルスはどこにいる?」


「数年前に姿を消した。ミネルバ王国に向かったって噂はある」


「じゃあ行こうよ! ミネルバ王国!」


「……はあ。仕方ねえな」


「待て」

憑代よりしろは俺が作る。二、三日待て」

「その間、情報収集でもしてろ」


「本当!? ありがとう!」


「ああ。最高のダマスカス鉱を使ってやる」

「お前らの武器がどうなるか……俺も見届けたい」


「ありがとう、グラフのお兄さん!」


「待て、俺はグラフの兄だがグレンだ」


「……ありがとうグレン!」


こうしてジェシカとグラフは、

次なる旅への準備期間に入るのだった。















面白いと思った方は何かアクションやブクマそれに感想など書いていただけると今後の励みになるのでよろしくお願いします


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