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日本怪奇譚集  作者: にとろ


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ゲーミング人魂

「いや、笑い話みたいですけどね、不思議な話なんですよ。これも時代ってヤツなんですかね」


 そう言って梅田さんは話し始めた。


「最近の話です。この前のお盆に帰省して墓参りをしたときの話になります」


 実は家から墓地が見えるんですよね。実家の墓もあるので不気味と思ったことはありませんでしたね。気にしたことはなかったのですが、あのお盆は忙しく帰ってきて積もる話もともかくお墓参りをしたんですよ。


 その時にお墓の様子を見たんですが、結構多くのお墓に雑草が生えていましたよ。無理もないですけどね、田舎ですし。


 そんなものかと思って実家の墓に線香を供えて帰ったんです。そこまでは何もありませんでした。両親と適当な話をしたあと寝ることになり、部屋の灯りを消したのですが、そこで窓の外がなんだか明るいんですよ。不思議に思って窓を開けてみると墓場に人魂らしきものが浮かんでいたんですよ。ただ……その人魂なんですが七色に光っていたんですよね。人魂が青白く光らなければならないなんて理由も無いのでそんなものかもしれませんが、不気味とか怖いと言うよりは不思議に思いましたね。あれは一体なんなのだろうかと思いました。


 翌朝、なんとなく朝食の時に昨日見たものを話すと親父がなんだか声を潜めて話をしたんですよ。


「実はな……最近、近藤さんのところのお孫さんが亡くなってな、あそこの墓に入れたんだ。さっきの話は聞かなかったことにするからあまり言うなよ?」


 そう言ってから普通に朝食を食べるのを再開した。親父も大概度胸があるなと思いながら自分も食事をして過ごした。


 その晩も人魂は出ましたよ、七色に光っていたので同じ人のものでしょうね。どこまで本当かは分かりませんが、今時は人魂までゲーミング仕様なのかななんて不謹慎なことを考えてしまいました。


 お盆に有休を組み合わせていたのでお盆が終わって数日は実家にいたのですが、お盆が終わるとその七色に光る人魂はでなくなりました。ちょうど使っていないゲーミングキーボードがあったのでそれをお備えしてあげようかとも思いましたが、流石にお墓へのお供えにそんなものを置くのは非常識なのでやめましたがね。


「と、まあ話はこれだけです。結局真相なんて分かりませんし、気の毒な子供が現世をさまよっていると思うとすこし気の毒にも思いましたがどうにも出来ませんね」


 そう言って話を締めくくった。結局、人魂がその子供のものかは分からないが、人魂がRGBに発光するというのはすこし面白いと思ってしまった。

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