現代の人魂考察
「人魂ってあるじゃないですか? あれも現代化しているんですかね?」
O村さんはそんな言葉から話を始めた。人魂の現代化というよく分からないワードに私が混乱していると、彼は自分の見たものを説明してくれた。
「いやね、肝試しに行ったんですよ。仲間を数人集めてね。で、その場で人魂を見たんですけど、その人魂がなんともおかしなものだったので意見を伺いたいなと思いまして」
それから現代化した人魂というものを説明してくれた。
「人魂って炎って感じじゃないですか? 俺も昔はなんかの拍子に可燃物が燃えたんじゃないかと思ってたんですよ。でもその肝試しで見たものとは随分違ったんです」
悪友たちと集合し、みんなで出ると噂の墓場に肝試しに行くことになった。褒められたことではないが、その墓地はろくに管理されていないので通報されるような心配はほぼ無かった。
「で、お墓にはいくらか歩くと着いたんですが、その墓場で全員が妙なものを見たんです。それは墓地に浮かぶ光の玉だったんですが……それがいくつもありまして……一番不思議なのは色が赤青黄色と色鮮やかなんですよ。それと光り方が炎って感じじゃなくLEDみたいな発光をしていたんです。工学部の友人が、罰当たりにもたまたま持っていたバッテリーを人魂めがけて投げたんですよ。そうしたら『パチッ』と音を立てて人魂が消えたんです。その友人曰く、『LEDなら保護抵抗無しで電源に繋いだらショートして壊れる』と言っていました。罰当たりにも程があると思うんですが、それでみんな興が冷めてしまったんです」
そうして罰当たりな肝試しは終わった。誰が悪いというわけではないが罰当たりなことをしているような気がする。そして何より、人魂が炎という説が主流なのに、彼の話によると燃えているのではなく電気で光っているのではないかという説が面白かったのでこうして記録した次第になる。