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日本怪奇譚集  作者: にとろ


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大きな穴

「あなたは昔のゲームを知っていますか? レトロゲームのことです、知りませんか? ああ、少し説明が必要ですね」


 そう言ってSさんは彼に起きた怪異の説明をしてくれた。


「昔のゲームって穴があったんですよ。所謂落ちたら無条件にアウトになるトラップですね。でも常識で考えたらどこまでも続く穴がそこかしこにあるっておかしいじゃないですか? 穴に落ちるとアウトって、その穴はどれだけ深いんだって話ですよ、掘る方も大変でしょう?」


 最近のゲームにも穴があるものはあるが、それらの多くはレトロゲーム時代から続いているシリーズ物が多いそうだ。そして彼は『穴』を見たことがあるらしい。


 彼が中学生の頃、部活動の合宿で山の中に泊まりがけで行ったそうだ。そして広がる森の中でその合宿所のまわりを走らされるという練習があったらしい。結構疲れるものだそうだが、息が苦しくなってきたところでなんとか走りきれるそうだ。


 そんな合宿の二日目、森の中を走らされたのだが、その途中で道の脇に穴が開いているのを見つけたらしい。それはそこが見えないほど深く、一体なんのために掘られているのかは分からないが、とにかくそこにあったらしい。


 しばしぼんやりと見ていると、野ウサギが現れ、その穴に落ちていったそうだ。穴なので有限の深さのはずなのだが、落ちるのを見ていたのに底に落ちた音はしなかったらしい。どこまでも深い穴であり、なんとなく不吉なものを感じた彼はさっさと練習に戻ったそうだ。


 結局、穴を観察していて人より遅れたため、もう一週をさせられたのだが、やはり穴は変わらず底にあったという。しかし翌日の走り込みではその穴が綺麗さっぱり無くなっていたそうだ。誰がどのような目的で掘ったのかは分からないが、不吉なものなので出来ることなら関わりたくはないらしい。


 あの穴の正体がなんなのかは未だに分からないそうだが、次からは見つけても気にしないように仕様と心に決めているらしい。

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