立ち入り禁止の理由
相田さんは小学生の頃、住んでいた地域に入っては行けない場所があったそうだ。子供だけで入ってはならないと言われる場所は多い、ため池や川、急峻な山など危険な場所は山ほどある。
しかし、それらとは少し毛色が違い、その子供が立ち入り禁止になっている場所はただの公園だそうだ。
子供たちは遊びたい盛りなのだが、時期がテレビゲームの普及期だったため、あえて公園で遊ぼうとする子も少なく、理由は分からなかったが子供はそれで困ることも無かった。
最寄りの遊び場がその公園になる場所に住んでいる生徒など、わざわざゲーム機を親が買い与えて外遊びを禁止している家庭もあった。
そこが何故入ってはいけないのか不明だったが、噂には上るものだ。中学になると一気に広い地域から子供が集まってくる。となると小学校の話も上ることになる。それに従い、その噂も悪ガキに流れてしまった。
自制の効かない中学生だ、必然的にその公園に何があるのか気にする連中が現れ、度胸試しと称してその公園でたむろする計画が立った。
その辺に住んでいる子は、やめておいた方がいいとは止めたものの、そんなものを子供が聞くはずもなく、中学生たちは夜にその公園に集まる日が来た。
そこで相田さんは一息ついて言う
「何が起きたかは知らないんです、ただ翌日にはそこに集まる計画に参加していた連中が全員転校したということしか知りません。もちろん転校というのは嘘だと思っていますがね」
その不良たちに何があったかは分からない、ただ何かがあって学校を去ることになったのは確かだそうだ。
大人になってからその公園は駐車場にされ、特に遊ぶ子供もおらず、問題無い地区になったが、未だに帰省したときにその話を持ち出そうとすると、ずっと地元に住んでいる親族は露骨に嫌な顔をして話を変えてしまうそうだ。
余談だが、その地域は古墳などの遺跡が見つかったことがある地域であり、工事で地面を掘ったときに何かが出土すると、工事がストップして調査が入るため、見なかったことにしてそのまま工事を続けてしまうことがよくあるらしい。
ただしその公園でそれが行われたという話は聞かないし、関係あるかどうかは分からないが、とにかくそういう地域なのだと相田さんは言う。