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日本怪奇譚集  作者: にとろ


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遊びを覚えた

 透さんは女遊びが祟って酷い目に遭っている最中だという。


 彼はもともとそういったことには疎かったのだが、そこはいかんせん大学への進学だ。そういった遊びも必然的に覚えることになった。高校のように多少の素行不良で退学処分を下される心配は無い、その歪んだ自由のため彼はとっかえひっかえ遊びに耽った。


 結果として泣いた人も結構な数居るはずだと言っている。はずだと付けたのは実際に面倒なことになる前に察知して素早く逃げていたからその後のことは知らぬ存ぜぬで通していたとのこと。


 在学中は別にどうといったこともなかった。罰が当たるなどという人もいたが、そんな迷信は信じていないと好き放題していた。実際にそれで何か報いを受けなかったため、そのまま社会人になってしまった。


 彼の実家が遊びとは程遠い田舎であることから、大学のある地域で就職し、遊びは卒業して真面目な会社員として勤めていくはずだった。


 そんな彼にも本物の恋人が現れた。今までの遊び相手ではない、本心から好きだと言える恋人だ。昔のことはすっかり忘れて真面目な恋をしようとしていた彼は順序を踏んで、今までにないほど慎重なお付き合いをしていた。


 順調に見えていた恋愛だったが、その関係は突然終わってしまった。彼女の方から『あなたがそんな人とは思わなかった』という旨を言われて一方的に関係を切られた。問題はその時に起きたことで、その電話は彼のスマホで受けた。そして彼女はそれまでの彼の遍歴とその結果をつまびらかに言ってきた。何故知っているのか? はじめに受けた衝撃はそれだったが、問題はそれ以外だった。


 通常、携帯電話でもスマートフォンでもスピーカーで会話をするモードがある。その時彼は間違いなく電話機の受話口から電話を聞いていたはずだったのだが、彼女が罵り始めた途端にそれがスピーカーモードに変わり、彼の恥部をその部屋の全員に晒すことになった。彼は決して自分で操作していないと強調していたし、終話ボタンを何度もタップしたが反応は一切無かったそうだ。そして全てを晒された後に電話は勝手に切れた。


 ただでさえデリケートな内容だ。そもそも彼自身知らない相手のその後まで詳細に語られ、流石に会社に残ることも出来ず退職に追い込まれた。幸いか、個人の事情ということで解雇ではなく自己都合退職となった。


 そうして彼は地元に戻って普通の会社員として働いている。年収こそ下がったが、いつ爆発するか分からない地雷を抱えているのは怖すぎると言うことで、今の彼は向こうからアプローチがあっても女性関係を築くつもりは全く無いとのことだ。

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