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日本怪奇譚集  作者: にとろ


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それじゃない

 ある日、私のメールアドレス宛に画像ファイルの添付されたメールが届いた。本文には心霊写真なので是非見て欲しいと書いてある。こういったものを一々受けるのは気が進まないのだが、本文の説明が興味深かったのでそれをまとめることにする。


 その画像ファイルには女性が一人写っており、説明によると後ろの方に日本刀を持った落ち武者が移っていると説明されていた。写真の撮影された場所は墓場で、懐中電灯の明かりで女性を照らしながらシャッターを押していた。


 ハッキリ言ってその落ち武者はとてもチープなものであり、ディスカウントストアで買いそろえられそうなコスプレグッズのように安っぽい鎧を着けていた。頭は禿げていたのだが、その落ち武者はそったばかりであろう頭をしており、雑にそり上げた頭なのでそこそこの距離があるはずなのに髪の毛があった部分の色が残っている。


 メールにはその墓場には昔の戦で多くの人が死に、その供養のために建てられた石碑があると説明していた。そこまでであればくだらない写真と切って捨てることも出来た。しかし問題は落ち武者の方ではない。


 その写真は日が沈んだ後に、女性を懐中電灯か何かで照らしながら撮影されているのだが、その女性には本来光の方向に影が出来るはずなのだが、写真に写っている女性には足元に一切の影が無かった。撮影者はこれに気が付かなかったのだろうか? 落ち武者などよりそちらの方がよほど目立つ不自然さなのだが、メールの本文でそれには一切触れられていない。


 私は少し悩んだ末、イタズラならやめて欲しい旨を伝え、女性の影が無いことを指摘して、落ち武者は雑だがそちらは上手に写っていると返信した。


 すると翌日にはメールが返ってきていたのだが、そのメールには『女性ってだれですか?』と書かれていた。どうやら作り物であることをすぐに見抜かれたことには落胆したそうだが、写真は墓場で落ち武者を細かいところが見えないように撮影したものであり、女性など写っていないはずだと返信されていた。


 そして再び添付ファイルの画像には女性が写っていた。奇妙なのはその女性は晴天の下にいるのに影がやはり出来ていない。おかしいと思ったのはもう一つ、その返信には写真を添付しているとはまったく書かれていない。ならば何故この写真が添付されていたのだろう?


 写真には髪が伸び放題で、顔の半分くらいを隠すほど伸びた女性が写っていたが、初めに届いたメールには口を真一文字にした状態で写っていたのに、二枚目の写真では少し口角が上がっていた。同じ女性が何故か写っており、少しずつ笑っているように見えたので、そのメールはまとめて削除してしまった。


 それ以来、その人からメールは届いていないのだが、送信者の身に何も起きていないことを願うばかりだ。

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