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不毛な恋に終止符を

作者: 鴨葱

「なんで俺未だ童貞なわけ!? おかしくねえ!?」


 魂の叫びが、教室の一角から、廊下へと走る。不特定多数の視線に晒されている事など気にも止めず、高杉海里たかすぎかいりは目の前の友人に泣きついていた――。


 昔話をしよう。


 高杉には幼馴染がいる。北条雛美(ほうじょうひなみ)という真面目を絵に書いたような女の子である。彼女が、隣の家に越してきたのは、今から十数年前。まだ彼らが二歳の時であった。母親同士が意気投合し、頻繁に互いの家を行き来していたのだが、二人の仲は良くなるどころか、どんどん険悪なものになっていった。


 言うなれば、水と油のような関係。犬猿の仲というやつである。互いの顔を引っ張り合い、言葉になってない罵詈雑言を飛ばし、しまいには癇癪を起こして泣き出す姿に、大人達は苦笑いするしかなかった。


 しかし、いざ母親たちの交流頻度が下がり、互いの家を訪ねる機会が少なくなると、二人はどこか寂しげな表情を浮かべるようになっていた。高杉は母の服を掴んで、「となりのおうちいかないの?」と頻繁に尋ねていたし、北条は子供部屋から、こっそり高杉家の様子を伺っていた。


 幼稚園へ入園する頃になると、母親たちの交流は子どもたちがいないところで、こっそり行われるようになった。北条と高杉は、それぞれ違う園に通っていた為接点を失っていたが、時折、ベランダで会話をする母親たちに気づくと、母の傍に駆け寄って、母の影に隠れながら互いの姿を見つめる日々を送っていた。


 そんな二人が再び接点を持つようになったのは、小学校へ入学してからの事である。同じクラスに振り分けられた二人は、初めこそ緊張して距離を置いていたものの、次第に慣れてくると以前のようにじゃれ合うようになっていた。じゃれ合うとは言っても、喧嘩の延長線上のようなもので、担任の教師が止めに入る事も一度や二度ではなかった。


 高杉は北条を揶揄う事に楽しみを覚え始め、典型的な“好きな子にちょっかいを出す男の子”になっていたのだが、当然本人に自覚はない。ブスだのバカだの散々罵っているくせに、他の誰かが便乗すると烈火の如く怒り狂うのだから、周りからはさぞ奇妙に映っていた事だろう。


 北条は高杉の奇行に辟易しながらも、内心満更でもない様子だった。「あんたなんか大嫌い」そう口にする度に、心の奥底の方で、「でもやっぱり好きかも」という感情が顔を出してきて邪魔をする。小学生時代はその繰り返しで、二人の関係は平行線を辿り続けていた。


 転機が訪れたのは、彼らが中学に上がってからである。思春期に突入した二人の間には微妙な空気が流れ始め、以前のように気軽に接する事が出来なくなってしまっていた。それでも、北条はまだ、今まで通りに接しようと努めていたのだが、高杉のほうがそれを拒否し始めたのである。


 高杉は、もう何年も、無自覚で無粋な恋をしていた。初めて目にした時から、現在に至るまで、高杉にとって北条は、世界一可愛い女の子だった。気づけばいつも彼女を目で追っていて、目が合えば揶揄わずにはいられない。それが、今までの高杉だった。


 しかし、思春期を迎え、精通を迎えた彼を襲ったのは、北条雛美という少女に対する性的な欲求であった。それは彼にとって衝撃的な出来事であったが、その事実を認識してからというもの、高杉の心の中に芽生えた劣情は肥大する一方であった。彼女はどんな声で鳴くのか、どんな表情を見せるのか……妄想の中でなら、何度も組み敷いて何度も犯している。だが、その度ごとに罪悪感に襲われて、次第に彼女の姿をまともに見る事すら出来なくなってしまったのだ。


 北条からしてみれば、身勝手で理不尽な話である。挨拶をすれば余所余所しく、話しかければ目を逸らされる。それなのに、視線を感じると思いきや、いつだって自分を見つめているのは彼なのである。一体何なんだこいつは……北条は怒りを通り越して呆れるしかなかった。喧嘩はおろか会話も出来ず、取り付く島も無いのに無視する事も許されない。どうしたものかと頭を抱えているうちに時は流れ、気がつけば彼らは高校受験を控える年齢となっていた。


 高杉は焦っていた。このままでは絶対後悔すると分かっていながら、何も出来ずにいる自分に嫌気が差していた。北条を異性として意識してしまったあの日から、彼女に抱いていた感情の正体に気づいてしまったあの日からずっと。彼は自分の中の衝動を抑え込むために必死になってきた。悟られないように、気付かれないように、自分の存在を希釈しながら、ただひたすら耐えてきた。


 告白なんて出来やしない。それでも、高校くらいは同じところに行きたい。北条に志望校を聞き出す事すら、今の彼には勇気のいる行為ではあったが、ここで引いてしまえば一生彼女との関係は修復できないかもしれない。それだけは避けたい、せめて昔に戻りたいと、高杉は決意を固めるしかなかった。


「北条!」


 北条が振り返ると、緊張と不安が入り混じったような複雑な表情を浮かべる彼がそこに立っていた。高杉から話しかけられるのも随分久しぶりの事で、幼馴染でありながら初対面のような緊張感が二人の間に漂う。北条は躊躇いがちに視線をそらしたが、すぐに上目遣いで高杉を見つめた。


「どうしたの?」

「進路希望、聞きたくて。お前、どこいくの」


 絞り出すようにそう尋ねた高杉に、北条は一瞬きょとんとした顔をして、


「まだ……決めてない。けど」

「けど?」

「……あんたと、同じところに……行くつもりで……」


 高杉の瞳孔が開く。血流が増していくのを感じる。北条の言葉の意味を理解しようとするほどに思考回路は渋滞していく一方で、目の前の少女が何を言い出したのか、高杉は未だ把握する事が出来なかった。


「えっと、だから」

北条は、高杉が黙ってしまった事で生じた沈黙に耐えかねて、言い訳をするように捲し立てる。

「わ、私だって本当はこんな事言うつもりはなかったんだけれど、ほら、一応幼馴染だし、別に深い意味とかないし、それに、最近ちょっと寂しいっていうか、なんというか……」


 あまりの恥ずかしさにギュッと俯いて涙を浮かべる彼女に、高杉は誤魔化しようのない情欲を感じていた。かわいい、抱きしめたい、押し倒して、自分のものにしたい。理性が本能に押し潰されていく感覚を味わうのは、初めての事だった。それでも、どうにか踏みとどまる事が出来たのは、偏に彼女の事を心の底から大切に思っていたからである。高杉は、乾いた喉に唾液を滑らせて、


「北条は、どの学校行きたい?」

「えっ」

「俺は学年主席様だからな。行けないところなんてねーんだよ」

「いいの?」

キョトンと目を丸くして、次に大輪の花を表情に咲かせて、北条は嬉しそうに続けた。

「あのね、高杉くん――」


 そうして二人は志望校を同じにして、無事合格を果たす事になるのだが――卒業式を終えても、高校生活をスタートさせても、二人の関係に変化が訪れる事はなく。彼らの関係性は平行線を保ったまま、付かず離れずの関係を維持したまま、二年目を迎える事と相成ったのである。……その間、特に何もなかった。


「なんで俺未だ童貞なわけ!? おかしくねえ!?」


 魂の叫びが、教室の一角から、廊下へと走る。不特定多数の視線に晒されている事など気にも止めず、高杉は目の前の友人に泣きついていた。友人の名は、縦山新八(たてやましんぱち)。高杉や北条と同じ中学校出身で、高杉の親友を自負している男である。北条との交流は然程ないが、高杉から散々聞かされている為、彼女についての情報は一通り網羅していた。


「せっかく同じ高校に進んだのに、なんで進展ないのお前」


 そう呟いた縦山の声には呆れの色がありありと浮かんでいたが、親友の奇行に慣れてしまっている彼は、至って冷静だった。高校に進学してもなお、友人以上恋人未満の関係をズルズル続けているだなんて。バカだ、バカすぎる。縦山の目がそう語る。


「進展はしたろ。……中学時代と比べたら」

そわそわと落ち着かない様子で廊下の方へ視線を向けながら、

「登下校、一緒だし?」

「お迎え待ちかよ。園児なの? しかも同じ教室……」

「ちっげーよ。これは放課後デートで」

「へー……」

「この間もゲーセンデートしたし!」

「それただの寄り道」


 駄目だこいつ、早くなんとかしないと。縦山は思う。切に願う。しかし、待ち人来たらずの状況に苛立ちを募らせている親友の姿を見ていると、不思議と微笑ましい気持ちになってしまうのだから不思議なものである。仕方ないなぁと苦笑を浮かべて縦山は、「たまには迎えに行ってあげれば? 席まで」という極ありふれたアドバイスを送るのだった。


 そんな平行線を辿る二人の関係に変化が訪れたのは、一学期の中間試験を終えた頃である。高杉は突如として、担任の教師から呼び出しを受ける事になったのだ。高杉の成績は優秀である。しかし、彼の素行は問題だらけであった。授業中に居眠りをしたり、提出物を忘れたりする事は日常茶飯事。サボりも珍しくはなく、また、校則違反も度々犯す有様だった。


 高校二年ともなれば、そろそろ将来の事も考えなければならないというに、彼の将来を案じる声は日に日に大きくなっていく。そんな彼の元に、担任から直々に呼び出しがあったのは、ある意味で当然の事と言えよう。


「あーあ」


 放課後デートしたかったのにー、なんて、出来もしない事を()ちながら、高杉は窓の外をぼんやり見つめる彼女に近づいた。ふわりと鼻腔をくすぐる甘い香り、触れたら壊れてしまいそうに華奢な体躯。中学の時は短かった髪も今ではすっかり伸びていて、綺麗な黒髪を耳にかける仕草に高杉は思わず見惚れてしまう。


 不意に北条が顔を上げる。彼女は少し驚いたような顔をしていたが、それ以上に驚いたのは高杉であった。スマホを握りしめた北条の顔は真っ赤に染まっていて、高杉を見つめるその目は潤んでいる。瞬間、高杉の脳内を稲妻のようなものが駆け巡り、そして彼は理解した。この女、絶対に俺に気がある――と。


 高杉は、今まで生きてきた中で感じた事のない高揚感に包まれていた。それはまさに天啓と言っていいほどの閃きだった。今ここで告白すれば、確実に落とせるという確信に近い予感。高杉は北条の手を取って、真っ直ぐ彼女の目を見据えた……が、「あのね」と切り出した北条の口から飛び出したのは、全く予想外の言葉だった。


「私、生徒会に入ろうかなって……思って」

「え? 生徒会? お前が?」


 高杉は思わず耳を疑った。北条雛美という生徒は、模範的な優等生である。成績はいつも上位、品行方正を絵に描いたような存在であり、教師からの覚えもめでたい。しかし、彼女の性格は、どちらかと言えば大人しく引っ込み思案なタイプであり、リーダーシップを発揮するようなタイプではなかったのだが――。


「あのね、実は」

混乱している高杉をよそに、北条は矢継ぎ早に続けた。

「一年の時にね、実行委員で知り合った先輩がいて、お誘いを受けててっ! その……永田先輩っていうんだけど」


 北条の視線は高杉から外れて、どこか宙を彷徨うように泳いでいた。彼女が何を言っているのか、高杉には半分くらいしか理解出来なかったが、それでも、北条が自分以外の人間に心を寄せているという事だけは、はっきりとわかった。高杉は動揺を誤魔化すように首の後ろを擦る。


「あー永田先輩ね。生徒会長の」

「うん」

「要するに、憧れの生徒会長にお近づきになりたい、あわよくば付き合いたいとそういう事」

「ちょっと……。ストレートすぎ……」

「事実だろ」


 怒りのような、悲しみのような、形容し難い感情が胸中に渦巻く。何故もっと早く行動しなかったのか、自分の気持ちをはっきり伝えなかったのか。答えは簡単だ。嫌われたくなかったからである。拒絶されるくらいなら、このままの関係でいた方がマシだと、高杉はもう何年も思っていたのだ。とんだ臆病者である。後悔する権利もない。


「……だから……応援してくれる?」

「は」


 冗談じゃない、誰が応援なんかするか、フられろ!と内心毒づく高杉だったが、それを口に出してしまえば、彼女との関係が終わってしまうかもしれない。結局何も言えずじまいの高杉は、見え透いた愛想笑いを浮かべて、「な、何か困った事があれば……言えよ」なんて耳障りの良い言葉を並べるのであった。


 北条雛美という少女はとにかく鈍感だった。それはもう天然記念物レベルと言ってもいい程に鈍かった。こんなにもわかりやすい高杉の気持ちに気づかず、あんなにも平然と自分の恋路に協力してくれだなんて言い出す……。心がズタズタに引き裂かれて、どうにかなってしまいそうだった。だからこそ、このまま彼女を諦めるのは、どうにも釈然としないものがあった。


 幸いな事に、北条は告白をする勇気など持ち合わせていないようで、半年経った今でも片想いを続けている。これはチャンスかもしれない、相談に乗るフリをして俺のものにしてやる、とほくそ笑む高杉であったが、彼の思惑通りに事が運ぶ事はなかった。何故なら彼もまた、告白をする勇気など持ち合わせていなかったからである。


「くそっ! なんでだっ!」


 例のごとく、癇癪を爆発させている高杉に、縦山は呆れたように嘆息してみせる。


「指くわえて見てるの楽しい? ドM?」

「楽しいわけねーだろ!!」


 現実は非情なものである。北条の目はいつだって、永田の背中を追っかけていて、彼女が見ているのは常に、自分ではなくてあいつの姿であった。俺じゃ駄目なのかと問い詰めたい衝動を抑え込んで、高杉は彼女に悟られないよう自分の感情を押し殺す。ひょっとしたら、なんて都合いい妄想は、所詮現実にはなり得ない夢物語でしかないのだ。縦山はそうかそうかと頷いて、


「ちゃっちゃと告っちまいなって」

「話聞いてたぁ!? あいつには! 好きな奴が! いるの!」


 噛み付くようにそう言い放った高杉に対し、縦山はあくまで冷静な態度を崩さなかった。


「フラレて、前に進むのも大事だぞ」

「縁起でもない事言うなよ!!」

「玉砕覚悟で言ってみろよ。大和魂でな」

「やだって!」


 高杉海里は決してモテないというわけではない。むしろ女子受けするタイプであると言えるだろう。整った目鼻立ちとスラリとした長身はモデルのようにも見えるし、性格は多少難有りだが、根は優しい男である。


 そんな彼を、誰よりも近くで見てきたのは北条だ。高杉の純真な気持ちを知って、グラつかないはずがないのである。縦山は高杉の肩をポンと叩いて、お前なら大丈夫だよ、と無責任な言葉を吐いた。高杉は恨めしそうな目で縦山を見ていたが。


 そうして迎えた高校三年目の春。

片思いのプロである高杉も、流石に心を擦り減らしていた。北条への思いは募っていくばかりなのに、彼女の恋愛相談を律儀に引き受けている自分自身に嫌気が差してくる。彼女は相変わらず、あの男に夢中なままで、高杉の視線に気づく素振りすらない。それどころか、同じ大学に行こうかなぁ、などと能天気な事を言い出す始末で、高杉の怒りは頂点に達しようとしていた。


 なんでこんなに頑張ってるのに報われねえんだよ、畜生。いっそこの場でぶち撒けてやろうか。俺がどんなにお前の事好きかって。そうしたら少しは意識してくれるかな。でも嫌われたら元も子もないな……なんて葛藤を繰り返す内に一学期が終わり、二学期が過ぎ去ろうとしていた。縦山はもう何も言わなくなっていた。


「あのね、永田先輩テニスサークル入ったんだって。私も今から練習しとこっかなあ」

「はーん」

「ちょっと。真面目に聞いてよ」


 聞きたくもない話を聞かされて、うんざりするしかない彼の心中など知る由もなく、北条は好きな人を思い浮かべて楽しそうに語り続けている。嫉妬の炎に焼き尽くされそうになりながらも、この関係に終止符をうちたくないという想いによって、ギリギリ踏みとどまっている彼の心は既に満身創痍であった。


「ところで、高杉くんはどうするの?」

唐突に投げかけられた質問の意味を図りかねた彼が返答に窮していると、北条は何食わぬ顔で付け足した。

「進路。大学、どこ進むの?」

「それは、お前と……」


 高杉の心臓が大きく脈を打つ。願わくば、北条と同じところに行きたい、離れたくないというのが本音である。しかし、他の男に尻尾を振る彼女を、黙って見ていられるほど、心の広い人間ではなかった。高杉は、ふっと笑みを零す。耳の中でプツンと何かが切れる音が聞こえた。


「お前と、違う大学に行く」

「え?」

「お前との腐れ縁もここで終わりって事」


 北条は酷く困惑した表情を浮かべ、次に俯いて悲しそうに唇を噛む。高杉はそんな彼女の姿を直視出来ずに、目を逸らす事しか出来なかった。そんな顔をさせたかったわけじゃない。だけど、自分で思っているよりも、心はとっくに限界で、高杉はこうする事でしか、自分を守る事が出来なかった。


「今度は……私が……合わせるって、言っても?」

「ああ」


 劣情が蛆虫のようにわいて、切なさに胸が突き上げられた。本当は今すぐ抱きしめて、お前が好きなんだと叫び出したかった。なのに、その言葉は喉の奥で引っかかったまま出て来ずに、ただひたすら時間だけが通り過ぎていく。重苦しい沈黙が辺りを支配して、二人の心の距離はどんどん遠ざかっていった。結局、何も言えないままに教室を飛び出した高杉は、北条が一人、涙を流していた事に気づく事はなかった。


 それからというものの、二人の間にはぎこちない空気が流れ始めていた。登下校は別々。会話を交わす事もなくなり、二人の距離は広がっていく一方。縦山の「いいのか?」という忠告すら無視をして、高杉はこれが最善の選択だと信じて疑わなかった。意固地になっていたとも言える。こうして月日は流れ、気づけば卒業の日を迎えていた。


 高杉は蝉の抜け殻よろしく、式の最中もずっと上の空だった。来賓の挨拶が右耳から左耳へと筒抜けて、生徒による送辞と答辞ですら、まるで他人事のような感覚に陥る。それでも式は滞りなく進行し、最後のホームルームを終えると、生徒達は教室を飛び出していった。校庭で記念撮影をしたり、集まって談笑したりと、各々が思い出作りに奔走している中。高杉と北条は、静まり返った教室に取り残されていた。机に突っ伏したまま微動だにしない彼女を横目に、高杉は帰り支度を済ませて席を立つ。


「……あ、の」


 気まずい雰囲気の中、意を決して歩み寄って行った男の存在に、北条は気付いていない様子だった。目の前に立った高杉が彼女を見下ろす形になると同時に、北条が顔を上げた事によって二人の視線が久しぶりに交わる。


「高杉くん?」


 彼女は目を丸くしていたが、それ以上に驚いていたのは高杉のほうであった。白魚の頬に零れ落ちた、真珠の涙。それを拭おうともせず、真っ直ぐに見つめてくる彼女の瞳には、劣情を駆り立てるような艶っぽさが滲んでいた。高杉は乾いた喉に唾を流しこんで、


「何、泣いてるんだよ」

「だって、高杉くん……」


 嗚咽混じりのか細い言葉を遮るようにして、高杉は続ける。


「だって、じゃねぇよ。バカ」

「なんで県外なの……なんで一人暮らしなんか始めるのよ」

「流石に大学まで一緒ってわけにはいかねーだろ」


 自嘲気味な笑みを浮かべて、高杉は彼女の頬に落ちる水滴を指先で掬い上げた。北条は、口を真一文字にして、グッ……と押し黙ってしまったが、やがて、ポツリポツリと話を始める。


「LINE、するね」

「……」

「電話もかける」

「……」

「遊びにも行くから、だから……住所、教えてね。高杉くん」


 伏せ目がちに視線をそらして、必死に言葉を紡ぐその姿はいじらしく、可愛らしく思えた。愛しくてかなしくて仕方がなかった。高杉はゆっくりと右手を差し出すと、彼女の髪に触れる。サラリとした手触りとシャンプーの香りが鼻腔をくすぐり、高杉は心に情欲が高まるのを感じた。


「LINEは出来ない。電話も……」

つぶらな瞳を更に丸くする北条に、高杉は苦笑いしながら言葉を続ける。

「言ったろ? お前との腐れ縁もここで終わりって」

「な、んで……私、何かした?」


 彼女の声は震えていた。意味がわからず困惑しているようでもあったし、嫌われてしまったという不安を抱いているようにも見えた。高杉は、彼女の頬に手を滑らせながら、穏やかな笑みをたたえて口を開く。それは、今まで見た事のない優しげな表情で、北条の心は大きく揺さぶられた。


「高杉く……」

「辛いんだ。お前を見ているのが」

北条の言葉を遮るようにして言葉を放った高杉は、苦しげに眉を顰めながら尚も続ける。

「もっと早く、勇気を出してたら、お前は俺を見てくれたのかな」

「それって、どういう――」


 問い詰めようとする北条を制するように、彼女の顎に手をかけて上を向かせると、そのまま唇を重ね合わせた。北条の目がぱちくりと見開かれる。ガラスの様な瞳に映し出された彼の表情は、今にも泣き出しそうな悲愴感に満ちたものであった。


「えっ……」


 高杉は、北条の身体を、彼女に対する劣情もろとも乱暴に引き剥がすと、背中を向けて、早足で歩き出す。もう傷つきたくなかったし、これ以上惨めな思いをしたくはなかったのだ。そんな彼の背中を呆然と見送った北条は、「なんで」と独り言ちて、自らの唇にそっと触れる。


 彼の言葉の意味を考える余裕はなかった。ただ一つだけ確かな事は、自分は彼にキスをされたのだという事実だけである。北条は、おぼつかない足取りのまま教室を後にすると行き場のない感情を涙に変えて、冷たい廊下に叩きつけていた。



 高杉のいない日々は、味のないガムのようにつまらないものだった。色鮮やかだった世界がモノクロームに染まって、全ての事象に理由をつけては、ため息を吐いている。尊敬している先輩を追って入学した大学ではあったが、正直なところ、サークルに参加する意欲など湧かなかった。何でこの大学を選んだのか、今となってはその理由すら思い出せない。


 講義が終わって家に帰ると、彼女は直ぐにベッドの上に倒れ込んで、スマホを眺めながら一日を過ごした。特に何かをするわけでもない。ただ画面をスクロールし続ける、無意味で無価値な時間。北条は、「なにしてるんだろ」と独り言ちて、スマホを枕元に投げ捨てるのだった。


「会いたい……」


 高杉に会いたい。せめて話をしたい。なのに、LINEは既読すらつかず、電話は繋がらない。自分の部屋から高杉家の様子を伺う事もあったが、彼が帰ってくる気配はない。避けられている事は明白であった。それでも、はいそうですかと受け入れられるほど、彼と過ごした時間は短くない。


 そもそも北条は、どうしてこんな事になってしまったのか、理解すらしていなかった。キスされた理由も、こんな風に避けられる理由も、何もかも答えのない状態だった。高杉は自分の事を好いていたのではないか、そう思った事もある。だけど、こんなふうに徹底的に拒絶されては、自信など持てやしない。


「高杉くんにとって私は……ただの幼馴染?」


 永田に対する憧れを恋と錯覚していた彼女は、高杉に対する気持ちの正体を今まで掴みきれずにいた。気づかなかったのだ。本当はずっと昔から高杉の事を好いていたのに、友情だと信じて疑わなかった。

 馬鹿だな、と自分を嘲笑する。本当に大切なものほど見えなくなってしまうものだ。


「ただの幼馴染に、キスなんてする?」


 期待半分、諦め半分といった面持ちで、窓の外をぼんやりと眺める。雲ひとつない青空が妙に虚しくて、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。北条は涙が流れないように瞼を伏せると、このままじゃいけないよねと自分を奮い立たせるのであった。


 明くる日。北条は思い切って高杉家を訪ねる事にした。玄関の前で白い息を吐き出して、マフラーに顔を埋めながらインターホンを押す。緊張のあまり心臓が激しく脈打って、真冬だというのに顔が火照ってしょうがなかった。


 しばらくして、扉の向こう側から聞こえてきた声は、記憶よりも年老いた高杉の母のものだった。北条は乾ききった喉に唾を滑らせると、「突然押しかけてごめんなさい」と言って頭を下げる。彼女は笑って、気にしないでいいのよと招き入れてくれた。瞬間、高杉の匂いが鼻腔をくすぐる。正確には高杉家の匂いであるが、それでも懐かしくて、なんだか泣き出したくなった。


 リビングに通されると、ステラおじさんのクッキーと温かい紅茶が差し出された。北条はそれらを口に運びながら、他愛のない会話を交わしていく。彼女――高杉啓子(いしはらけいこ)は、笑顔を絶やす事なく北条の話に耳を傾けていたが、高杉の話を切り出そうとした瞬間。表情を一変させて、「もしかして」と真剣な眼差しを彼女に向けた。


「また、うちのバカ息子が何かした?」

「えっ」


 驚きの信用のなさである。北条は苦笑いを浮かべて首を横に振った。違うんです、そうじゃなんですと、伝えたいのに、言葉にならない。北条は唇を噛み締めて俯いた。俯いたら急に涙が溢れてきて、ポタポタと膝の上に零れ落ちた。泣くつもりなんてなかったのに、最近、どうも情緒が不安定でかなわない。


「ひ、雛美ちゃん……? まさか、あの子、ついに無理やり貴女を――」

「私が、悪いんです……わた、私がきっと、きっと何かしちゃって……」

「えっ」

「ずっと、避けられてて。連絡、つかなくて……ただ、話したいだけなのに。何かしたなら、謝りたいのに……取り付く島もなくて」


 堰を切ったように溢れる言葉は、子供のような拙さだった。啓子は困ったように眉を寄せて、されど安堵の笑みを浮かべながら、北条の肩に優しく触れる。


「放っておきなさい。どうせいつもの好き避けだから」

「えっ?」


 息子の恋愛事情にとやかく口を出すつもりはないが、好きな子を泣かせるなんて言語道断である。母親としてきちんと叱っておかなければ、と思い直したその時。北条がポツリと呟くように言った。


「だから、その……高杉くんの……住んでいる場所、教えてもらえないかなって……」


 予想外の言葉に、思わず間抜けな声を上げてしまった啓子は、途端に我に返ると、居住まいを正して北条に向き合った。


「それはつまり、あの子の家に行く……という事かしら」

「このまま、わけもわからず疎遠になんてなりたくないんです……。ごめんなさい、突然こんな事……」


 北条は強い意志を感じさせる口調で言うと、真っ直ぐに啓子を見据える。啓子は彼女の視線を受け止めながら、困り果てた様子でため息をついた。何せ彼女は息子の秘めたる想いを知っている。いつ爆発してもおかしくない、マグマのような煮詰まった感情を。


「住所を教えるのは構わないけど、貴女の貞操が心配なのよね」

「……え?」


* 


 白魚の頬に零れ落ちた、真珠の涙が忘れられない。「なんで?」と問うてきた彼女の声が、残響が、薄っすら鼓膜に残っているような気がしてしょうがない。これは初恋の幻影だと、わかっているのに断ち切れず、高杉は「消えてくれよ」と嘆きのため息を漏らしていた。


 わざわざ県外の大学を選んで、合コンやサークルに積極的に参加して、付き合うまではいかずとも、デートをしたり、そのまま一夜を共にする事もあった。そうして日々を過ごしていれば、忘れられると思っていた。なのに、どんなに可愛い子と遊び歩いても、高杉の心を満たす事は出来なくて、寂しさを埋める事が出来たとしても、それは一時しのぎに過ぎなかった。


「会いたい」


 やけっぱちの笑顔を浮かべて、高杉は道端の石ころを蹴飛ばした。コロコロと転がっていく石ころが、自分の姿と重なって惨めな気分になる。離れたら楽になると思っていた。少なくとも、北条への想いは薄れると思っていたのに、彼女を遠ざければ遠ざけるほどに、燻った恋慕の情は肥大していく一方だった。


「……会いたい」


 こんな筈じゃなかったのに、と独り言ちながら、高杉は帰路の途中でゲームセンターに立ち寄った。特にやりたいゲームがあるわけではなかったが、落ち込む気持ちをどうにかして切り替えたかったのである。でなければ、手当り次第、女友達に連絡してしまいそうだから。


 店内に入ると、うるさいBGMと客たちの喧騒が耳に飛び込んでくる。ゲームは苦手だ。何をやらせても下手くそで、縦山にも散々馬鹿にされてきたのだが、そんな彼が唯一得意としているのがUFOキャッチャーだった。景品を手に入れては喜ぶ友人の姿を思い出しながらスマホを取り出すと、高杉はモバイルSuicaを筐体に翳した。


 スタートボタンを押した瞬間。軽快な音楽と共にアームが動き始める。ゆっくり降下していくクレーンが掴んだのは、大きな猫のぬいぐるみだった。ふかふかの白い毛並みを撫でながら、つぶらで無機質な瞳と目が合う。ふと、北条はこういうのが好きだったな、と思ってしまった自分に嫌気がさした。高杉は鞄に入り切らない猫のぬいぐるみを両手で抱き締めると、突き刺さる視線を振り払うようにして足早にその場を後にした。


 外はすっかり暗くなっていて、吐いた息は白く染まっていた。冷たい風が頬を撫でて通り過ぎて行き、ぶるりと身体が震える。今日は一段と冷えているようだ。高杉は、ポケットに手を突っ込みながら、家路を急ぐ。待ってる人など居やしないが、早く帰って温かい風呂に浸かりたかった。


 高杉の住んでいるアパートは、築四十年を超える木造二階建てのボロ屋だった。家賃は格安だが、駅からは遠くて、壁は薄い。それでも、高杉にとっては唯一の居場所だった。カンカンカンと、二階にある自室に向かって階段を駆け上っていくと、通路の真ん中あたりで、ちょこんと座り込む小さな影を見つける。

(……? 何だあれ)

動きを止めて、近視のように目を細めた。瞬間、高杉は前のめりになって走り出す。


「えっ……ちょ……なんで!?」


 まさか、と思った。ありえないと思った。でも、見間違えるわけがない。そこに居たのは、紛れもなく北条雛美その人だった。北条は高杉の部屋の前で体育座りをしながら、膝の上に顔を埋めて眠っている。


「北条……っ」

ドクンドクンと脈を打つ音がやけに大きく聞こえていた。

「おい。お前なんで、ここに――」


 北条は寒そうに身体を震わせて、うぅんと小さく声を上げている。恐る恐る彼女の体に触れると、何時間こうしていたのか、頬は氷のように冷えきってしまっていた。高杉の顔がサッと青くなる。


「おっ……前……何時間ここにいたんだよ!」


 意識がはっきりしない北条を抱き上げると、高杉は部屋の中へと駆け込んだ。人形のように動かない彼女をベッドの上に放り投げて、ケトルと暖房の電源を入れてから羽毛布団と毛布を持ってくる。彼女はまだ夢と現実の狭間が曖昧のようで、とろんとした瞳で高杉を見つめていた。心臓が、一際大きい音を鳴らす。


「高杉くん」

無防備な笑みを浮かべて、北条は高杉の袖を掴んだ。

「久しぶり」

「あ、うん」

「帰ってくるの、遅いよ」

「仕方ないだろ。ゲーセン行ってたんだから」


 バツが悪そうに視線を逸らして高杉は、先程とったばかりの景品を押し付けるようにして彼女に渡した。気の利いた台詞はおろか、「あげる」の一言さえも言えない。情けない話である。告白する勇気もなく、傍にいる事すらも出来ず、彼女から逃げて忘れようとしたのに、結局想いは燻ったまま、今も変わらず北条が欲しくてたまらないなんて。


「はあ」

行き場の無い苛立ちをため息に変えて、高杉は視線を落としながら独り言のように続けた。

「なんで、来たんだよ。お前」

「それは……」


 彼女の唇は寂しく震えていた。なのに、ポロリと雫が頬に伝い落ちた事に、高杉は気づかない。


「俺言ったじゃん。腐れ縁は終わりだって」

「迷惑、だった……?」

「……」

「そんなに、私の事……嫌い? もう、顔も見たくないくらいに……?」

「ちが……っ」


 不意に目線を上げると、好きな人が泣いていた。泣かせているのは、紛れもなく自分自身であった。声を押し殺して、肩を揺らしながら、はらはらと無垢な涙を流し続けている。そんな顔をさせたかったわけではないのに、どうしていつも傷つけてしまうんだろう。高杉は、突き上げて来る罪悪感に奥歯を強く噛み締めながら、猫のぬいぐるみごと彼女の体を抱き寄せる。愛しさが胸を支配して、このまま時間が止まれば良いのにとすら思った。そんな事、叶うはずもないのだけど。


 北条が落ち着いた頃には、ケトルが蒸気を吐き出していた。高杉はマグカップを二つ用意して、それぞれ粉末状のココアを入れる。沈黙の中に身を沈めている彼女は、時折思い出したように鼻をすすって、膝の上に乗せた白い塊を抱きしめ続けていた。そんな姿さえ可愛くて、愛おしくて、高杉は観念したようにため息をつくと、おずおずと口を開く。


「好きだったんだよ」


 湯気越しに見えた彼女は、豆鉄砲を食らった鳩のような表情をしていた。高杉は、淹れたてのココアを机の上に置いて、独白のように続ける。


「昔から……多分、小学校に上がる前から」

「えっ」

「ベランダで、母親の後ろに隠れてるお前を見てさ、可愛いなって思って」


 それは北条が初めて見る、高杉の素直な感情だった。今までずっと、幼馴染という仮面で隠し続けてきた本音であった。高杉は「悪かったな」と小さく呟いて、北条を見つめる。彼女は困惑しているようだったが、拒絶の色は感じられなかった。


「耐えられなかった。お前が、先輩と付き合うかもって思った時、俺は……」

「……」

「だから逃げたんだ。告白する勇気もなくて、俺は逃げた。忘れようと思って、知らない街まで来て、お前を拒絶した」


 眉を八の字にして、高杉は笑う。運動筋で作った、不自然でぎこちのない笑顔だった。北条は猫のぬいぐるみに顔を埋めると、ベッドの上で体育座りをして、小さく呟く。


「嫌いになったわけじゃ……?」

「どうせなら嫌いになりたかったわ」


 高杉は苦虫を噛んだような表情で言うと、彼女の頭に手を置いて、髪をかき回すように撫でる。北条のつぶらな瞳に、期待の灯火が浮かんだ。


「嫌いじゃないなら……まだ、好き?」


 高杉の喉仏が上下に動く。


「は?」


 この子は一体何を言っているのだろう。どういう意図で聞いているのだろう。北条の真意が読めなくて、高杉は白々とした空虚感に苛まれた。他に好きな男がいるくせに、俺の気持ちを弄ぶような真似をするなと、そう怒鳴ってしまいたかった。だけど、不安げにこちらを伺っている彼女を見たら、そんな言葉など出て来やしない。


「それとも……もう、好きじゃない?」

「こいつ……」

高杉は天を仰いでため息を洩らした。

「好きじゃなかったら、好き避けなんかするわけない」

「……っ!」


 高杉の言葉を聞いた北条は、喜色満面の笑みを浮かべて、不器用な男の胸に勢い良く飛びついた。咄嵯の出来事に対応出来ずに、シーツの海に押し倒された高杉は、幸せそうに笑う彼女の顔を呆然と見つめる。


「は……え?」

「近すぎて気づけなかった。こんなに離れるのが辛いなんて思わなかった。私も……っ、私も、高杉くんの事が――」


 収拾の見込みがない混乱に陥ると同時に、心臓が激しく脈を打ち、体の中心が熱を帯びていく。喉から手が出るほど欲しかった彼女が、今、自身の腕の中にすっぽりと収まっている。これはマズイ、理性が機能しなくなると思いながらも、高杉は北条を引き剥がす事が出来なかった。否、北条が頑として離れようとしなかった。


「離れろっ! マズイから!」

「嫌だ!」

「襲われてぇのかお前は!」


 必死に説得を試みるが、北条は聞く耳すら持たない。離れていた時間を取り戻すかのように、高杉の胸に顔を擦り付けて、猫のように喉を鳴らしていた。その可愛さたるや、筆舌に尽くし難い。


「私、今日、ここに来て良かった」

「そうかい……」

「高杉くん。……大好き」

「……俺もォ」


 高杉は諦めたように天井を仰ぎ見ると、理性との戦いに身を投じる覚悟を決めるのだった。

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