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準備

更に小規模となった村は隣の村と合併する事になった。


今の規模では次また魔物に襲われた時に確実に壊滅するからだ。


レオナントが指揮を取る。

「隣りの村まで歩いて3日はかかる。食料や武具はしっかり準備して向かおう。」


「レオナントさん。準備って言ったって、食料は今あるので精一杯だし、武具もこれ以上の調達は不可能だぞ」村の住民が言った。


レオナントはこの村の状況を誰よりも把握していた。

「そう。だからこそできる事からやる。」


今から食物を育てた所で、まるで間に合わない。ましてや魔物の度重なる襲撃で畑は使い物にならなかった。


「狩りに出る」レオナントは住民から批判を受ける覚悟で言った。


今の状況で狩りに出るのはかなりのギャンブルであった。なにせ狩りができる者達は村の中でも極めて戦闘能力が高い者のみ。狩りに出ている間に村に何かあった場合は見殺しになるのだ。


しかし、成功すれば干し肉などを調達でき、旅路が安定する。今の村に安定した食料ほど欲しい物はないのだ。


「狩りって言ったって…レオナントさん…かなり危ない橋を渡る事になるぜ。」レオナントが懸念していた問題をやはり指摘された。


「そうだ。だが、だからこそ行く。狩りに行くものは私が10人選ぶ。いずれも精鋭達だ。」


「村の精鋭10人も狩りに行っちまって、また魔物に襲われたら終わるぞ。」

狩りに出る期間は1週間。その間、村は手薄になる。


「だから、村の守りをドランに任せる。」レオナントが自信を持って言った。

ドランは村で今は亡きレオークの次に腕が立つ。狩りに出れば間違いなく成果を上げられる人物だが、レオナントは敢えてドランを村に残す選択をした。


「ドランが村の守りかぁ…そうすると、狩りの方に支障が出るんじゃ無いか…」住民は口々に囁く。


「仕方のない事だ。あくまで3日旅路をできるくらいの食料確保だ。それなら私達だけでもなんとかなろう」

レオナントも悩んだ結果なのだ。


「ドラン。頼めるか?」レオナントはドランを真っ直ぐ見て尋ねた。


「任せて下さい!残った住民に指1本も触れさせませんよ!」ドランは自信たっぷりに答えた。


「ドラン!」レオンが声を掛けた。


「みんなが帰ってくるまで僕にたたかい方を教えて」

レオンは強くなると決めたのだ。身体的にも精神的にも。だからこそ、村で一番強いドランに稽古をつけてもらおうと考えた。


「レオン…でも、お前まだ9歳だろ?戦闘訓練には早すぎる…」この世界での戦闘訓練は身体が出来てくる10歳~12歳くらいから始めるのが常識だった。


「お願い!」レオンは引かない。断固たる決意がそこにあった。


「わかった。だが危険と判断したら直ぐに中止するからな」ドランはレオンの圧力に押され渋々承諾した。




そして、4日後…レオナントが村の精鋭を引き連れ、近くの森へ1週間の狩りに出た。


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