守護兵の責務
ユオがゴーレムのバランスを崩そうと試行錯誤していた。
「おらぁ〜!転べぇ〜」
ユオは高速でゴーレムの足にロープを巻き付け木に固定した。
しかし、ゴーレムは何事もない様に村人の方へ向かって行く。ロープを結んだ木は根元から抜け、ゴーレムに引きずられていた。
ズザッー ズザッー ズザッー
多少は動き鈍くなっただろうか。木を引きずっている分、微かにゴーレムの歩みに影響が出た。
「止まんねぇじゃなぇか…面倒くせぇなぁ…」
ユオはすごく不満な顔をして言った。
そしてあまりにも通用しなさ過ぎてユオは適当に武器を振り始めた。
適当に戦い始めたユオ
またゴーレムから強烈な一撃がくる。その時ラゴス守護兵団長がゴーレムに一撃入れて動きを鈍らせていた。
「ユオッ!マジメにやれッ!オラッ!どぉりぁぁ!」
また振り下ろされたゴーレムの拳に合わせる様にラゴス守護兵団長が剣で弾き返した。
「グオォ ガハッ」
なんとかゴーレムの拳は弾いたが、ラゴス守護兵団長も吹っ飛ばされ、巨大な木に激突した。
「…ッ…クソが…」
ラゴス守護兵団長が憎しみを込めてボソッと呟いた。
ユオは(自分に言ったわけではないな)と楽観視して、ゴーレムの攻撃範囲から離脱し、砂埃を上げて何処かに消えた。
ゆっくりとラゴス守護兵団長が半身めり込んでいる巨木にゴーレムが歩き始めた。村人からターゲットを自分に変える様、ラゴス守護兵団長が仕向けたのだ。
(それでいい…この間に、レオナントさんが立て直すだろう…)ラゴスはそう考えた。
ゴーレムがラゴスの目の前まで迫っていた。
(くっ…さすがに動けないか…ユオも何処かに消えてしまったし、なす術なしかぁ…)
ゴーレムが三度拳を振り上げラゴス目掛けて振り下ろす。
(…ここまでか)
ラゴスは自分の命の終わりを悟り、静かに目を閉じた。




