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たとえばこんな朝の来ない街をみおろす悲しみの夜の果てに

作者: 秋葉竹
掲載日:2024/06/02



その夜は山に登った。

みおろすと日の出のまだの夜の街に、

穏やかで幸せな眠りが訪れており、

すこしでも起きているそこここには、

ポツンポツンと電灯が灯っていた。

あのあたりに家族が眠り友だちかが眠り、

僕はすこし寒い山腹に立っていた。

ホモサピエンスがこの街を征服したのに、

街なかにひとは満ちたり群れたりせず、

恋愛とか家族にすがる家なかで眠る。

偶にバベルの塔みたいな建物の屋上が灯り、

動いている光はトラックのヘッドライトか、

巨大な蛇のジィーッと光るまなこなのか。

人口の三分の一が餓死した歴史を持つ世界、

その後立ち直ったなれの果てがこの街だと、

飢餓を克服した文明と進歩の時代を嘲笑う、

その巨大な蛇のまなこなのだろうか。

僕にはなにも関係なく流れてゆく時間だ。

そんな時間が過ぎてゆき、

この街の夜も明ける時間が近づいた。

そこに最悪の悲しみがある訳ではなく、

毎夜路上に転がっていた悲しみがあるだけ。

なにも特別で無い動き出した街のなかへ、

飲み込まれてゆきにゆくみんなも僕も。

不思議なことはなにも無い。

僕はなにをしに来たのかと、

僕はなにをして来たのかと、

指先が震えるほど巨大な問いを問う。

どこにゆけばよいのかわからない朝が、

きっともうすぐやって来る。

そのまえに、

スマホでこの街の夜景を撮ろう。

きっとこの目でみているほどの、

美しさはもちろん写らないことは、

残念ながら知ってはいるのだけれども。



 



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