『ワシとプレスマンの芯』
ワシがウサギを追っていました。ウサギは誰かに助けを求めようとしたのですが、誰も見当たりません。正確には、プレスマンの芯がいたのですが、頼りになるとも思えません。しかし、プレスマンの芯しかいないのですから、頼んでみるしかありません。するとどうでしょう、意外にもプレスマンの芯は、ウサギをかくまってくれました。
ワシが、ウサギを渡すようにプレスマンに言うと、プレスマンは、自分を頼ってきた者を渡すことなどできない、と言って、強い口調でワシをいさめました。ワシは、では自分で、とつぶやくと、プレスマンの芯の後ろに隠れていたウサギを一瞬のうちに足で捕まえ、その場で食べてしまいました。プレスマンの芯は歯がみをしましたが、今さら何ともなりません。最大の失敗は、プレスマンの芯が、ウサギの姿を全く隠せていなかったことでしたが、誰かの容姿を云々するのはよくないことです、はい。
プレスマンの芯は、ワシを恨みました。何とかして痛い目に遭わせてやろうと思って、後をつけねらいました。そうして、何年もの間、ワシが卵を産むたびに、巣から卵を落として割り続けたのでした。
ワシは、たまらなくなって、鳥の神様に助けを求めました。鳥の神様は、ワシの卵を、ふところに入れて守ってやることにしました。守ってやることにしたのに、無事を確認しないでは役目が果たせませんので、気がついたときにふところから出しては、卵を眺める日々が続きました。
しかし、復讐心に燃えるプレスマンの芯は、ワシを許すことはありませんでした。プレスマンの芯は、鳥の神様のふところに忍び込み、ワシの卵を黒く塗ってしまったのです。その後、卵の無事を確かめようとしたとき、予想しない姿のものがふところから出てきたことに、鳥の神様は驚きました。単に驚いたのではありません。フンコロガシが転がしてつくったものがふところから出てきたのではないかと思い、驚いて、黒く塗られた卵を落としてしまいました。
プレスマンの芯と鳥の神様は、守ってやると約束した相手を守ってやることができませんでした。
教訓:卵からも、フンコロガシが転がしてつくったものからも、子供が出てくる。