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リラダンの呟き マルタ島の譲渡
「では、また」にこやかに果実やパンに金貨をもらって
姿を消す魔物 あるいは吟遊詩人のシオン
「本当に嬉しそうな笑みだったな やれやれ」リラダンは呟く
苦笑した後 あの吟遊詩人の少年との出会いを思い出す
激戦となったロドス島の攻防戦、ほんの少し あの魔物は騎士団の味方をした
何故だと 一度、問うと・・
昔 騎士団に救われて・・とだけ彼は言った
使者の話
「11世紀から続く 貴方たち
最後の十字軍 マルタ島をお渡ししたいとの皇帝からの御話です」
「ほう・・」驚きどよめく 聖ヨハネ、ロドス騎士団の幹部たち
「代価は毎年 一羽の鷹のみ」
だが、その島は ロドス島同様に 水際の最前線
それに水が少く 緑が少ない 岩ばかりの島でもあった