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ヴェネチア イヴァンとヴィクトリア

ヴェネチア共和国 

ゴンドラから降りて水の都ヴェネチアを彷徨うイヴァン

まずはためいき橋、次にはリアルト橋

「あの女性、ヴィクトリアンは何処だろう?」

「ヴィクトリアン、彼女はマリアの行方を知っているのか?」イヴァン


橋の上、すれ違い様の商人たちが話しているのが聞こえてきた。

「絹と胡椒が値上がり

「地中海からのオリーヴオイルが・・海賊のせいだ」


「陸の交易路シルクロードにはオスマン帝国とイスラム教に改宗した

タタール(モンゴル)の国々、交易権は彼らのもの」 

「イスラムは今度は地中海まで」

リヒャルト橋で、きょとんとしながらイヴァンはまた、速足で歩く。


リアルト橋の近くの市場で

イヴァンは 懐かしい今も愛しい《いとしい》マリアの話をした 

妖艶な美女ヴィクトリアンを捜していたのだが・・


「こちらの方と思ったけど」ため息をつくイヴァン

チャポン、此処では運河の水音が優しく響く


リアルト市場では

「・・最近、略奪の横行が」「イスラムの海賊が」

「ヴェネチア領の地中海の島が狙われ襲われているそうだ」


「よく取引して滞在しているイスラムの商人

うちの大事な商売相手だから こちらとしては‥」

人々がそんな噂話をしている。


それらの街の者たちの話を聞いてイヴァンは思う

「そういえば最近、イスラムの私掠船が活発だと聞いた記憶がある

それはスペイン王、皇帝に使えるマルタ島の騎士団の私掠も対抗して・・」


「もし、ヴェネチア共和国とも揉めたら」そんな独り言をつぶやくイヴァン


「僕の場合は元首の一族とも取引しているから でも注意したほうが良いか」


カラ―ン、カラ―ン教会の鐘の音にハッとするイヴァン

「ああ、約束があるんだった 仕方ない、約束はサン・マルコ教会の方」


それから‥サン・マルコ寺院の赤い鐘楼を見ながら

待ち合わせの相手を待つイヴァン

すると其処に

「イヴァン様 待ち合わせの相手は来ませんよ うふふ」

後ろからの女の声に振り返ると 其処にはヴィクトリアンが立っていたのだった。


「あ、君は‥」イヴァン


「ああ、イヴァン様 貴方の元の名前はマルコ 

ヴェネチアの守護聖人マルコと同じ名前」ヴィクトリアン


「翼ある獅子はヴェネチアの守り神 うふふ」


「なぜ君はそんなことを?」イヴァンの問いかけに

「貴方の味方ですから」ヴィクトリアンは妖しげな微笑とともに言葉を返す


「それから待ち合わせの相手はスパイ容疑で捕まりましたわ お気の毒なこと

政治的な事だけでなく、製法が秘密のムラノ島のガラス職人にも興味がったから」


「イヴァン様」

「貴方は有力なヴェネチアの一族と繋がりもあるから大丈夫ですけど

要件が済んだなら早めに帰られる方が・・ではまたイヴァン様」ヴィクトリアン


「待ってください そんなことをなぜ?それにマリアは?」イヴァン


「海戦、ヴェネチアも動きますわ 

地中海のヴェネチア領の島の事で揉めますから・・一時的ですけどね」


「地中海の海は誰のものになるか?」ヴィクトリアン


「地中海の島、海 それらの取り合い」


「大いなる幸運の二つの星に愛された

オスマン帝国のスレイマン大帝には多くを得る」ヴィクトリアン


「‥‥」イヴァン


「マリア様にはいずれ会えますわ きっとね」

呟くような予感めいた言葉を残してヴィクトリアンは幻のように消え去り

それから‥


「あ‥消えた」イヴァン

イヴァンは一人、元の名前と同じマルコ

聖マルコ寺院の広場近くで呆然と立ち尽くしたのだった




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