寡婦と不思議なマルタの浜辺
マルタ島近くの島 その海辺
まるで魔法のような美しい光景が広がっていた
水の透明度が高すぎて、小舟が宙に浮いているように感じる
南の特有な、その乾いた爽やかな風が心地よい
小さな秘密の楽園かサンクチュアリ…
「義兄さま、冷たいレモネードですわ」フランソワーズが差し出す
「有難うフランソワ―ス」
礼を言う義理の兄のアンジェロ・ド・オランジット騎士
「本当に何て綺麗でしょう」
「ああ、帰りの船の時間にはまだ余裕がある ゆっくりしよう」
フランソワーズの言葉に答える
そうして次に自分の言葉を呟く
「海戦が起こりそうだ しばらく戻れないかも知れない」
「そうなのですか」「ああ、そうだフランソワーズ」
寡婦の美しいフランソワーズとその義理の兄でマルタ騎士団の騎士
オランジット騎士
穏やかに会話が進み、二人の目が遇うのだった。
「あの子はフランスの本国に留学中、また手紙が来ましたのよ 義兄さま」
「甥子殿リジャ―ルは元気なようだな」「うふふ」
義理の兄の言葉に微笑するフランソワーズ
砂浜の美しい景色 日差し除けの大きな傘の下での
ちょっとした食事に会話
「薄切りの生ハムにポロネーズとチーズに野菜入りのパンにはさんだもの
ワインもありますのよ」フランソワーズ
「頂こうか・・簡易の装置で茶を作ろうか」見つめる恋人のような互いの眼差し
ザザッ 波打つ港 こちらマルタ島の港では‥
リヒター修道僧が小柄な一人の人物と会話していた
「マリア姫
本当にコンスタンテインノーブルへ オスマン帝国の都へ行くのですか?」
リヒター修道僧に問われる一人の男装した女性マリア
「ええ、彼、マルコ 今の名前はイヴァン
彼を捜します リヒター修道僧さま だって彼は大事な幼馴染で
私達の為に犠牲になったのですもの」手を握り締める




