絶食(ラマダン)とイエニッチリ
「絶食月がもうすぐ‥準備をしなくては」
先程のヴェネチア商人との会話が済んで、ヴェール姿の見目麗しい姫君は
呟きながら微笑した。
「ナツメヤシのお菓子にバラクに炊き込みご飯にパン、肉のケバブ」
「他には・・」そんな彼女の独り言を聞きながら 彼女には
一人のまだ少年といえるイエニッチエリの護衛兵が付き添っている
徹底的に訓練された身ゆえにあまり表情を見せるような隙はないが、彼女を見つめる瞳は穏やかで優しい 時折、見せる切なげな憂いを帯びた表情であった。
絶月‥ラマダンという風習はイスラムの教えの一つ
飢えに苦しむ者達の辛さを知り、追体験していたわる為のものである
日中は水も食事も老人、子供、病の者、兵士、旅人などの特別な事情を除き
食する事は出来ない
夜や明け方前だけにようやく食事などが出来る
人々は夜に祭りのように食事をするのだ
その為に夜の時間など広場にも 貧しい者達などの為に食事が振舞われる
遊牧民であった彼等は飢えの苦しみ、貧しさの苦しみをよく知っていて
喜捨ガザートにもとても熱心だった。
長い歴史の被害sローマ帝国、ビザンチン帝国の文化を受け継ぎ
更には遠い地からの交流の末に 東西の食材にも恵まれ、交易で得た貴重なスパイス香辛料も多い 砂糖に茶やコーヒーなど当時貴重な食材にも恵まれている




