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漂う波間の死体 サラに襲われて 殺されかけて? 恩を仇で返すサラ?

プカプカと青い海の波間に浮かぶのは引きちぎられた人の手足であった

それに導師だった男の身体の残骸・・

千切れた身体の内部から無数に黒い虫が出てきた‥


骨だけの片手、骨の手の爪、特に1本だけが異様な長さで伸びて

敵を引き裂いたシオン

甲板にいた最後の敵の一人を斬り倒すと死体は海へと‥大きな水音と共に落ちる

シオンは剣を振るように

血に染まった異様な自分自身の骨の手、爪が伸びた片方の白骨の手を振る


無表情で、海の死体、それを見るシオンの手はまた元通りの姿に戻っていた。


「他の海賊船は騎士団の船に追い立てられているね」「そうねシオンちゃん!」

海風は心地よく、船も小刻みに並みに揺られている

唖然として、のほほんと会話する魔物の二人を見ている人質たち


「リヒター修道僧さま 大丈夫ですか?」手当をしながらマーニャが言う

「あ、ああ」リヒター修道僧 彼等がそんな会話をしている中で

「あ、シオンちゃん私ね ちょっと怪我したの!」魔物の少女、サラ

「え、大丈夫なのサラ!」シオンが慌てた 

マーニャやリヒター修道僧もその言葉に反応した

「大丈夫なのか!」「大丈夫ですか?手当しますか?」

こっくりと頷くサラ「有難う二人とも」


今度はシオンを見つめてこう言った

「だ・・だ・か・らね うふふ シオンちゃん 血を分けて!」サラ

サラの言葉にハッとするシオン 

青くなり目を見開き、慌ててサラから逃げようとする‥が


がぶっつ!かみ砕くような大きな音

「ひ…」口をパクパクさせて身体を震わせるシオン、肩にはサラが食いついていた

ごくん!ゴクゴク・・ず、ずずずずっ

派手に血を吸われつつあるシオン

「や・・優しく・・少しだけにして」「いやん、可愛いシオンちゃん」

「痛みに耐えてるシオンちゃん 頑張って 流石よね」

口元をシオンの血で染めて明るく朗らかに言うサラ


「ぼ、僕・・死ぬ‥それか干物になるか…」シオンの言葉が終わらぬうちに がぶっ!

まったく聞いてないサラは再び噛みつく、恩を大仇で返しまくるサラである


リヒター修道僧達は蒼白になって見ていた。


そこに小舟で救助に来たリラダン総長たち 甲板での様子を見て

やはり、何も言えずに目を見開いて蒼白


「と・・共食いになるから・・やめて、サラ」涙目で打ったえるシオン


シオンの身体が少し薄くなる 指先が少し灰となり、サラサラと音を立てる


「い、いや 優しくして お願い乱暴にしないで それに僕、干物になりそう…」

シオンが苦しそうに話す

「ら・・乱暴に噛んじゃいやだってば!」涙目であるシオン

がぶっ!遠慮なく噛みつくサラである ずずずっ…大量の血を吸われるシオン


仲間のサラに噛まれた傷口も大変、痛そうであった 大きな傷口 

血が噴き出している


窮地の仲間で魔物のサラを助けたものの、恩を大仇で返されて、ああ、可哀そう

サラに襲われて干物になりそう

指先がサラサラと音を立て灰となっている‥身体も少し透けているシオン


当然ながら、驚きのあまり、蒼白になった甲板の人質の皆様に

騎士団の者達は唖然と絶句して見てるだけであった。


「ああ‥美味しかった うん、シオンちゃんの血美味しいわ」非道なサラの一言

それに本当に幸せそう ご満悦 


ようやく解放されたシオンの方は


はあ、はあと息を吐くシオンの方は

数か所、肩に首近くに大きな穴があいて血がドクドクと噴き出す 

それは悲惨な有様であった。

「あら、シオンちゃん大変、指先がちょっと灰になってるわ なんて可哀そう」

サラの一言


「…・」「どうしたのシオンちゃん?」

「シャラ・・じゃないサラ、怪我は?」怪我の痛みに苦しい息を吐きながらシオン


「うん、大丈夫 倒れた時ちょっと擦りむいたの」そう言いながら見せた指先には

ほんの少しのかすり傷

何故か近くにいたマーニヤが震えながら、そっと自分のハンカチをサラの指先に巻く


それから、何故かマーニヤは盛大に吸ったシオンの血、サラの口元を他のハンカチで拭いているのだった。

「まあ、有難うマーニヤ」震えながらサラの言葉に頷くサラである。


「シオンちゃん、干物にならなくてよかった うふふ」

「……」無邪気なサラの言葉に黙っているシオン、涙が浮かんでいた。



急に振り返り、リヒター修道僧の方を見るサラ

「リヒター修道僧 今回は有難う、これは大変な事よ 

心優しい貴方は 未来で不運から救われるかもしれない…うふふ」


「あ、ご馳走してくれそうな人がいる船を発見 行こうねシオンちゃん」


「抱えてあげるね 男の子だから頑張って うふふ」サラ

歩み行く二人の姿が薄くなって消え去った。





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