57話【ドルイディ視点】恋人との接吻(初めて)
十七分に投稿するつもりだったのに……
今回が一章最終回です。
二章の一話は明日から投稿開始します。
私は……リモデルに婚約指輪を渡された後に心の中でニヤニヤしながら、家へと帰っていた。
家というのは当然にリモデルの家ね。
いやぁ、まさかリモデルがあんなふうに私に対して指輪を渡そうとしてくれるとはね。
嬉しすぎて、頬が緩んでしまうよ。リモデルと一緒に歩いているわけだから、堪えたけどね。
あぁ……本当に嬉しい……
「……ドル、表情が」
「あっ……」
抑えられていなかったというのか。表情の変化を。
私は羞恥を隠すためにそっぽを向こうとしたが、もうすぐ家だということもあるし……
家に着くまでの間はずっと彼の顔を見ていたい……その思いで逸らさずに見つめ続ける。
そんな私の視線で彼も同じように頬を染めてくれたので、面白くて笑いあった。
ああ、本当に楽しいよ。最高の時間だ。こうして、恋人と二人で仲良く話す時間というのは。
見える家……私は彼の手を握りながら駆け出し、 降りてきた紐を元気に二人で掴む。
耐久力があるから、二人一緒でも大丈夫なのだ。
「リモデル。それでは、あれを……」
「そうだな。やるとしようか」
家に入ってすぐ、私たちはその部屋の机に座る。椅子はなし。床に直で座ってる。
実は帰ったらすぐにやろうと思ってたことがあったんだよね。楽しみにしてたんだ。
ウキウキ気分で私は事前に用意しておいた棒の菓子……『ポッチッチーー』を用意する。
どうやら、恋人の間でポッチッチーの両端を咥えて食べ進んでいき、最後に接吻をするのが流行っているとファルにチラリと聞かされたんだよね。
奇妙なことが流行っているものだと思ったが、これなら気軽にリモデルと口付け出来るし、全然いい。用意してみたら、楽しそうな気もしてきたし。
「い、行くぞ……!」
「うん……!」
私たちは事前に聞いたように両端から徐々にポッチッチーを食べ進めていく。
途中までは順調だったのだが、私は舞い上がる幸せの気持ちで力が入ったのか……
途中でポッチッチーを折ってしまった。
「あー……なんか……うん」
「大丈夫だ。こういうことぐらいあるって」
折れたポッチッチーの残りを食べた後にリモデルがそう言ってくれた。
それは嬉しいけど、結局接吻出来なかったわけだから残念だなぁ……って気持ちは拭えないよね。
私は遅れてポッチッチーを一人でポキポキと少しずつ食べていった。悲しく、ね……
「ドル……いい?」
「え、何か用意してくれてるって感じ? もしかして、代わりのポッチッチー?」
「……そうじゃなくてさ」
首を傾げようとした私にリモデルはどんどんと迫ってきた。押し倒されるかと思ったが、そんなことはない。
リモデルは私の手に自分の手を重ねると、その後に私の唇に……自身の唇を交わしてきた。
唐突だったというのもあるが、密着度のあまりの高崎……近距離により鼻腔をくすぐるリモデルの異性を感じる香り……整った顔面……
それらを一度に摂取してしまったが故の幸福感により、私は「きゅー」と言いながら、倒れる。
これは……とんでもないよ。故障しちゃう。
「わ、悪い! 突然、こんなことをして……」
「……いや、う……嬉しい……!!」
もう、いいのかなぁ。こんなに幸せで。
幸福の過剰摂取でやっぱり、故障しちゃうんじゃないかと……本気で思えてきたよ。
出会って数日……恋人になって数日と言い換えてもいいけど……普通なら、初めての接吻はもう少し時間がかかるものだと聞いていたからさ。
こんなに早く達成出来て本当に嬉しい。指輪も既に用意してもらってるし、もう結婚まで秒読みかもしれないと思ったら、幸福感は更に上昇……
苦難がこれから待ち受けているのかもしれないとしても、それらをこの瞬間の幸福感で消し飛ばしたい。
そう思いながら、私は自分から……
「うっ……」
「仕返し……いや、お返し」
「仕返しは意味が違うからね……」
冷静な訂正。さすがリモデルだね。
私に接吻されて頬を染めながらも……
……そうやって冷静にウインクしながら訂正するリモデルのことをかっこいいと思うのだった。
「ふふぅ……」
……接吻……甘いとか何とか……聞いたことがあるけど、結局は無味なんだよね。
まあ、そうだろうとは思っていた。
でも、何故かまだまだしていたいって思ったんだ。ただ唇を交わすだけの行為なのに……
もっと……もっとしたい。
……いや、ダメだ私。
婚約指輪と一緒で次の接吻はもう少しお預けにしておくことにするよ。
だって、もうこの時点で二回も一日に接吻しているわけたからね。これ以上は贅沢だよ。
……次は、結婚式かな。
*****
もう、記憶が薄くなっているけどさ……
私は開発された頃は感情表現が本当に出来ず、そこらの自律人形より無愛想だったらしいんだよねぇ。
それがリモデルとの日々によって少しでも変われてるならいいなぁ……って思うよ。私はね。
私を作ってくれた開発者の彼女も……どこかでそう思ってくれていると嬉しいな。
開発者について思いを巡らせた後、私はリモデルのことを……彼とどうなりたいか考える。
そして、自分と彼の結婚式での姿も。
「……これからも、元気に頑張っていこう」
今、私がいるのはリモデルが私のために用意してくれた部屋。つまり、私室!!
まあ、寝る時は彼の部屋で寝るつもりだがね。
彼の部屋のベッドは城の中の自室にあったあのベッドと実はほんの少しだけ似ている気がしてね。
なんか懐かしさも感じるし、落ち着くんだ。
私はその部屋に自身の荷物を置いた後に行く。
どこにって? 当然、恋人であるリモデルのもとに。
「……今年は聖光歴千九百八十五年……ちゃんと記録して、覚えておこう」
誕生してから二十年。つまり、私が二十歳になった年でもあり……恋人が出来て、手繋ぎや初の接吻も出来た……最高の年でもあるわけだからね……
私は紙にそのことを書き記して、部屋の壁に貼っておいた後に……リモデルがいる部屋に……
ルンルンと軽い足取りで向かうのだった。
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