表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/209

47話【ルドフィア視点】妹たちの助けになりたくて

 私は複製アサシィーノを壊した後にドルイディたちのもとに向かっていたわ。


 複せ……複アサの部品はね……持っていきたかったんだけど、途中でドルイディたちのもとに行く時に邪魔になると思って床下に埋めることにしたの。


 あいつの部品……かなり重いし。


 ま、私が作ったんだけどね。今の私の考えを誰かに吐露したら、『作った張本人が何を言っているのか』というツッコミをされること確定よね。



「……あ、もう上がっていそうね」



 ドルイディたちが私のことを警戒しすぎて宝探しが楽しめていなさそうだったから、私はドルイディたちから距離を取って居眠りしていたのだけど……


 どうやら、結構な時間が経っていそうなのよね。時間がよく掴めないけど、多分三十分以上は経っているんじゃないかと思うわ。わからないけど。


 そろそろかと思ってボードを見たら、ドルイディたちは宝が用意されている四階へと向かっていたの。


 リュゼから四階のことを聞いた時はそんな場所にノーヒントでたどり着けるわけないと思っていたけど、何とかたどり着けていたようで嬉しい。


 さすが、ドルちゃんとディエルド。二人共、賢く育っているようで嬉しいわ。お姉ちゃんは。



「んーん……」



 硬くなっている体を動かしたら、私はゆっくりと一段ずつ四階への階段を上がっていったわ。


 みんなに早く会いたいけど、なんかドキドキするから、心の整理をしたくてゆっくりなの。


 そんな感じでゆーっくり上がっていたところ、何やら天井の方からリュゼの声が聞こえてきたわ。


 どうやら、さっき私に聞かせた扉の先の説明をドルイディたちにも聞かせてるようだわ。


 これで、彼女らがいること確定ね。


 ……私が見ている幻じゃあないわ〜。


 それから、心が高鳴ってきたのは上がり続けて三百段くらいになってきた頃ね。


 物凄く、近づいてきてるのを感じるの。



「……はぁ……はぁ」



 高鳴る胸を抑えながら、上がっていくと……光が私の目に届く。すぐわかったわ……


 ドルイディたちは、もう扉を開けたって。


 ……嬉しい、さすがよ……ドルちゃん。


 そう思いながら、一番上の段まで駆け上がろうとしたところで突如、大きな音が鳴り響いたわ。


 この音は知っている。だって、私はこの音が出るボタンを作った人形なんだもの。


 これは……私がドルイディ……あと、ついでにディエルドにも渡していた『お姉ちゃん呼び出しボタン』という名前の通り、私を呼び出すための物。


 あんな悲しい反応をしたから、てっきりすぐには使ってくれないと思っていたけど、困った状況になったから使ってしまったのね。かわいい子だわ。


 私は照れながらボタンを押すかわいいドルイディの姿を思い浮かべながら、階段を駆け上がる。


 少し急ぎすぎて、はしたなくなっていたかもしれないけど、別にいいわ。誰も見てないし。


 リュゼが持ってるボードじゃ私の行動の詳細まで知ることなんて不可能らしいしね。本人談。


 ドルイディたちの顔が部屋に入ったことで見えたから、私はテンション高く言葉を発した。


 なのだけど、みんなのテンションは何故か別れる前と同じくらいの低テンションだわ。


 えっ、何があったのよ……?



「元気出してっ!! ルドフィアお姉ちゃんよ!!」


「……ルドフィアお姉様……言っておくけど、私は貴女のことを全く呼んだつもりはない」



 ドルイディは冷たい声でそう口にしたわ。


 酷い……私はドルイディたちが困ってると思って、助けるためにわざわざ参上したのに。


 下を向いて悲しむ私にドルイディは続ける。



「ボタンは落としたから鳴っただけだ。呼んでなんていないんだよ。だから……戻ってほしい」


「……そんな、恥ずかしがらなくていいのよ? ボタンを押すことは全然恥ずかしいことじゃないわ」


「だから、本当に落としたと言っているだろう」


「……またまた……嘘を……」



 いや、嘘だと言ってしまうのはよくないわね。ドルイディを傷つけてしまうと思う。


 だから、私はこう言うことにした。



「照れているのよね? かわいい子。何も問題ないのよ。お姉ちゃんに頼れるのは下の子の特権だもの。遠慮なーくこれからも、たーっくさん呼ん……」


「困ったこともないよ。それなら、どこにも行かなくていいから部屋の端にいてよ」


「えっ……」


「……私のリモデルが、罠は突破する。貴女の助けはいらないってことも……さっきの私が言っていたことに嘘偽りがないということも……それで証明する」



 強がりを言うものね……


 ドルイディ、見ない間に随分と性格が変わってしまったわ……こんな子じゃなかった。


 私が知っているあの子は……冷静さを持ちつつも、私に対してもっと優しかったし、多少何かあっても時間経過でまた敬意を持って接してくれていたの。


 そして、城の者と私たち姉兄以外に頼ることもなかった。変わりすぎなの。それもこれも……


 きっと、横にいるそのリモデルとやらのせいね。



「やっぱり……害でしかないじゃない」



 私がそいつを殺して、解放してあげる……


 ……と言いたいところだけど、まずはドルイディが困っているというこの目の前にある見るからに強靭な罠糸をどうにかして突破することが先決よね。


 ドルイディはそれで呼んだようだから、さっきにどうにかしてあげるのがお姉ちゃんよ。


 その後に絶対に殺してあげるわ。



「だから!! その糸はリモデルが突破すると……」


「まあまあ、見てなさいな」



 私はドルイディが飛ばしてきた糸をすり抜けていった。ちょっと早いけど行けたわ。


 いや、本当にギリギリだったのだけどね。


 特殊な糸だったけど……これは『人形操技』とやらの糸よね。禁術指定されているあの……


 ……知らないうちに禁術なんかに手を出しちゃって……その上、こんなに上達しているとは……


 ……ドルイディ……さすがよ。


 さすが、私の自慢の妹。素晴らしい。



「……えっ!?」



 跳躍して罠の解除ボタンがある天井に向かおうとしたところ、今度はリモデルとやらの糸が……


 その糸は私の足に気持ち悪く、蛇のように絡みついていき、不快感とともに私の邪魔をする。


 最悪ね。なんで……なんで邪魔するのよ。


 私はそいつのことを睨みながら、地面に降り立つと……持ち属性の光属性の魔力にて切断……


 その魔力をそのままリモデルとやらに放出してやると、再び飛び上がってボタンを目指す。


 私の跳躍力なら……届くはずなのよ。



「……っ……感謝するのよ? リモデルとやら。部屋にはドルイディやディエルドがいるから、魔法じゃなくて魔力の放出で済ませておいたのだから」



 私はそのままボタンを押すことに成功。


 全ての糸が罠解除により、ただの蜘蛛糸に変質……いや、元に戻る様を見ると……地面に降り立つ。


 あとはこの光剣にて切断すればいい。


 光剣はさっきの光属性の魔力が手に余っていたので、それを流用して作ったもの。


 ちょっと、力は弱いものの、ただの蜘蛛糸を斬ることなんて造作もないわよ。私の剣だし。


 ……それにしても、リモデルとやら……ピンピンしてるわね。避けられたっぽいわ。最悪。


 そう思いながら、斬撃により、私は糸を一つ残らず切断していったわ。十秒で終了。



「……よし、出たわね」



 糸の罠を突破すると、透明になっていた宝箱が出現するようになっていたのよ。


 だから、今……部屋の奥には宝箱がある。私はそれを指差しながら、ドルイディたちに言った。



「さ、宝箱が出てきたから開けていいわよ」


「……っ……勝手なことをしないでくれと私は……!」



 あら……まだご機嫌ななめね。


 というか、さっきよりも機嫌が悪くなってる気がするわ。ドルイディもディエルドもね。


 なんでよ……私は助けたのよ?



「……っ……!」



 いや、ダメよ……私……!


 ムッとしながらも表情は平静時のように。


 妹や弟の怒りに怒りで対応しちゃ姉失格よね。


 そう思って、私は今日の中でも最高の笑みを二人に向けたわ。もちろん、二人にだけね。

少しでも面白いと思ったら、広告下の評価ボタン(☆☆☆☆☆)のクリックをお願いします。

ブックマークもしていただけると作者は嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ