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第六話 イオリの過去

20XX年10月仙台市・・・


私イオリ・スズキ・・・いや鈴木伊織は仙台市にあるとある進学校へと通っていた


「いってきま〜す」


いつもと変わらない日常を今日も送るはずだった

いや・・・誰が想定しているのだろうまさか「異世界」へと召喚されることを


「ね〜伊織カラオケいかない?」

「行かない・・・」


私は学校一の美女と呼ばれているが目立つことが大嫌いな為誰とも交わろうとせずいつも淡々と同じ日常を送っていた


「そういえば今日新しい小説の発売日だし駅前の大きな本屋さんに寄って帰ろう」


駅前に行く市営バスに乗ろうとした・・・異世界へと通じる穴へ落ちるとは知らずに


「S880系統・・・仙台駅前行き・・・ザー・・・バルタリ王国行きです」


バスの自動放送が仙台駅前行きのはずがノイズと共にバルタリ王国行きになっていたのだ


「え?」


いつもと違う自動放送にびっくりしつつICカードリーダに定期券をかざそうとしたその時

大きな穴に転げ落ちたのだ


「きゃああああ・・・・」


そして気づくとそこには仙台のような近代的な都市とは対照的に石造りの家や木造の建物が乱立し町の中心部には大きな城が聳え立つ明らかに現代とは思えない風景がそこにあったのだ


「どういうこと・・・夢?」


しかし持ち物も穴へ落ちる直前の服装も全て同じだ


「でも定期券もあるし服装も制服だし一体・・・」


そう考えているとある騎士が声を掛けてきた


「何か困りごとですか?」

「えっと・・・ここはどこですか?」


そう聞くと


「ここはバルタリ王国の市民市場だよ」


なんとバスで聞いたバルタリ王国と一致したのだ

私が困惑していると


「もし困りごとがあるならバルタリ王国中央ギルドに行くといいよ!案内するから」


そう言われ兵士の後についていくと石造りの建物へ到着した


「やぁ!この子どうやら困っているようだから助けてあげて!」

「わかりました。」

「じゃあ仕事があるので私はこれで失礼するよ」


そう言うと騎士は町の人混みの中へと消えていった


「えっとギルドカードはありますか?」

「えっ・・・・」


当然そんな物は持っていない

持っているのは学生証とバス・地下鉄定期券と本屋のポイントカード・・・

この世界では自分自身の身分を証明することができない代物ばかりだ


「もしお持ちでないようでしたら簡単に作ることができるのでこの石板に手をかざしてください」


と促され手をかざすと私のステータスが出てきた


「イオリ・スズキ Lv不明 職業:聖女」


まるでゲームみたいだな〜と思っていると


「せせせせ・・・聖女!?」


ギルドの受付のお姉さんが大きな声をかけ何処かへと消えた

どうしたんだろ?もう終わったのかな?と思い離れようとしたら


「聖女様こちらでお待ちください」


隣の窓口の若いお兄さんがソファー指を刺した

何が何だかわからないのでソファーに座って待っていると明らかにここにいる者とは違う高貴な人がやってきた


「この者が聖女なのか?」

「はい!」

「私はジョエル王だ!君にはこの国を守る使命がある

ついてきてくれるかな?」


ここから私の聖女としての生活が始まったのだ・・・


「おい!イオリ!そこ邪魔だからどけ!」

「きゃ」


あれから2年

私はその後この国の第一王子エイルと結婚したが、それからというもの私は一人の人間としてではなく「物」として扱われていた


「なんだよクッセェーし汚いし最悪だなwww」

「それはエイルがお風呂は1週間に1回15分以内とか言うからでしょ?」

「あぁ?今なんて言ったか?」


最初は優しかったエイルだが今となってはDVは勿論私に刑務所よりも劣悪な条件でこの国の聖女として働いているのだ


「日本の刑務所でも3日に1度に15分間入れるのに・・・」


そう独り言を喋ると


「おい・・・テメェいい加減にしろよ!」


そう言うとエイルは私に手を上げようとしたその時


「エイル殿下!女性に手を上げるのはおやめください」


そう言い騎士が私を助けてくれた

この時に助けてくれたのが今一緒にウィリアム王国で暮らすニコラウス副騎士団長だった


「ふん!こんな汚らしい女が女性だって!?笑わせんな!

だがもういい俺は忙しいからなw」


と言いつつエイルは逃げていった

エイルは昔から騎士団長と副騎士団長には頭が上がらないようで(年上でガタイがいいのもあるが)こういった光景を見かけるようになっては暇な騎士団が護衛につき私を守ってくれていた

だが騎士団もいつまでも暇なわけではない

遠征や魔物の討伐など騎士団が数日城にいないときは今までの憂さ晴らしと言わんばかりに私に暴力や暴言を言ったり酷いときには私に外で寝るように命じられ城を追い出されたこともあった

この時私は薄々気付いていた「エイルには愛人がいて本当はその人と結婚したかった」と

何故なら騎士団が城を不在にする時決まって明らかに城の関係者ではないものが城の中へ出入りしていたからだ


「つくづく最低な男ね・・・・それにしても今日は寒いな〜・・・」


今日私は寒空の中城の外に放り出され近くの演習で使う森で就寝するのであった

今回はイオリの過去とエイルから受けた酷い仕打ちを中心に書きました。

とても胸糞が悪いですがこの王国は徐々に崩壊していきますのでお楽しみに!

次回はウィリアム王国に住むことになったイオリとニコラウスの様子を書こうと思います。

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