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第十八話 それぞれの混乱

瘴気による被害が深刻化するバルタリ王国では緊急の対策会議が開かれていた

一部地域が瘴気による被害を受けることはあってもほぼ同時多発的に瘴気が発生しいままでかつてない食料危機に陥ることは経験がない

頼みの聖女も瘴気が強力すぎて浄化ができないとなるとどうすることもできない

頭を抱えたバルタリ王国では緊急の対策会議が開かれることになった

「東アルブレッサと港湾都市クハヴで発生した瘴気は既に甚大な被害を受けており水産物・農作物ともに甚大な被害を受けています」

家臣達から上がる報告を次々と受ける中ある一人の貴族が口を開く

「もしかして偽聖女イオリがレジスタンスということはありませんか?」

そう告げると反イオリ派の貴族たちがそうだそうだと騒ぎ始める

対するイオリ派はそんな馬鹿なことがあるかと怒鳴っている

「ええい!全員静まれい!」

ジョエル王が言うと一斉に静まり先程のような緊張感が場を支配し始めた

「偽聖女イオリがレジスタンス或いは魔族側の物と考えるのは当然の話だ

にも関わらず偽聖女を養護するのであれば我々王族に対する侮辱だぞ!」

そう言い騎士に目配せをするとイオリ派の貴族たちを拘束した

「お待ち下さいジョエル王!私はイオリ殿が魔族側の人間であることを否定しただけです!」

「やかましい!お前らは我々王族に対し不敬を働いた!地下牢に家族・従者諸共全員投獄しろ」

そう言うとイオリ派の貴族たちは会議室から強制退出された

これによりこの会議室には反イオリ派のイエスマン達しか残らなかった

「さて邪魔くさい連中は消えたことだし会議を再開するとしよう」

そう言うと先程の議題について話し合うことになった

「暗部の情報によると偽聖女はウィリアム王国の聖女となった模様です」

「こうなると確定ですな・・・」

そう貴族が言うと同調するように声を上げ始めた


自分たちの利益のことしか考えない馬鹿な貴族たちはそれぞれ自分の都合の良いように勝手に解釈をし偽聖女イオリが実は魔族側の物でバルタリ王国を手中に収めようとしたがマリアーノによって発覚

その結果聖女の地位を奪われ国外追放された

その腹いせに同時多発的に瘴気を放ち王国の民を苦しめようとした

その口実ができてしまえばあとはこっちのもの

そう考えたジョエル王は

「瘴気が収まり次第偽聖女イオリを国際指名手配とする!」

「異議なし」

イオリ派の貴族がいなくなった事で更に歯車が狂い始めますます魔族の思い通りに事が進んでいることをまだこの時は知らなかった

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一方ウィリアム王国西アルブレッサでも瘴気の被害が発生

聖女イオリの聖結界がまだ貼られていない故に農作物に甚大な被害を受けた

王国の騎士団や自警団に教会所属の聖騎士が入れないレベルで濃度の高い瘴気で魔物も次々と出現する

アルブレッサは元々ウィリアム王国の領土だったがミスリルや鉄鉱石といった鉱物に目をつけたバルタリ王国が進行

両者激しい戦いを繰り広げた後和平条約を締結し現在は休戦状態となっている

一見西アルブレッサに聖結界を後回しにする理由がないように聞こえるが実はそうもいかない

発展している東アルブレッサと異なり西アルブレッサは辺境の街

故に起伏の激しい地形や深い渓谷といった手つかずの自然が多く鉱山もある

その鉱山が曲者で本来鉱山は全てウィリアム王国の鉱山だったが現在は分断

和平条約を元に互いの国が人員を派遣しあい産出された鉱物を半分ずつ分け合っている

そのため下手に聖結界を貼ってしまうと国際問題になりかねないのである

こういった理由から西アルブレッサの聖結界を後回しにしたのであるが今回はそれが裏目に出てしまった。

東西共にアルブレッサは農業により発展してきた街でウィリアム王国全土で収穫される小麦や大麦の約30%を占めている

主に供給されるアレフペ伯爵領では緊急で備蓄された小麦を放出しなんとかしのいでいるがこれも時間の問題で王都に対し支援要請を出していた

そのため次に聖結界を発動する予定だった都市を後回しにし急遽西アルブレッサに聖結界と浄化魔法を発動することになった

完全に予想外だったこともあり浄化魔法と魔物の討伐に1日聖結界の発動準備に1日と合計2日間という急ピッチでの作業となりアラン王子や騎士さんたちは大慌てで準備・騎士団を派遣しなんとか被害を食い止める事ができたがそれでも西アルブレッサで収穫される小麦の収穫の55%はダメになってしまった

それだけでなくミルクや卵といった畜産にも被害を受けバルタリ王国程ではないにしろ食料品の価格が高騰したのは言うまでもない

聖女イオリは自分を責め自暴自棄になっていたがアラン王子やニコラウスといったイオリの周りの人間がイオリのせいではないことを言い慰めていた

それでもイオリは自分のせいだと責めていたがなくともバルタリ王国と比べてウィリアム王国は聖女を大切にし一人の可愛い少女として接せられている

これは紛れもなく本気でイオリのことを大事に思ってくれている王族や国民そしてニコラウスやメイドさん達の気持ちの現われなのであった

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