第十六話 アラン王子と世界旅行[後編]
異世界へ聖女として召喚されたイオリは里奈の力を借り数年ぶりに基軸世界へ帰還を果たしそれなりに楽しんでいた。
今日はおもいっきり遊ぶらしいが一体どんな一日になったのだろうか?
「泉中央行き電車が発車します。ドアが閉まります」
発車サインと共に魔道具もとい電車が動き出す様子を見てアラン王子は不思議な体験をしているといわんばかりの表情を浮かべていた。
今日は色々なやることが終わりみんなで遊びに行くことにし宿泊先の最寄駅から中心部の仙台駅まで移動中だ
本当はTRを利用したほうが安いんだけど定期券の都合上地下鉄に乗った。
「それにしてもこのチカテツっていう魔道具は素晴らしいね
是非我が国にも導入したいものだ」
「あの世界で地下鉄を作るとなるといったいどのくらいの期間が必要なんですかね?」
「絶対数十年かかると思うよ?
この世界ですら十年かかるんだし」
その言葉を聞くとアラン王子はしゅんとしてしまったが実際問題地下鉄を作るための機材や材料など色々な面を考慮すると莫大な時間がかかるのは明白だ
スキルを開発すればいけるだろうがそんなチート能力はイオリには持ち合わせていない。
まだ里奈のスキルを把握していないのでもしかしたら開発できるかもしれないが・・・
そうこう考えていると仙台駅に到着し地下鉄の改札から出た
ここからは自由行動にするかまとまって行動するかを検討した結果まだこの世界に慣れていないということから別行動するのはやめそれぞれ行ってみたいところや気になった場所に行ってみたりすることにした。
まずイオリは元々買おうと思っていた本を買いに駅前にあるアリゼンに行き小説を買うことにした。
小説を買いにレジに並んでいるとアラン王子が声をかけてきた。
「このアリゼンという図書館は無料なのかい?」
どうやらアラン王子はここを図書館だと思っているらしい
それもそのはずであの世界にはこの規模の書店なんてあるわけがなく王宮図書館ですら一般の書店と同じくらいの広さなので図書館と思われても仕方がないといえば仕方がない
「ここは図書館ではなく書店なので読むには買う必要があります」
そう言うとアラン王子はポカーンとした表情でボソッと一言だけ言った
「王宮図書館に負ける書店があるとは・・・」
いやこの世界の文明が発達しているだけだからね!?
そう心の中で突っ込んだ
次はアラン王子とニコラウスの要望で体を動かしたいらしい
なので私たちは市バスに乗りラウンドツーに行くことにした。
ここならボーリングができるので体を動かせるだろう鍛錬になるかは知らないが
受付をしボーリングをして遊んでいると流石王国騎士団というだけあってかなり上手い
イオリ自身はあまり運動神経がいいと言えないので散々たるスコアだったがメイドさんはイオリよりも下手でガーターを連発していた。
あの2人が異常なだけで本来初心者ならガーターなしで遊んだほうがいいと思うのだが・・・
2ゲーム程遊び今度は下にあるクレーンゲームで遊ぶことにした
イオリはクレーンゲームが得意なのであの世界でも使える雑貨やぬいぐるみを中心に獲ることにした。
その間ニコラウス達はメダルゲームで賭けをして遊んでいた
メイドさんや里奈が気になっている景品等普段私自身のお財布と相談しながら遊ぶのだが今日は贅沢にも1万円ほど使った。
そのかいもあってかちょっとしたカトラリー類にモバイルバッテリーにデスクライト等合計で15点ほどゲットした。
その後3人でプリクラを撮り2人の元へ帰るとアラン王子はジャックポットを当てて膨大なメダルをゲットしていた。
その枚数15万枚
一方のニコラウスは0枚になってしまったようでこの賭けはアラン王子が勝った
なにを賭けたのか聞いても2人は「それは男同士の賭けだからイオリ達には教えられないかな~」と言って教えてくれなかった。
膨大な量のメダルはその後5人掛かりで消費し一時は逆に増えるという事態になったが3時間ほどかけて全て消費した。
その後メイドさんの要望でイオリの衣装やアクセサリーを探しに行きたいといいまた市バスに乗り沿岸部にあるアウトレットモールに行った。
ここのフードコートで少し遅めの昼食を取ることにし私とメイドさんはオムライスプレートを里奈は日替わりパスタをアラン王子は海鮮丼とみそ汁のセットを頼みニコラウスは私のオスススメで牛タン定食を頼んだ。
オムライスプレートやパスタはあの世界でも食べることができるが牛タン定食や海鮮丼はこの世界でしか食べることができないのか2人ともお行儀はそっちのけでガツガツと食べていた。
よっぽどおいしくて気に入ったのかな?
昼食後アウトレットモールへショッピングを楽しんだがイオリ達は大量の服やアクセサリーを購入し男性陣であるアラン王子とニコラウスは荷物持ちになったのは言うまでもない
こうしてめいいっぱい遊びそろそろあの世界へ帰ろうと思ったときアラン王子は王達にお土産を買いたいといい仙台駅前で戻り萩の繭や萩の理など色々なお土産を買っていた。
律儀なのか騎士団員やメイドさん全員分のお土産も買っていて総額で3万円程となったが王宮に仕える人たち全員分のお土産を買うあたりアラン王子の人柄はとてもいいのかもしれない
こうして3日間にわたる世界旅行を終え元の世界へと帰るであった
帰った後は里奈の能力をまとめないとね
アラン王子のメダルジャックポットで15万枚ものメダルを当てた事件はその後「メダルドンジャラ事件」と呼ばれ5人の中の胸に深くきざまれましたとさw
次回は里奈のチート級のスキルが判明します!




