第十四話 暗躍する魔族と不思議な魔人
スカイフィッシュドラゴンの襲撃と同時に魔王陣営ではある準備を行っていた。
それはバルタリ王国滅亡へのカウントダウンがまた進んだということになるのだがスカイフィッシュドラゴン襲来にもどうやら魔王陣営の関与があるらしい
そしてイオリの元に不思議な魔人が訪ねてくるのだが果たしてそれぞれの思惑はなんなのだろうか?
スカイフィッシュドラゴン襲来の被害報告や後かたずけを行っている頃魔王陣営にも動きがあった。
「守備はどうだ?聖女マリアーノ?」
「瘴気の件ですが準備が終わり明日にも放てます。
真の聖女の件は予定通りスカイフィッシュドラゴンに支配下契約をし王都ウィリアムに向かわせました。
小娘はエイル王子の件で王族を信用していないのでほぼ間違いなく国諸共滅亡するものと思われます」
「そうか・・・こちらはお前が情報提供してくれた情報を元に秘術転移門の発動準備を行っている故どうころんでもあの聖女はこの世界から消えるだろう
あとは例の魔人を始末しろ」
「御意」
そう言うと魔法通信を切断した。
実はスカイフィッシュドラゴン襲撃はマリアーノの仕業でありこの世界を乗っ取るために聖女が邪魔なので始末する為に支配下契約を行ったのだ。
そしてイオリ・スズキは「ニホン」という異世界人であるということが王宮資料室を調査を進めていくにつれ判明したことから魔族の秘術である転移門の発動準備も同時に行っていた。
魔族は前回の失敗点を元に二重に計画を練っていた。
「マリアーノ様スカイフィッシュドラゴンの王都襲撃まであと20分でございます。」
「あら随分早いのね
私の想定では明日頃になるかと思っていましたが」
「マリアーノ様スカイフィッシュドラゴンにわざと加速魔法を施しておりませんでしたか?」
「・・・見ていたのねカーミラ」
スカイフィッシュドラゴンの生息地はバルタリ王国から2つの国を跨いだモルダー帝国に生息するドラゴンで同じ大陸で竜種であるといえ24時間ほどかかるのだが加速魔法をある一定の地点までは発動しつづけるように施し偶然スカイフィッシュドラゴンがウィリアム王国へ襲来したように見せかけたのだ
そしてもう一個の計画港湾都市クハヴと東アルブレッサに瘴気を定着させる計画は「彼」のやる気が出た為明日瘴気を放つ
これを意味することは港湾都市は瘴気の制でどんどん海産物の漁獲量が減り代わりに紫色の水質へと変貌し得体の知れない魚が取れ初め東アルブレッサでは農業が盛んなため瘴気をあてることにより作物が枯れる。
こうして食料危機に陥らせ王都周辺の町へ住民が集中した時に王都を陥落させるのだ
色々な準備を進めている頃スカイフィッシュドラゴン襲撃が失敗したことが偵察していた魔女タスエバクによりカーミラへ報告された
そのことをマリアーノに伝えると
「また邪魔したのねあの小娘!!!
どうやら魔王様の転移門を発動しないとあの小娘は消せないようね・・・」
「それにしてもよくあの小娘が王族に力を貸しましたね・・・」
「小娘の心をあの短期間に動かすとは想定していなかったわ」
そして翌日「彼」により瘴気を放たれ沖合の方から徐々に瘴気が広がり始めることになった。
当初予定していた計画通りには行かなかったものの瘴気がはなたれ計画フェイズの第一弾が終わった
「あとはあの魔人を始末しなくてはね
待ってなさい「世界旅行者ウラゾン」必ずあなたを見つけ出して始末するわ」
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一方その頃ウィリアム王国ではスカイフィッシュドラゴン撃退は聖女イオリ・スズキによる聖結界のおかげであると新聞の一面に掲載された。
王国では聖女が誕生したという発表はしていなかったのだがどうやら騎士団達の会話から漏れたらしい
その結果正式に聖女が我が王国に誕生したと発表した
それと同時にバルタリ王国からこちらに来たという事も
この発表が行われてから数日後とある者が聖女に面会しに来た
「初めまして!新聖女イオリ・スズキ殿!私の名前はウラゾンと言います。」
「初めましてウラゾンさん でもあなた人間ではないようだけど私になんの御用ですか?」
「あちゃ~やっぱ気づかれたか」
そう言うとウラゾンは本来の姿へ変身した
「イオリ様お逃げください!ここは私が!!」
魔人という言葉を聞き警戒するニコラウス達に私は彼に敵意がないことを伝えると警戒しつつも剣から手を離した
「魔人は本来魔族側と言われているから警戒するのも無理がないか
で本題なんだけど私の本当の名前は高橋里奈といいます。
あなたと同じ日本人でこの世界では転生者と呼ばれるものです」
高橋里奈と名乗るものはそう自己紹介すると手を差し出した
「あなたが日本人というのであればその証拠を出して欲しいです。
いつの時代から来たのかということとか」
同じ日本人というが私は敵意がないとはいえど半信半疑だった
なのでせめてどの時代からきてどんな出来事があったのかを言ってくれれば信用できると思ったのでそう質問した。
すると彼女は
「201X年に東北でM9.0の大地震があったわね・・・あと20XX年には推される子というアニメが流行ったわね」
「!?」
本当に日本人だという確証が得られる名前や出来事がすらすらと出てきたのだ更に
「そういえばロシアとウクライナが戦争もしていたわね」
間違いなく日本人でしかも私と同じ時代の人間の可能性がある
「里奈さんの出身ってどこで何歳のころに転生したの?」
「私の出身は福島県よ19歳の頃に癌で死んで気づいたら魔人としてこの世界にいたというわけ」
「里奈さん福島出身なんですね!私は仙台出身です」
「同じ東北出身なんですね!それで信用してくれたかな?」
「えぇ!あなたは確かに日本人ですね!しかも私と同じ時代みたいですし」
そう言うと私も手を差し出し互いに握手をした
この様子を見ていたニコラウス達は戸惑いながらも2人が仲良くしているのを見て完全に警戒心がなくなったようだ
「そういえば里奈さんの要件って何ですか?まさか同じ出身だから挨拶に来たというわけではないですよね」
お茶を飲みながらそう言うと
「そういえばすっかり用件を忘れていたわ
実はね私とあなた魔族から命を狙われているんだよね
知っているでしょ?バルタリ王国の聖女と名乗るマリアーノっていう人
あの人レジスタンスよ?」
「マリアーノがレジスタンスなのは薄々わかってはいましたし狙われているのはわかりますが何故あなたも狙われているんですか?」
私が疑問に思っていることを聞くと
「それはね私のスキルが原因なの」
「スキル?」
私が疑問に思っていると
「じゃあ10分くらいちょっと待ってね 世界旅行」
そう唱えると里奈はいなくなった
そして10分後里奈がもう一度わあたしたちの前え現れて私たちの前にある一冊の漫画とお菓子とスマホを見せられた
それは元の世界で次にアニメ化されるのでは?と言われていた「魔法科大学の劣等生」という漫画と仙台銘菓の萩の繭というお菓子だったしかもそれらが全て20XX年の代物でスマホに至ってはCUの回線が繋がったままであった
「里奈さんいったいこれは・・・」
そう疑問に思っていると
「実は私のスキルは任意の時代の元の世界そして他の異世界へ旅をすることができるスキルでこれらの者もあちらの時代から持ってきたものだよ
どうやら魔族たちは私と伊織ちゃんと結託することを嫌っているみたい
魔族の秘術に転移門っていうのがあるんだけど私がいると無効化されるから消そうとしているってわけ」
魔族の情報を全て洗いざらい話す里奈さん
にわかには信じがたいが今目の前に並べられている証拠を見てしまうと信じざるを得なくなってしまう。
「ねぇ伊織ちゃん?私と取引しない?」
「取引ですか?」
「あなたも私も狙われているでしょ?だから私も従者として加えて守ってほしいの
報酬は私の能力使い放題でどう?
もちろん聖結界内であればたとえ魔族とはいえど私の魔法と組み合わせれば誰にも邪魔されずに世界旅行し放題だし色々なものを複製だってできるから結構チート級だと思うんだけどどう?」
「それは構いませんがアラン王子に許可を貰ってからでもいいですか?
私だけでは勝手に決められないので・・・」
そう言うと里奈さんも了承してくれたのでアラン王子に相談することにしたのであった
新しい登場人物として里奈さんが登場しました。
実はこの物語この里奈さんがかなりのキーパーソンとなりますw
次回アラン王子との交渉をお届けします。