第十一話 ワイバーン襲来[後編]
ワイバーンを使役している人物がバルタリ王国騎士団の王族派であるエドアルドだということが判明した
エドアルドは、かつてのバルタリ王国の栄光を失墜させたのは聖女のせいだと言い強い恨みを持っていた
身勝手な理由で民を怪我させ聖女にも危害を加えようとするエドアルドを許すことができないアラン王子は勝負を申し込んだが果たしてアラン王子と聖女一行はどうなってしまうのだろうか?
「其方は私の逆鱗に触れてしまった・・・手合わせをお願いできるだろうか!」
アラン王子は今まで見たことのない殺気を放ち剣を抜いた
「上等だよ!もし貴様が負けたら次は聖女を殺す!覚悟せい」
「ありがとう!では参る!!!!」
アラン王子とエドアルドの戦いの火蓋が切られ互いに激しい戦闘を繰り広げている
「はぁっ!」
「バルタリ王国の騎士団だという割には随分と押されてるじゃないか!」
「まぁまぁそう焦るなって!すぐに終わらせてしまったらつまらないじゃないか!」
「確かにその通りだなっ!」
互いの剣が激しく交わっているがエドアルドが押され気味だ
だがエドアルドはバルタリ王国騎士団の中でも騎士団長に次ぐ剣の腕前を持っており一筋縄に決着がつかないことはイオリやニコラウス達は知っていた
「一国の王子がこれほどの腕前を持っているとは褒めてやろう!
だがな俺はまだ半分も力を出していない」
「なら本気の力というものを見せてくれないかい?」
「上等だよ!」
そうエドアルドが言うと今までとは異なる力を放った
それは魔族が扱う魔法のようにとても禍々しいオーラをこの森を包み込んだ
「エドアルドがこんな禍々しいオーラを放つ魔法なんてなかったような・・・」
ニコラウスがそう呟いた
「あれは魔族が扱う魔法です・・・
そしてこのオーラは真の聖女と名乗るマリアーノとオーラが似ています。」
「マリアーノ殿のオーラと似ているだって!?だがそんな力聖女には扱えないはず・・・」
「ニコラウスには話をしていませんでしたがマリアーノは恐らくレジスタンスです。
あの日マリアーノがジョエル王の目の前に姿を表したときに見たオーラは到底聖女のオーラではなく禍々しいオーラだったので今でも覚えています。」
そう私が国外追放処分を言い渡されたときに現れたマリアーノとオーラが全く同じと言っても過言ではないくらい似ているのだ
レジスタンスが使用する固有魔法に「支配下契約」と言うものがある
この魔法には対象者が支配下契約に応じる代わりにレジスタンスと同じ能力と魔法を習得しステータスも格段に上昇するというレジスタンスが人間を支配する際に使用する魔法なのだ
この支配下契約を行った際に魔物と契約する魔法や禍々しいオーラを放つ強化魔法があればエドアルドも使用できるためニコラウスが知らなくても当然の話なのである
だがそうなってくるともっと厄介なことが訪れる可能性がある
それはアラン王子も支配下契約を施され魔族の手下になってしまう恐れがあるからだ
残念ながら聖結界は効果を果たさない恐れがある
そうなってくると希望がある魔法はただ一つ「神々との適合」だ
これは誰にでも使用できると言うわけではなく清き心の持ち主と強い意志を持ったものにしか適合せず失敗するとただただ苦しむだけのまさに今の状況で使うには危険な賭けなのである
だがなりふり構っている暇はない
「アラン殿下!今から神々との適合を試してみます!失敗すると苦しみますが今のアラン殿下ならきっと使いこなせるはずです!」
「わかった!私はイオリ殿を信じるからいつでもその魔法を付与してくれ!」
アラン王子からも了承が得られた・・・
私は祈りをこめ詠唱した
「神よ・・・どうかアランに力をお貸しください・・・神々との適合!!!」
詠唱を終えるととても神々しい光が放たれたと同時に1人の神が具現化しアラン王子へ向かっていきとても神聖な光をアラン王子を纏った
どうやら成功したようだ
「凄い!今までよりも凄く体が軽く感じる!」
「アラン殿下!神々との適合は成功したようです!」
神の代行者とも呼ぶ聖女が扱う神聖魔法と禍々しいオーラを放つ魔族が扱う魔法
これで十分アラン王子が勝つ勝ち筋が見えた
「ふん!いくら神々との適合が成功したからってこの私が現役の騎士団に勝てるはずがない!苦しんで死ぬがいい!
死の行進曲!」
そう唱えると剣にとても強力なオーラが流れ込み赤黒い剣へと進化したと同時にアラン王子の頭上へ剣を落とそうとした
だがその剣は余裕で受け止め次々と連撃するがその全てを余裕で弾く
「そろそろ名残惜しいが決着をつけよう
だがその前に私が何故聖女イオリ殿とその民を守るか教えてやろう
それは私はイオリ殿のこともこの国の民のことも本気で愛しているからだよ!」
そう言い剣をエドアルドに振り下ろした
「さらばだ!エドアルド!とても楽しい時間を過ごせたよ!」
「ぎゃぁぁぁっ!」
振り下ろしたけんは一度受け止めるが神聖な力によって剣は壊れ激しい叫び声と同時にエドアルドは倒れた
やがて互いのオーラは徐々に薄くなり戦闘があった現場を見ると先程までとはうって違いとても静かな森へと変わった
エドアルドは激しい怪我を負っているが治癒魔法と騎士団による拘束魔法を施し王都へと護送されていった
「アラン殿下・・・・先程の愛していると言う言葉は・・・・」
イオリが顔を真っ赤にして問うとアラン王子も恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてた
「いや・・・その・・・その言葉のままの意味なのだが・・・
と・・・とりあえず一件落着だから王城へ帰ろう!」
「は・・・はいっ!」
とても恥ずかしがるイオリとアラン王子だがこの事件を気にアラン王子とイオリの関係は次第に軟化していったのは言うまでもない
今回はワイバーン襲来編の最終話を書きましたがいかがだったでしょうか?
これを気にイオリとアラン王子の関係は急接近し王族不信であったイオリも徐々にアラン王子に心を開くようになります!
次回は王都ウィリアムでデートをするかも・・・?
お楽しみに!




