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帰ってきた勇者は魔王となる  作者: たむーん
1/1

1 仲間達

「ユミ!」

俺は走りながら叫んだ。

「リン!」

仲間を探す。

「サクロウ!」

戦いの末、ズタボロになったであろう仲間を探し続ける。

俺自身も、出血や骨折などで全身が悲鳴をあげているが、そんなことはどうでもいい。

仲間達を探せ。探して助けろ。

そう心に言い聞かせていた。

走っていると前の方に大きな大剣が見えてきた。

あれはサクロウのだ!

「サクロウ!いるのか!俺だ!返事をしてくれ!」

大剣の場所に着いた。

が、そこにあったのは剣を握っていた手があっただけだった。

手からは血が流れている。

と言うことはついさっきまでここにいたということだ。

俺はその周辺を探した。

「...ぁ。......お。」

声だ。声が聞こえた!

瓦礫の下から聞こえた。

瓦礫を退ける。

サクロウが倒れていた。

「サクロウ!今助けるぞ!」

「...お、ぉれは...ぃぃから...はや......く、ユミ...とリ...ンを。」

今にも消えそうな声だ。

「【傷よ消えろ。】」

言葉を使った。

サクロウの身体は時間が巻き戻すかのように傷が塞がっていった。

これでサクロウは大丈夫だ。後はユミとリンだ。

サクロウはまだ起きないだろう。

俺が助けなければ。

遠くの方から魔法の音が聞こえる。

いや、これは魔法では無い。

こちらに近づいてくる風の音だ。

俺は身構えつつ、何がきてもいいように準備してた。

来た。

2つ飛んできた。

っ!あれはユミとリン!?

「【優しく捕まえ、回復せよ。】」

俺の後ろから手が伸びる。

黄緑色の手が包み込むように2人を捕まえた。

2人の他にも何かくる。

「よう勇者!やってくれたなぁあ!!!」

聞きたくも無い声だ。

だがこいつが俺の大切な仲間達を傷つけたのだ。

許せない!許さない!

「うるせえ!ふざけるな魔王!!!」

「ようやくお前と戦う、いや殺し合う時が来た!雑魚とは違う事を期待するぞ!」

雑魚?雑魚と言ったのか。許さないどころじゃないものをくらわせてやる!

「ふざけるなぁああ!許せねえよ魔王!お前を後悔させてやる!」「では殺り合おう!【終焉よ!奈落よ!叫べ!】」

あれは禁忌の書の95番の3句。

対象者を死んでも逃がさない呪いだ。

「【溶かせ!溶かせ!堕ちろ!】」

これも禁忌の書。確か83番のはずだ。

これは地面をじわじわと溶かして行くものだ。

このままでは仲間まで危険になる。

そうはさせるか。

「【飛ばせ!安全な場所へ!】」

仲間達の身体が光り、消えた。

「これで全力を出し合えるなぁ?勇者よ!」

「うるさい!【刺して刺しまくれ!】」

俺は1本1本に猛毒が塗ってある短剣を千本以上召喚した。

「こんなものでは殺せないぞぉお!【我を護れ。】」

魔王の周りに魔に見えるほどに圧縮された魔力の塊が出現した。

塊は短剣と衝突する。

鈍い音が聞こえる中、詠唱が聞こえてきた。

「【地を這え!血を流せ!知を蝕め!】【力をよこせ!】」

2重詠唱か。禁忌の中でも禁忌である98番の魔法か。

これではこの大陸諸共、消え去ってしまう。

確かこの魔法が発動するまでに時間がかかったはず。

それまでに滅ぼさなければ。

「させるか!【禁忌よ!子羊にお恵みを!力!勇気!自信を!】」

「なっ!5句詠唱だと...!!この我でも4句が限界というのに!」

俺が発動させた禁忌は99番。失う代償は生命。

その代わり、莫大な力を得る。

「【この地に!この世界に救いを!】【戦え!】【踊れ!】」

さらに3重詠唱をする。

「【舞え!力を出せ!】【7色の大海よ!3色の翼よ!】」

「こ、これは!まさか勇者専用の!まずい!このままでは!」

胸に激しい痛みが生じたが、そんなもの関係無い。

全身全霊、ありったけの想いを込めて、撃つ!

「【我を全力を持って守り抜け!絶対に!必ず!】」

これはやばいと思ったのか急に魔王が守りに入ったぞ。

だが許さないと決めていたのだ!

仲間達とこの世界をお前から救う為に!!!

俺は最後の詠唱を叫んだ。

「【放て!撃て!滅せよ!死神よ!女神よ!魔王を滅ぼせえ!】」

「うがぁああぎゃああああぁぁ...ぁぁああ...ぁ.......ぁあ...。」

魔王は結界ごと撃ち抜かれ魂と心臓が爆散した。

「や...やっ......た。やったぞ!うぉおおお!!!ぐぼぁっ!」

身体が痙攣する。脳が震える。身体が変色し始める。

頭が痛い。血がドバドバと口から溢れる。

視界がだんだんと失われる中、仲間達の姿を見た気がした。

俺は笑顔になり、意識を失った。



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